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激ロック | ラウドロック ポータルサイト

LIVE REPORT

ZEBRAHEAD

2013.12.04 @SHIBUYA-AX

Writer 山本 真由

SUMMER SONIC 2013で、自身が持つ最多出演記録を塗り替えたZEBRAHEADが、有言実行、年内に単独ツアーで第2の故郷・日本にカムバック!しかも、今回はフェスでは見ることの出来ないパーフェクトなパーティー仕様のショウになっていた......。

今回のジャパン・ツアーの見どころの1つが、東名阪の3都市をKNOCK OUT MONKEYと一緒に回るという、シマウマとサルの共演、日米ポップ・パンク対決。ラウドロックのテイストもあるミクスチャー・パンクの新旧対決、とも言えるこの2バンドは、サウンド的にも相性抜群だ。しかも一緒にツアーを回りながら酒をくみかわし、信頼関係もバッチリだったようで、その良い雰囲気はその日の2バンドのライヴからもしっかりと伝わって来た。
19時定刻、まずは青コーナー、挑戦者のKNOCK OUT MONKEYが、いきなり全身全霊のパワフルなパフォーマンスで、オーディエンスを一気にライヴ・モードへ盛り上げる。安定したヴォーカル、キレッキレのギター・ソロ、多彩な楽曲を変幻自在にリードするリズム隊、それら全てが"これがKNOCK OUT MONKEYだ"と見せつけてくれた。この日彼らを初めて見たZEBRAHEADのファンたちも、"曲を知らなくても取り敢えずこの音に身を任せるのは楽しいぞ"と思えたはず。

そして赤コーナー、チャンピオンのZEBRAHEADが登場......する前から、なんだかステージの様子が可笑しい。ディズニーの小人さんみたいなコスプレのクルーが、楽器のセッティングに加え、クリスマスの電飾やら謎のカウンターをセットし始める。一足早いクリスマス・パーティーの予感に、オーディエンスはざわざわ......。
準備が終わり、会場の期待度もMAXとなったところで、ゼブヘのメンバーが登場!1曲目は、最新アルバム『Call Your Friends』の冒頭を飾る「Sirens」だ。新曲にもかかわらず、サビは会場全体で大合唱!さすが、サービス精神旺盛なこのバンドに対するファンの信頼感は凄い。そして、一気に一体感を増したSHIBUYA-AXに、火に油を注ぎこむようにキラー・チューン「Hell Yeah!」が投入される。まさに抜け目のないセットだ。続く「Two Wrongs Don't Make a Right, But Three Rights Make a Left」のAliとMattyによる絶妙な掛け合いで、さらにその勢いはヒート・アップ。フロント4人は、クリスマス仕様の煌びやかなステージをいっぱいいっぱいに動き回り、そのまま新作のタイトル・ナンバー「Call Your Friends」のコーラスで再びの大合唱。間奏のブレイクでゼブヘ・クルーによる一気飲みコーナーがあったり、本当にやりたい放題だ(笑)。もちろん、いつもの下ネタMCも欠かさない。
そのポップでハッピーな雰囲気から一転、ヘヴィなナンバー「Ricky Bobby」へ突入、激しいモッシュが巻き起こる。お髭のチャーミングな新メンバーのギタリスト、Danのソロも冴えわたり、そこからライヴの定番曲「Postcards From Hell」へ。そして、これまたいつものブレイクで"スワッテクダサーイ"のパフォーマンス。一斉にジャンプするオーディエンスの様子は2階席から見ていると圧巻の眺めだ。こうしてパーティー会場がすっかり温まりきってアツアツになってきたところで、ZEBRAHEADからファンへサプライズ・プレゼントが。なんとオーディエンスをステージに上げて、ビールで乾杯するコーナーが。ここでステージにセットされたカウンターの謎が解けた。カウンターの下からはビールのケースが登場し、ステージ上に即席のBarが出来上がる。ビールの準備が整ったところで、「Drink Drink Oh Tokyo」という乾杯ソングが披露され、乾杯要員に選ばれたラッキーなレディたちは、ステージ上で踊りながらパーティーを盛り上げた。

