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LIVE REPORT

CONVERGE

2013.02.19 @渋谷CLUB QUATTRO

Writer 吉羽 さおり

8作目となるニュー・アルバム『All We Love We Leave Behind』をリリースしたハードコア・ヒーロー、CONVERGEが、3年ぶりのジャパン・ツアーを行なった。今回の来日は、ベーシストのNate Newtonが在籍するOLD MAN GLOOM(OMG)がスペシャル・ゲストとして参加。Nate、ISISのAaron Turner、CAVE INのCaleb ScofieldなどによるOMGは今回が初の来日。しかも昨年、8年ぶり(!)の新作『No』を突如発表してファンを驚かせたばかりだ。CONVERGEを結成した90年代初頭よりゆかりのあるバンド/メンバーとのライヴは、最強タッグというにふさわしい。一瞬も見逃すまいという観客の緊張感と高揚感とで、会場は満ちていた。とくに初の日本でのライヴであるOMGのステージでは、びりびりと地を這って全身を駆けめぐる彼らの重低音サウンドを余すことなく一心にむさぼる、観客の恍惚感で場内の温度を上げていた。


そしていよいよCONVERGE。すさまじい歓声に迎えられ、まずはBen Koller(Dr)、Nate(Ba)、Kurt Ballou(Gt)が登場し、より大きな拍手がわくなかフロントマンのJacob Bannonが現われると一気に場内のテンションが上昇。披露されたのは、『No Heroes』『Jane Doe』『Axe To Fall』そして『All We Love We Leave Behind』のそれぞれ1曲目を飾る曲だ。言わば、インパクトの強い掴みの曲で、カオティック・サウンド、ハイ・ボルテージでいてリリシズムにも溢れた彼らの世界観へとがっちりと引き込んでいく。マイクを握り締め、ストイックさを感じさせる細い身体から声を絞り出すように叫びをあげるJacobの姿は、いつ見てもカリスマティックだ。一方で、この日Jacobが着ていたMOTORHEAD Tシャツに、観客が"MOTORHEAD!"と声を上げると、一緒になってMOTORHEADコールをしたりとお茶目さも見せる。


中盤は『All We Love We Leave Behind』からの曲が中心。これまでの作品での渾身の叫びよりも、"歌"の要素が強く、またギター・プレイに関しても強度なリフと旋律とで聴かせる曲が多い。激しく、ダイナミックなビートにフロアはモッシュ、ダイヴが絶えないが、アルバムのタイトル曲や「Sadness Comes Home」などは、怒涛のごとく疾走していくセット・リストのなかでドラマティックに光って、新たなドライヴ感を生んでいた。とはいえ、その神髄は不変。カオティックと一口で言っても、CONVERGEというバンドでしか鳴り得ない、さまざまな感情がせめぎ合いぶつかりあって、生の原動力たるエネルギー、爆発的な力を生み、聴く者の魂を震わせるサウンドを全身で発していく。音楽の、ステージの生きざまと言うべきものに、深く心を揺さぶられるのが、まさにCONVERGEのライヴだ。アンコールも含めて、20曲近く。すべての力と言霊とを吐きだしたJacobが投げたマイクは、天上からぶらりと垂れ下がって、ステージの余韻と興奮と熱気に満ちた観客の歓声を拾っていた。ラストまで、痺れるほど最高のライヴだ。

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