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LIVE REPORT

GEKIROCK TOUR Vol.10 -DAY1-

2014.05.23 @吉祥寺CLUB SEATA

Writer 小林 詩央里

激ロックが自信を持ってセレクトする、海外のバンドを招致して開催されるGEKIROCK TOUR。10回目となった今回はアメリカより新世代スクリーモ/ミクスチャー・サウンドで本国にて話題沸騰中のDANGERKIDSを招いての開催となった。それを迎え撃つは日本の個性豊かなバンドたち。初日の5月23日にはNOISEMAKER、MAKE MY DAY、THE TWISTED HARBOR TOWN、FEAR FROM THE HATE、NAINEというラインナップ、2日目の24日にはCRYSTAL LAKE、a crowd of rebellion、sever black paranoia、Silhouette from the Skylit、ヒステリックパニック、そしてオープニング・アクトとしてSALTY DOG。ラウドロックに留まらず様々なシーンで活躍する面々が顔を揃えることとなった。

初日である23日、開演前に会場入りするとすでに激ロックDJ CREWが会場をあたためる。両日通して開演前、転換中に流れるDJ陣がスピンする洋楽、邦楽、新旧問わない様々なトラックがライヴを待つ観客を飽きさせず、時には大きなサークルができたり、ジャンプしたり、自然に体を揺らしたりする人々の姿が見受けられる。曲のセレクトに関しても、前後のバンドとの親和性を考え抜いた絶妙なツボをついてくる内容であった。

会場が暗転し、メンバー全員が仮面をつけて登場したのは、ヴィジュアル・ロック・シーンで異彩を放つ"NEW ANSWER IS NEW ENDING"ことNAINE。メンバーがステージに並び左手を上げてジャンプするのに合わせて、最善列の観客は早くも一緒にジャンプ。ヴォーカルhiLoの"Are you ready!?"という叫びから、彼らの1stシングル「Bring Me Alive」で演奏は始まる。ツー・ステップ・パートやブレイクダウンで魅せるその華やかな見た目に反する荒々しいパフォーマンスは新鮮で、観客の熱気が早くも上昇している様がありありと伝わってくる。ツーバスやへヴィなリフが効いている「カタストロフィ」や、エモーショナルなメロディがぐいぐい前に出る「OUTLINE」で多彩な表現力を見せつけた彼らのラスト・ナンバーは「killing field」。サビでは観客がフロアの端から端まで左右に行き来する、珍しいモッシュ(?)もありつつ、堂々とトップ・バッターの出番を終えた。

熱気の上昇した会場に次に登場したのは、FEAR FROM THE HATE。デジタル要素を多分にミックスしたサウンドが持ち味の彼らのステージはハンドクラップからスタートし、弦楽器隊がステージを駆け回って煽る様やシャウトの掛け合いに感化されたフロアには、早くもモッシュピットが。"4回目の出演です"と激ロックへの感謝を述べたMCの後は、"愛するMARILIN MANSONに捧げます"というMCから、彼のカヴァー曲「Rock Is Dead」を披露。ヴォーカルLidyの低音を効かせた妖艶な歌い回しはマンソンへのリスペクトを感じさせる。ダブステップやシンセ・パートで持ち前のサウンドも発揮し、ラストはもちろん彼らの代表曲「PAINT A TRIP PARTY」。ジャンルで一括りにできない、彼らならではの独特の世界観を、全6曲で描き切っていた。

少年のような爽やかな出で立ちで登場したのは、重々しいバッキングと融合した美しいメロディがリスナーの心をわし掴みにして離さない、北海道出身の4人組NOISEMAKER。"(DANGERKIDSと同じく)俺たちも海を渡ってきました"などと気の利いたMCも織り交ぜつつ、終始メロディアスでシンガロングを誘う歌が会場を盛り立てる。それまでの2組とのギャップも手伝ってか、血気盛んにジャンプしたり踊ったりと無邪気に楽しむフロアの様子が印象深い。感極まってヴォーカルAGがステージからフロアに降り、観客と共にジャンプする場面も。演る人と観る人の繋がりを求めるバンドの思いが伝わってくるような、演奏面以外でもエモーショナルな時間の流れる一幕を観ることができた。

