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LIVE REPORT

MY CHEMICAL ROMANCE|SUMMER SONIC 09

2009.08.07 @千葉マリンスタジアム&幕張メッセ

Writer TETU★KID

NINのライヴ後、僕はすっかり呆けてしまっていた。衝撃と感動が、体から全く抜けていかないのだ。ついさっきまで、ここで起こっていた夢のような現実を一体どう消化すべきか。そんなことを考えながら、間もなく始まるMY CHEMICAL ROMANCEのショウに向けて、自分自身の気持ちの切り替えばかりを急かしていた。

思えば、00年代のアメリカの地下シーンから出てきたバンドで、SUMMER SONICのトリを務めるバンドはMCRが初めてである。今後、同じシーンから日本のフェスのトリを務められるほど大きなバンドが出現するなんて今のところ見当がつかないし、正直なところ難しいと思う。だから今、彼らがこの舞台に立てたことを僕は心から喜びたい。
サマソニとは言え平日の金曜日。さらにNINE INCH NAILSの時間の豪雨の影響もあって、例年のように超満員とまではいかなかったものの、開演時間が迫れば、待ちきれないオーディエンスから手拍子が沸き起こっていた。
定刻を20分過ぎ、メンバー5人の姿がバックライトに映し出される。「This Is How I Disappear」でスタートだ。久しぶりにブラパレの衣装を脱いだ、普通のMCRの姿を見る(といっても、やっぱり全身黒なんだけど)。ステージに設置された火炎装置から二発の炎が上がって、さっそくトリの気分いっぱいだ。「I'm Not Okey」のイントロで、ステージ後方に掲げられていた<MY CHEMICAL ROMANCE>のロゴが描かれたフラッグが剥がされ、なんとカタカナで「マイ ケミカル ロマンス」と書かれた完全日本仕様のフラッグがお目見え。これにはオーディエンスも大喜びの様子だ。アルバムよりうんと速くプレイしているのに、演奏はちゃんとまとまっていてとても嬉しい。新曲や、映画ウォッチメンのテーマ曲への反応も上々だった。

「Mama」ではリズムに合わせて炎が上がり、ステージが真っ赤に染まる。どこかでメンバーが「ステージが真っ赤に染まる"Mama"の演出は、THE BLACK PARADEツアーの見所の一つだよ」と語っていたけれど、それをまたここで見ることが出来て良かった。「Dead!」もかなり速かったが、こちらも炎が噴き出し、オーディエンスも炎に負けずと燃え上がっていた。

聴き慣れたピアノの音色が響く。その瞬間、ウォー!!という歓声と拍手があがった。ライヴも後半に差し掛かり、いよいよ「Welcome To The Black Parade」の時間だ。オーディエンスにマイクを向けて歌わせるなど、盛り上がりも最高潮。拳を上げて歌うヴォーカルGerard Wayの姿がなんだか頼もしい。曲の終盤はステージ上部から炎のシャワーが降り注いでいた。華々しい演出も様になる名曲である。
本編を終え、アンコールの一曲目となるバラードの「Cancer」では、Gerardがアリーナ席の前方ブロックの真ん中に現れた。つまりはファンに囲まれて歌う形だ。そこでオーディエンスに向けて感謝の気持ちを言葉にするGerard。切ないメロディと熱っぽい歌声が胸に染みる。ラストは「Helena」。サビのシンガロングは本当に感動的だった。サード・アルバム『The Black Parade』以降、このバンドを取り巻く環境は一変したけれど、今のMCRはデビュー当時と変わらず野性的で、まだまだ進化を止めないバンドであることを証明してくれた一夜だった。

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