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LIVE REPORT

バックドロップシンデレラ×打首獄門同好会×四星球

2015.11.17 @TSUTAYA O-EAST

沖 さやこ

バックドロップシンデレラと打首獄門同好会のWレコ発ツアーが、両者のCDリリース日前日に初日を迎えた。会場のTSUTAYA O-EASTにはそれぞれのバンドTシャツを着た大勢の観客が溢れている。トップバッターはこの日のゲストの四星球。まさやん(Gt)がひとりでステージに現れると"他のメンバーがTVゲームのスーパーマリオを始めちゃって......"とのこと。すると下手からマリオとルイージに扮したU太(Ba)とモリス(Dr)、そしてヨッシーに扮した北島康雄(シンガー)が登場して会場に生キノコを撒き、早速全力で"コミック・バンド"っぷりを発揮する。"何度も思い出してもらえるライヴをしに来ました!"と言い、1曲目「Mr.Cosmo」からフロアの隅から隅までを盛り上げ、北島は"ミステリー・サークルを作る"と言って観客と連なり円を作るなど、土台のしっかりとした演奏とパフォーマンスでともに一気に観客の心を掴んでいった。

この日は3バンドすべてから発表があるということで、四星球は2階席から巨大な垂れ幕を広げて解禁。2月にフル・アルバム『出世作』をリリースすることを発表すると、その収録曲である「蝶の粉」とタイトル・トラック「出世作」を披露した。2曲ともバンドの充実を感じさせたが、特に「出世作」は恐れることなく会場にいる全員の心をまっすぐ掴みにかかり、感謝を届ける楽曲。今後彼らにとって大きなアンセムになる予感がした。人々を笑顔にさせることに尽力する彼らは、この日のライヴ・タイトルに彼らのポリシーを加えて"今日は「収穫祭でウンザウンザを踊りながら笑う」ということでよろしいでしょうか!?"と言い、「妖怪泣き笑い」へ。フロア後方で肩車されていた幼子を見つけた北島が"あの子がひとりでライヴに来れるようになるまでバンドを続けていく"と言うと大きな歓声が沸いた。遠慮も妥協もなしの音楽とパフォーマンス。まさかのオチまで含めてプロのポリシーが貫かれたエンターテイメントだった。

2番手は7曲入りのミニ・アルバム『まだまだ新米』をリリースした打首獄門同好会。ラウドロックに祭囃子を盛り込んだ1曲目「DON-GARA」からモッシュに拳にシンガロングと会場は沸点に達する。チープ感がありながらも音と一糸乱れぬシンクロを叩き出すサカムケ☆レシピによるVJも見事だ。MCも演奏と映像を組み合わせて効果的に魅せ、観客のテンションを上げていく。VJを入れたライヴはある程度映像とのズレがないかどうかの緊張感のもと進行するパターンが多いが、打首の場合はいい意味でそれを感じさせず、勢いのまま突っ走るような3人の極太の爆音が心地いい。四星球と手法は違えども、独自のエンターテイメント・ポリシーでどんどんフロアを打首色に染めていく。

河本あす香(Dr)が"平日なのにこんなに集まってくれて嬉しいよ~!"と歓喜の挨拶。Junko(Ba)も満面の笑顔でフロアを見つめる。"岩下の新生姜"の着ぐるみを被って演奏された「New Gingeration」は"岩下の新生姜万歳! 最高!"とも言うべき歓喜に溢れ、大澤敦史(Vo/Gt)による"冷蔵庫のプリンを盗まれたことはあるか"というおどろおどろしい口上からの「TAVEMONO NO URAMI」では怒りに満ちた獰猛な音を鳴らし、変拍子を入れた「ヤキトリズム」でダイバーが乱れ飛んだあとは、「デリシャスティック」の前準備でうまい棒の配布。まるでジェットコースターのような展開である。するとバンドからツアー・ファイナルとしてZepp Tokyoでのワンマン・ライヴ開催が発表され、観客は驚きの声を上げたあと、大きな歓声と拍手で晴れ舞台の開催を祝った。「私を二郎に連れてって」「まごパワー」と超ヘヴィで超キャッチーなキラー・チューンを届け、熱く鳴り響く大澤のギター・ソロも圧巻だった。YouTubeチャンネルで配信している"10獄放送局"でメンバーが田植えと収穫を行ったお米を"獄ひかり"と命名して限定販売することを発表し、ラストは「日本の米は世界一」。最初から最後までホームランを打ち続けるような圧巻のステージだった。