邪悪なムードをまとったミドル・テンポなナンバー「League Of The Shadows」でスタートしたのは、洋楽ライクなゴリゴリのサウンドを武器に日本のメタルコア/ハードコア・シーンで異色の存在感を放つTHE TWISTED HARBOR TOWN。ギターのトレモノでもその不穏さを表現しつつ、パワー系の音圧あるヴォーカル、SHOのシャウトがその世界観を確固たるものにしているのは間違いない。「Won't Die Alone」では不気味なストリングスやギター・リフで暗鬱とした雰囲気を前面に押し出し、それによりサビのメロディがよりストレートにストンと抜けてくる感覚が気持ちいい。"俺らも楽しんでいいですか!"と言葉を放つSHOの視界には既にヒート・アップした観客の姿が写っていたことだろう。"拳を上げたい、でも暴れたい!"とでも言いたげなフロアの葛藤が客席後方にいた筆者にも伝わってくる。ラスト曲「Awayk」ではフロアが割れて巨大なウォール・オブ・デスが出現。終始硬派なヘヴィネスを聴かせ、会場を自分たちの色に染め上げる見事なパフォーマンスを見せてくれた。

この日1番の重低音で満たされたと思っていた耳には、更なる音圧が待ち構えていた。MAKE MY DAYのシャウト・ヴォーカルIsamがこの日、まさかのインフルエンザでダウン。ピンチ・ヒッターとして駆けつけたのはROACHのヴォーカル、taamaだ。"俺たちがMAKE MY DAYだ!!"と何度も叫ぶtaamaには"いや、違うだろ!"と突っ込んだ人もいるかもしれないが、いやはや、その時の彼は彼の美学のもとに、まさしくメンバーの一員として確固たるMMDのステージを創り上げていたのだ。PV曲でもある「What Are You Fighting For」はDjentテイストなリフが鋭く観る人に迫り、ギター・ヴォーカルJulianの深みのあるクリーンのメロディがその退廃的な世界を彩る。近頃芳しくないニュースの続いた彼らだが、この日このステージ上ではメンバー全員が堂々たる"勝利の顔"を浮かべていた。DANGERKIDSの出番を迎えるに相応しい、抜群の余韻を残して自身の出番を務め上げた。

そしていよいよお待ちかねのDANGERKIDS登場を前に、フロアからは待ちきれない観客から歓声が上がる。登場したDANGERKIDSの5人は、自分たちを観に集まった観客の笑顔を前にとても嬉しそうな表情を見せる。彼らが1曲目として選んだのは、昨年Rise Recordsよりリリースしその名を広げるきっかけとなったデビュー・アルバム『Collapse』のリード・トラック「cowntdown」。イントロのデジタル音が鳴った瞬間フロアが沸き立ち、Andy Baneのシャウトと共に一気に激情の一幕が始まる。曲が始まったとたんフロアが息を飲み、より彼らに意識が向けられたことが伝わってくる。DANGERKIDSというバンドの曲が強いフックを持つことを思い知らされた。次に演奏されたのは「We're All In Danger」。フロアの温度は更に加速し、この日1番の巨大なサークルが発生。エモーショナルなギター・リフで始まる「Fractions」では、サビでのヴォーカルふたりのハーモニーがより調和して美しく響いていた。
 小休止を挟んで続く「Paper Thin」では、弦楽器隊が全員後ろを向いて音を打ち鳴らす姿も。ただ体の向きを変えるだけの動作でも、ここまで胸を打つ演出に仕立て上げられるのは、曲自体の持つパワーやバンドのチームプレーの部分が大きいのだろう。マイナー調のリフにシャウトが重なる「Hostage」や、ピアノの音色が非常に楽曲とマッチした「light escapes」など曲ごとのカラーも変えながら、それでもDANGERKIDSという軸の強さは全く損なわずに進んでいった。
本編ラストの「Waking Up」が終わっても、もちろん熱狂した観客はそれだけでメンバーを帰すはずはなく、アンコールに応え「Cut Me Out」を披露。惜しまれつつの終演となったが、彼らがステージを後にしてもフロアには冷めやらぬ興奮と熱気が充満した幸せな空気を纏っていた。

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