こうしてひとしきり遊んだのち、再びニュー・アルバムから「Born To Lose」が披露される。ライヴ・モードに戻ったところで、懐かしの名曲「Falling Apart」。ニュー・アルバムを引っ提げてのツアーでもこうしてしっかりファンを納得させる新旧織り交ぜた絶妙な選曲は、長年変わらぬ人気を持つバンドならではだろう。そしてコール&レスポンスから、前作のヒット・ナンバー「Get Nice!」へ。こういうハッピーな曲をやらせたらゼブヘの右に出るものはいない!まさに向かう所敵なし(色んな意味で)!続いて、メタリックなリフと高速ラップでガンガン攻める「The Set-Up」では、この日1番のサークル・ピットが完成。びっしり汗をかいたところで、「Mike Dexter is a God, Mike Dexter is a Role Model, Mike Dexter is an Asshole」。漂うグルーヴと軽快なノリに合わせて自由に踊るダンシング・タイムだ。さらに、カヴァー・アルバム『Panty Raid』収録の、常夏のパーティー集団・BAHA MENのカヴァー「Who Let the Dogs Out?(シークレット・トラック)」と女装ミュージック・ビデオが本人からお叱りを受けたことで話題の(笑)Avril Lavigneのカヴァー「Girlfriend」の良いとこ取りミックスという、ライヴならではの飛び道具が。
そこからまたまた新曲へ戻って「Public Enemy Number One」。楽曲のバリエーションが豊富なのにも関わらず、これだけ新旧の楽曲を行き来しても違和感なく繋いでしまうのは、彼らの根底にあるポップさとヘヴィさの絶妙なバランスと、リスナーを突き放さない一貫した"盛り上げ"にこだわる曲作りがあるからだろう。

年々、日本語(主に下ネタ)のボキャブラリーが増えて、来日公演のたびにアレンジをきかせて笑わせてくれるお茶目なゼブヘ。ついに、「Playmate Of The Year」ライヴ・ヴァージョンのいつもの"フー!ファーック!"の掛け声も、この日は"フー!マ○コー!"という直球にお下品な(笑)日本限定ヴァージョンに。日本全国、これまでの歴史の中でこんなに大勢の人たちが"マ○コー!"なんて叫ぶことはなかったろう......BEAT CRUSADERSのライヴを除いては(笑)。ビークル無き今、こんなことが出来るのはもうゼブヘだけ!
そして、"ZEBRAHEADのライヴに集まる仲間はみんな友達だ!肩を組んで踊ろう!"とAliが語りかけ、オーディエンスもそれに応じて、「Hello Tomorrow」へ。ここへきてやっと、AliがTシャツを脱いでいつもの半裸に。真冬のライヴでもこれだけヒート・アップしたらそうなるわな。

そしてここで、また乾杯のコーナーが入る。今度は、メンズを選出してのテキーラ・タイム。「Drink Drink Oh Tokyo」の再演にラッキーな酔っ払いたちがステージ上を踊りまわる。アルコールが良い感じにまわったところで、超絶キラー・チューン「Mental Health」!ライヴはクライマックスへ。ちょっとくらいMattyの声が出なくなってももはや気にならない!もう白熱したこの勢いは誰にも抑えられない。このタイミングでBenが"1番お気に入りの曲だ"なんて言うから、どんなヒット曲をこの次に持ってくるのかと思いきや、まさかの「Ching Ching Bing Bing」......ほんとこの人たちは(笑)。しかも、こんなにふざけた曲なのにバックの演奏はめちゃめちゃカッコイイっていう。その爆笑から、一気にラストの「HMP」へ駆け抜け、Aliはダイヴし、ここで一旦シメ。

しかし、ここですんなり終わらないのは、ゼフヘのファンならしっかり分かってる。もちろん、アンコールもサービス満点だ。メンバー全員サンタクロースの扮装で現れ、Mariah Careyのカヴァー「All I Want for Christmas Is You」を披露!しかも"All I Want for Christmas Isビール(日本語発音で)!"というジャパン・オンリー・ヴァージョン。どこまで抜け目がないんだ。さらに定番曲の「Rescue Me」、最新パーティー・ナンバー「I'm Just Here for the Free Beer」と続け、最後はもちろんアノ曲!みんなの「Anthem」!

こんなに笑ってはしゃいで飲んで歌って、みんなで一体になって盛り上がれるライヴはそんなにないだろう。 "オマエラサイコー!""トーキョーダイスキ so fuckin' much!"という彼らの言葉は、外タレ特有のリップ・サービス的な上っ面じゃない、本当にその瞬間を楽しんでいる心の底からのメッセージだ。素敵なクリスマス・プレゼントをありがとう。またいつでも"第2の故郷"に帰って来いよ!

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