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LIVE REPORT

SUICIDAL TENDENCIES

2013.04.06 @下北沢Garden

Writer 荒金 良介

"SUICIDAL TENDENCIES 30th Anniversary World Tour in JAPAN "Suicidal Familiy Cyco Weekend" "13" album release party&video bash!!!"と長いイベント名が付けられた一夜限りの今回のライヴは結成30周年という記念すべき節目でもあり、Mike Miur(Vo)のサイド・プロジェクト、INFECTIOUS GROOVESを引き連れ(とはいえ、メンバーは同じだが)、2バンドを別日に分けた形式で2日間に渡って開催された。2日目の今日は本家SUICIDAL TENDENCIESがトリを務め、会場はそりゃもうギュウギュウの大入り状態で、自分の居場所を確保するのも困難なほどだった。結成30周年を経て、この求心力の凄さは何なのか。それはライヴとここに集まった観客の熱気がすべてを物語っていた。この日は日本からS×T×D、A.O.W、ABNORMALSの3バンドが組み込まれ、フロアを十二分に温めた後、21時過ぎにようやくSUICIDAL TENDENCIESの出番が来た。

早々にSTコールや怒号が飛び交い、演奏前から場内の興奮状態はマックスに!そして、傑作4thアルバム『Lights...Camera...Revolution!』のオープニングを飾る「You Can't Bring Me Down」でショウは始まった。泣きのギター・ソロから一転、スラッシュ・パートに突入すると、フロアはモッシュ&ダイバーで溢れ返り、もみくちゃのカオスとなった。序盤に最新作『13』から「This Ain't a Celebration」を唯一演奏し、盛り上がりも上々だった。MOTORHEAD風味のギター・リフ、キャッチーなノリ抜群の佳曲でライヴでも格段に映えていた。ちなみに最新アルバムは前作『Free Your Soul...And Save My Mind』から13年ぶり、2013年発表、オリジナル・アルバム13枚目、新曲13曲入りと、いろんなタイミングが重なった意味深いタイトルで、作品自体もバラエティに富んだ快作である。話をライヴに戻すと、「Institutionalized」、「War Inside My Head」、「Possessed To Skate」、「Cyco Vision」などの名曲を連発し、往年のファンからキッズまでテンポ・チェンジ激しい起伏溢れるグルーヴで巻き込んでいく。

ステージ右に位置するDean Pleasants(Gt)はライト・ハンドからギター・ソロまで超絶テクをさらりと披露し、ドカンと中央に居座ったSteve Brunner(Ba)は6弦ベースで時にジャジーなフレーズを織り込み、左に位置するNico Santora(Gt)はSTコールを煽るなどアジテート役もしっかりこなし、巨体のEric Moore(Dr)は図太くタイトなリズムを叩き出す。そこにトレード・マークの青いバンダナを巻いたMike Miur(Vo)は1カ所に止まることなく、ステージをアスリートのごとく左右に動き回り、気骨漲るパワフルなヴォーカルで観客を焚きつける。また、歌いながら拳を突き出すような仕草でフロアにマイクを向ける様は惚れ惚れするほどかっこ良かった。アンコールのラスト曲「Pledge Your Allegiance」ではステージに観客をどんどん呼び込み、STコールの大合唱を巻き起こし、100分に及ぶライヴは幕を閉じた。今日集まった観客はSUICIDAL TENDENCIESのTシャツに青いバンダナ、ツバを上げたキャップ・スタイルというお約束の格好で決めたファンが大挙して詰め掛けていた。音楽とファッションを結び付け、1つのカルチャーにまで押し上げる魅力を兼ね備えた存在という意味で、彼らの右に出る者はいないだろう。30年の風雪を吹っ飛ばす現役バリバリの貫禄のパフォーマンスを観て、心底感動した。

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