かなりディープな2組のアクトのあと、トリに登場したのは7thフル・アルバム『OPA!』をリリースしたバックドロップシンデレラ。ステージの幕が開くと、豊島"ペリー来航"渉(Gt/Vo)、アサヒキャナコ(Ba/Cho)、鬼ヶ島一徳(Dr/Cho)が定位置についていた。豊島が「およげたいやきくん」を憂いとユーモアたっぷりに歌い上げると、でんでけあゆみ(Vo)がステージ中央に飛び出して「台湾フォーチュン」。いきなりの高速チューンで一気に会場をかき回すと間髪入れずに「さらば青春のパンク」。鬼ヶ島はものすごい手数のドラミングで、一体どうしたらあんなふうに手が動くのだろうかと思わず目を見張った。でんでけあゆみはフロアを見ながら爽やかな笑みを浮かべる。四星球や打首ほどの派手な視覚効果ではないが、それぞれ個性がばらばらの4人によるステージは、極めて異端でありながらも正統派アプローチをするバンドの意志の強さを感じさせた。

MC中にも観客の合いの手が飛び、「アラスカアバンチュール」ではアサヒが歌うパートで観客からハートが飛ぶなど、フロアもステージの4人に負けじと応戦する。フロアの行動すべてが楽曲のことをちゃんと理解したうえのものであるから、最後方で観ていても非常に気持ちがいい。「よのっしーがやってくる」ではバンドのオリジナル・キャラクターの"よのっしー"が登場。続いての「市長復活~さいたま市ヨリ与野市ヲ解放セヨ~」はフロアからヘドバンと大合唱が起こり、歌詞のとおり会場中が本気で"三市合併断固反対"しているように見えて痛快だった。笑いたっぷりなのにかなりひりついていてエッジが効いている。その絶妙さがスリリングで小気味よい。

後半戦は「亡霊とウンザウンザを踊る」、「激情とウンザウンザを踊る」と"ウンザウンザ"シリーズを畳みかけ、バンドと観客が一体となって楽曲の核を目がけて突っ込んでいくようなパワーに溢れる。「月あかりウンザウンザを踊る」でフロアが肩を組んでシンガロングするシーンと、曲中の"収穫祭、ウンザウンザを踊って、笑って帰ってください"というでんでけあゆみの言葉は胸を熱くさせた。色気のある音像も耳に残ったラストの「池袋でウンザウンザを踊る」では、モーセの十戒のようにあゆみがフロアを割き、打首の大澤も観客に乱入してウォール・オブ・デス。大狂乱で本編を締めくくった。

アンコールでバックドロップシンデレラはアルバムのリリースとバンド結成10周年を記念した3月の東名阪仙のワンマン・ツアーを発表。東京は渋谷CLUB QUATTROでの開催、これはワンマンでは過去最高の大きさとなる。「池袋のマニア化を防がNIGHT」のあとはステージに大澤のギターの機材がセットされ、打首獄門同好会の3人は田植えルックで登場。そして2組でバックドロップシンデレラの「耕せ!」と打首獄門同好会の「日本の米は世界一」を交互に演奏したその名も「耕せ! 日本の米」を披露した。よのっしーも四星球も乱入し、言葉の通りのお祭り騒ぎ。とても華々しいツアー初日だった。今後もそれぞれの会場で濃いゲストを招き年明けまで続くこのWレコ発ツアー、全国各地で事件を起こしそうだ。

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