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LIVE REPORT

THE KBC JAPAN TOUR 2008

2008.11.13 @渋谷 CLUB ASIA

Writer 吉野将志


MADCHESTER、BREAKBEATS、NEW RAVE/NU RAVEと脈々と受け継がれてきたダンス・ロックの歴史に新たな1ページを刻みつけるべく、セカンドアルバム「The Trick」をシーンに叩きつけたTHE KBC。そんな彼らの07年1月の初来日公演以来となる2度目のライブが行われようとしていた。



前座は次世代ミクスチャー・ロックバンドのGARI。重低音を効かせたへヴィーなギターにのせてラップとメロディを絡み合わせるという従来のミクスチャースタイルに、打ち込みやシンセなどを導入した独特なサウンド。それぞれの楽曲のイメージに合わせた幻想的な照明が印象的であり、なるほど、これが新感覚なミクスチャー・ロックサウンドと謂われる所以なのかと納得!!そんなGARIのパフォーマンスにより会場が徐々に温まり、THE KBC登場が近づくにつれて、キャパ300人フロアは埋め尽くされていく。


熱気を帯びた歓声と拍手の中、SEに合わせてメンバー登場。さっきまでTシャツ姿であったJimmyがブリティッシュ・ファッションできめて、ファンの待つステージに登場すると、黄色い声援を一蹴するかのように昨年リリースしたEPから「Walking Disaster」でライブをスタートさせる。Michaelの気持ちよく響き渡るドラムビートで水を得た魚のようにうねるRicoのベース。これでだけで十分踊れるのだが、そこにJimmyの変則的なギターリフ、そして伸びやかな歌声にのせられたキャッチーなメロディー!!これで踊れない訳がない。



ただ、音があまりいいとは言えなかったのがちょっと残念。サウンドチェックの段階で機材トラブルもあったことも影響しているのだろうか・・・。そんなこんなでまずは「Pride Before The Fall」でライブ前半の山場を迎える。疾走感とUKギターロック感満載のギターリフが鳴り響くと会場には歓喜の声。原曲の1.5倍速で演奏されていたのだが、ステージだけが走っているのではなく、ステージからの興奮がちゃんと伝わっており、会場はダンス・ダンス・ダンス!!



ライブ後半に差し掛かる頃、Jimmyが「アリガトウ」とフロアに語りかけると、会場には「いやいや、こちらこそ来てくれてありがとう」的な声援。和やかで温かい空間をシフトチェンジするべく、「Steven Get Even」、「Measure In Waves」、そして「Test The Water」などと演奏され、もう会場はノリノリの、ノリノリ!!続いて、しっとりとした楽曲「Four Feet」でショウ全体にメリハリをつけた後、「La Musique」が演奏される。この時、jimmyがジャケットを脱ぎ、ギターを置いてなにやら企んでいる様子。




"KBC"と赤で書いてある拡声器を持ち出し、なんとそのままフロアに直行!! 驚いたことに、フロアにいたファンは不用意に絡んでライブの邪魔をすることなく、Jimmyを囲んで一緒に楽しんでいるのだ。これは普段よりファンとコミュニケーションを大事にしているTHE KBCのライブだからこそ生まれる一体感であろう。間違いなく、あの空間にはJimmyの中心とした「音楽の輪」が出来上がっていたのだ。





突如、ピコピコ音が鳴り、会場には本日一番の大歓声が生まれた。Jimmyがフロアに下りてきたことでテンションも激上がりの中での彼らの代表曲「Not Anymore」である。待ってましたの如く、フロアは本日一番のダンシング・モッシュ!!そんなフロアを見て、ステージの三人も満面の笑みを見せていたのが印象的だった。


「Best In The Business」、「Poisonous Emblem」のアンコールで締めくくられたTHE KBCの来日公演。THE KLAXONSに端を発するNEW RAVEの文脈の中で、THE SUNSHINE UNDERGROUNDなどと一緒に語られることの多い彼らであるが、そんなことはまったくなく、ロックとダンスの融合を新たな次元に展開させたギター・ロックバンドであることが改めて確認できたライブであった。(吉野将志)




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