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LIVE REPORT

KNOCK OUT MONKEY

2015.05.17 @新木場STUDIO COAST

Writer 沖 さやこ

KNOCK OUT MONKEYが2ndフル・アルバム『Mr. Foundation』のリリース・ワンマン・ツアーのファイナル・ステージとして、東名阪で追加公演を開催。5月2日に名古屋DIAMOND HALL、5月16日になんばHatch、そしてその翌日の5月17日に新木場STUDIO COASTという、過去最大規模のワンマン・ライヴでツアーを盛大に締めくくった。

17時ちょうどに客入れBGMが止まり暗転すると、『Mr. Foundation』のTrack.1「Revolution」がSEとして流れる。メンバー登場前からオーディエンスはバンドを大声援で歓迎する。1曲目は「RIOT」。ナオミチのドラムはヘヴィに轟き、dEnkAのギターと亜太のベースと共に一筋の大きなエネルギーを作り出す。フロントマンのw-shunはギターを抱え、力強いストロークと歌声をメロディに重ねていく。フロアの中央部からモッシュやダイヴが起こり、前方は熱視線でステージを見つめ、後方はサウンドとメロディに耳を傾けるなど、世代問わず人によって自由な楽しみ方ができるのもKOMのライヴ、そして音楽の魅力のひとつだ。この日は会場の特色を活かし、椅子とテーブル付のVIP席なども用意され、観客ひとりひとりが思い思いにKOMの生音を吸収してゆく。亜太のシャウトを合図にフロアから大きなクラップが沸いた「If you fly」は、オーディエンスの上を駆け抜けるw-shunのヴォーカルとメロディが爽快だ。そこから間髪入れずKOMのアンセムのひとつ「TODAY」に移ると、その瞬間に大きな歓声が。真摯且つ情熱的に突き抜け、さらにバンドはギアを上げていく。個々のプレイ・スタイルも光るミクスチャー・ナンバー「Take you」では、フロアはビートに合わせてゆるやかにジャンプ。w-shunがハンドマイクでラップを聴かせ、亜太もプレイに加えて楽曲に合わせたパフォーマンスをするなど、ステージングも華やかだ。

レゲエをKOM流に昇華した「Priority」や「実りある日々」では包容力のあるあたたかくハッピーな空気を作り、「Greed」ではゴギゲンなお祭りムード、「Climber」では"新木場もっと遊ぶぞ! 踊り狂え!"とw-shunと亜太も暴れまわり、フロアを狂乱の渦に巻き込む。曲ごとに情景を変えられるのも彼らの強みだが、どんな曲でも根本にあるのはとてもピュアな感情。喜怒哀楽が抑えられない少年のように、1曲1曲を体当たりで作り出す。と思えば「Gun Shot」ではダークで妖しいアダルティな雰囲気を作り出し、度量の深さを見せつけるところもニクい。メタリック且つダークなギター・リフがトランス的に作用する「?」はSTUDIO COASTの地盤を底からひっくり返すようなひりついたステージを展開。"ファッションでおしゃれな格好してロックする気ないんで。俺ら生き様を残して帰ろうと思うんですけど、準備できてますか!?"とw-shunが呼びかけると、亜太が全身を振り絞ってシャウトをし、鋭い眼光で2階席にまで噛みつく。その間もdEnkAは黙々と強靭なリフを弾き続け、COASTはどんどんカオティックな空間へ。ナオミチはフロアに降りて前方の観客とハイタッチしたかと思えば、CO2ボンベを乱射、dEnkAのギターをw-shunが譲り受け、dEnkAがフロアに水鉄砲を打ち込むなど、緊迫感とエンターテイメントの狭間のKOMならではのロック魂を見せつけた。

「街」「MOON」とミディアム・テンポのセンチメンタルなナンバーを披露すると、映画『極道大戦争』の主題歌である「Bite」を披露。「How long?」はすべてから解き放たれたかのような、しなやかな音像が印象的だった。そのあとの「Paint it Out!!!!」「Wonderful Life」は胸がすく無敵感で、KOMは常に夢を強く持っているバンドなのだと思い知った。夢を描くだけではなく、そこに向かうために自分たちを強く信じ、現実にするためにひとつひとつ掛け替えのないものを掴み続けてきたバンドで、だからこのSTUDIO COASTという場所に辿り着くことができたのだろう。そして彼らは今もなお、大きな夢に向かってその腕を伸ばし続けている。
ラストの「Eyes」の曲中、w-shunがこう語り出した。"目標や夢を持って音楽を始めて。いざ始めたらそれよりも、めっちゃ楽しい、これ好きやわ!って思って。だから周りに何を言われてもずっと続けてきた""10年経っても、まだスタート切れてない。でも俺らは俺らなりに、がむしゃらに進んでいくんで、KNOCK OUT MONKEYここから始めさせていただきます"。彼の言葉の通りの純度100%のエモーショナルな音像が、STUDIO COASTを埋め尽くした。"一生忘れないであろうライヴをありがとうございました"と言い残しメンバーがステージを去ったあとも、フロアからはアンコールを求める拍手が止まなかった。

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