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LIVE REPORT

MAE|2011

2011.02.23 @渋谷CLUB QUATTRO

Writer MAY-E

『Destination: Beautiful』(03年)でのデビュー以来、ピアノ・エモの歴史を築い上げてきたかけがえのないバンドが、またひとつ幕を下ろした。解散ツアーの最後日を、ここ日本に選んでくれたMAEである。その名も「GOODBYE,GOODNIGHT TOUR」......これが最後なのだと改めて思い知らされる、あまりに切ないツアー・タイトルだ。
これまでにリリースしてきたアルバム『Destination: Beautiful』、『The Everglow』(05年)、『Singularity』(07年)は、それぞれの作品に新しい挑戦があったし、『(m)orning』『(a)fternoon』『(e)vening』の三部作から成る"物語"の真っ只中にあったバンドである。解散などまったく予期していなかっただけに、ショックは大きい。最後の、そしてこの特別な一夜の会場となった渋谷クラブ・クアトロには、大勢のファンが集まった。

定刻をまわり、照明が暗転すると、SEもないままファンの拍手に迎えられて、ステージに5人が登場。おもむろに楽器を手にし、ショウ当日はまだリリースされていなかった新作『(e)vening』からミディアム・ナンバー「Bloom」でゆっくりとショウはスタートした。透明感溢れるサウンドとDaveの柔らかな歌声が、たちまち会場を優しく包み込んだ。

出世作『The Everglow』から「Anything」「Suspension」、デビュー作から「Embers and Envelopes」と人気曲が続き、歓声と手拍子が沸き起こる。フロアも小刻みに飛び上がっていた。
解散がアナウンスされた時点での公式メンバーはDave Elkins(Vo&Gt)、Zach Gehring(Gt)、Jacob Marshall(Dr)の3人であったが、オリジナル・メンバーのMark Padgett(Ba)とRob Sweitzer(Key)が、このツアーの為に復帰していた。抜群の安定感をほこる5人が織り成す、優しくも力強いバンド・アンサンブルに、たまらず心が震える。
前回のツアーのように3Dメガネを配布するなどの新機軸はなく、あるのはバンドの演奏のみ。だがその分、ライヴならではの醍醐味をじっくりと堪能することが出来た。「The Ocean」や、アコースティックの「Sun」の温かさを肌で感じたり、「Night / Day」のムーディーな演出にうっとりとしたり......。ロックはここまで優しくなれるのか。中でも、アンコールの「Were so Far Away」「Someone Else's Arms」での会場ひとつになっての大合唱は、圧巻だった。
"Goodnight Tokyo!アリガト!"そう言って、笑顔でステージを去った5人。彼らの歌とメロディは、ここに集まったファンの胸に確かに刻まれている。そして、それは永遠に消えることはないだろう。素敵な曲を、そして最高の時間をありがとう、MAE。

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