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激ロック | ラウドロック ポータルサイト

LIVE REPORT

MAE Japan Tour 2008 with 9mm Parabellum Bullet

2008.02.15 @渋谷O-EAST

9mm Parabellum Bullet

エモーショナル・ロック・バンドの代名詞こと、MAEの東京公演。そのオープニングアクトに抜擢された9mm Parabellum Bullet(以下9mm)は、激ロッカーにとってはPUNKSPRING 07のPARAMOREの代役として出演したことでも印象的であろう。2004年3月の結成から、EMO、HARDCORE、METAL、POST ROCKなどの影響を反映させた音楽性と、その爆発的なライブパフォーマンスで人気を獲得してきた彼ら。COUNTDOWN JAPAN 06/07やSUMMER SONIC 07などにも参戦キャリアをもつ彼らのライブパフォーマンスが、客層の全く異なる会場でどんな形で展開されていくのか、とても楽しみにしていた。


Atari Teenage RiotのSEでの登場、丁寧なお辞儀、そして、日本語での自己紹介。親近感を感じるともに好印象である。おそらく会場の大半を占めるMAEファンも同じ気持ちになったに違いない。それまでの穏やかな空気を切り裂くような激情のインプロ、それとは対極を奏でるアルペジオの旋律が会場の感覚に溶け込んでいく。

そんな「Heat-Island」から始まった彼らのライブは、一言でいうと変態!!誤解を恐れず言うならば、そのライブからは和製PROTEST THE HEROではないかとの印象も受けるほどである。ハーコーダンスのようなステージアクション、興奮を爆発させるようなスクリームなど、所詮ライヴは自己満足の賜物だろ?とでも言いたげな自分たちの世界に没入しているライブパフォーマンスであった。もちろん、会場に手拍子を喚起したり、MCで面白おかしなことを言ったりと目の前のファンを無視しているわけではない。その自己満足的な演奏と会場とのコミュニケーションが絶妙に絡み合い、あれよあれよという間に会場のテンションは上昇していった。


最初は9mmってどんなバンドなんだろう?と感じていたお客の反応も最終的にはかっこいいじゃんに変わっているのだから噂以上である。NUMBER GIRL やASIAN KUNG-FU GENERATION以上の衝撃と称される9mmには、ロック魂なるものを喚起させる力があると感じたライブであった。

Reported by 吉野将志


MAE

来日はこれで3度目だが、今回はこれまでと大きく違う事が2つある。昨年、結成時のオリジナル・メンバーであるキーボーディストとベーシストの2人が脱退したのだ。つまり、正式メンバーは現在3人。抜けてしまったキーボードとベースにはサポートメンバーを従えての来日となったことがまず1つ。そしてもう一つは、サード・アルバム「Singularity」での音楽性の変化だ。繊細なMAEサウンドはそのままであるが、よりダイナミックで重量感のある音をきかせてくれた作品だった。

mae ライブレポート

この2つを踏まえて、さて、新生MAEのライブはいかがなものかと期待が高まる中、会場が暗転。暖かい拍手と歓声に迎え入れられ、ついにMAEの登場だ。ブルーとパープルの照明に照らされ、会場は凛とした空気につつまれる。一介のエモ・バンドの枠を超えた筋肉質な音が、これから目の前で繰り広げられるんだろうと、私の胸が高まっていた。だが、冒頭でプレイしたサード・アルバム「Singularity」収録曲"Sometime I Can't Make It Alone"で、少々肩透かしを食らった。CDで聞くようにビシっと整理された重圧感のある音ではなく、リズム隊が若干だが乱れ、曲を全部解体して慌てて繋ぎ合わせたようなたどたどしさが感じられてしまったのだ。


mae live report img

例えばJIMMY EAT WORLD、ANBERLINのショーをご覧になった方なら分かると思うが、彼らはエモ・バンドでありながらもうんとタフでタイトな演奏を見せてくれるバンドなのだ。「Singularity」は、MAEもその領域に踏み込んだのは確実と思わせる作品だった。だけど、そうではなかったのだ。もちろん曲が進むごとに、演奏のまとまり感は増していく。新旧を織り交ぜたセットリストで、どの曲も「大切に」演奏している感じが伝わってくる。嬉しいサプライズだったのが、当初のセットリストには入っていなかった"This Time Is the Last Time"を披露してくれたこと! ミドルテンポのリズムが心地よく胸を打つ名曲だ。実はライブ直前のインタビューで、この"This Time Is the Last Time"についての質問をしていた矢先だったので、「ひょっとして、わざわざ盛り込んでくれたのかも!?」なんて図々しく思ってしまったりしていた。

*詳しくは、インタビューページを参照


→MAE インタビューページ




mae live report img

中盤~後半は、すっかり感覚を取り戻したといった風に、演奏はすっきりと整理されたようにまとまった。キーボードがドキドキ感を加速する名曲"Supention"でのドラマティックな音の広がりも素晴らしかった。キーボーディストとベーシストがサポート・メンバーであることをも忘れてしまいそうになるほど、5人が一つになってるのがよく分かる。骨太でタフに、とはいかないものの、O-EASTの空気までもキラキラと輝きだすような、そんな繊細でピュアな世界を創り上げてくれたのだ。

「頂上は気にしないんだ。僕達は例えば15年経っても、ファンの人たちに『あ、MAEの音楽だね』って納得されるようなバンドでいたい。」
デイヴはそんな風にインタビューで語ってくれていた。このデイヴの言葉はショーの最中、私の頭から消えることがなかった。
MAEは、変わりたくないのだ。最初は混乱してしまったが、ステージ上で時々見せるあどけない笑顔や、初々しさの残るメンバーの立ち振る舞いを見ていて、インタビュー中のデイヴの言葉とともに、ここまで来てようやく理解することが出来た。そして、涙しながらアンコール曲"Someone Else's Arms"を一緒に歌っていた、あの場にいた多くのファン達を見て思った。MAEはこんな風に、いつまでも、どんなことがあっても、変わらず心に響く音楽を奏でるバンドでいてくれるはずだ。

Reported by MAY-E


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