Ryan(Vo.) インタビュー MAY-E


-はじめまして!激ロックです。インタビューよろしくおねがいします。

ヴォーカルのRyanだよ。僕らのバンドに興味を持ってくれてありがとう!

-最初に、「AFTER THE SIRENS」というバンド名の由来を教えてください。

バンド名を決める時に、色々な名前の候補が挙がったんだけど、AFTER THE SIRENSっていう単語の並びが、色々な意味に解釈することが出来るから、この名前が気に入ったんだ。最初にこの名前が思い浮かんだ時は、ギリシャ神話に登場するサイレンのイメージがパッと頭に浮かんだ感じ。神話によればサイレンは魅惑的な歌を歌って、人々を惑わして虜にする。そのイメージが気に入ったからこの名前にしたんだよ。
(SIREN : 美しい人間の女性の顔と鳥の顔を持ち、歌声で人を廃人にする。シチリア島に近いアンテリッサ島に集団で棲み、いつも美しい声で歌を歌っている。この歌声が航海者の耳に入ると、彼らは心を奪われて自分からセイレンの棲む島へと行ってしまい、死ぬまで美しい歌声を聞く事になる。)

-結成からこれまでの経緯を簡単に教えてください。

音楽好きな友達同士で、楽器を使って遊んだり、ジャムったりしていたのがこのバンドの始まりなんだけど、2003年後半に本格的に曲作りを始めて、バンド活動をスタートすることにしたんだ。世の中には、憂鬱な気持ちとか自殺とかネガティブなメッセージを歌詞にするバンドが多いけど、僕らはそういう音楽には飽き飽きしていたから、結成当時から希望や癒し等のメッセージを含んだ曲を作ることを心がけてきたよ。去年数回のメンバーチェンジを行ったけど、バンドは、これまで以上に結束が強まったし、これまでどおり、僕らのメッセージをより多くのファンに聴いてもらいたいと願いながら活動を続けているよ。

-ATS最初の作品であるEP"We Have No White Flags"ではSCREAMO/POST HARD COREのアプローチを取っていましたが、アルバム"What I Have To Give, Let It Be Enough"ではインディーロックサウンドへとシフトチェンジしましたね。2006年に、かつてのメンバーであるドラマーのJasonやguitarist/vocalistのIan Pennがバンドを離れています。このサウンドの変化に2人のメンバーの脱退が関係していると想像するのですが、どうでしょうか?この期間、バンドに何が起きていたのですか?

バンドを始めてすぐの頃は、SCREAMOやPOST HARD CORE(UNDEROATH、EMERYなど)を好んで聴いてたから、初期はそういったバンドからの影響が色濃く出ていると思う。ただし、そういうフォーマットの楽曲では、自分達が表現したいことを100%表現できない事に気付いたから、次第に曲調を変えていった感じかな。EPでは僕も絶叫していたけど、大概のパートを前ドラマーのJasonが担当していた。だから彼がバンドから脱けた事も大きな要因の一つだし、何より最も大きな理由は、僕らの音楽的嗜好が変わってきたって事だね。

-特に、「Curare On Your Lips」が特徴的で、これまでのポスト・ハードコアにダンス系の打ち込みを融合させたとてもセンスのいい曲ですね。個人的にもお気に入りなのですが、この曲が出来た背景をぜひ教えてください。

最初にこの曲をスタジオに持っていった時は、メロディラインを考える時間が無くて、歌詞のほんの一部と、ラフなリフぐらいしか出来上がっていなかったんだ。最初にマイクの前で音あわせした時なんて、歌詞の一番最後の部分だけが完成してただけで、それ以外は頭に浮かんできた事を適当に即興で歌ってた。それから色々試行錯誤して、おおまかな曲のイメージが出来上がったんだけど、この曲にはダンスミュージックやテクノのエレメンツも融合させたかったんで、プロデューサーに意見を求めて、そういう要素をプラスして、レコーディング時には色々なエフェクト処理をかけてもらったんだよ。曲の仕上がりには物凄く満足しているし、メンバー自身お気に入りの曲なんだ。

-また「Curare On Your Lips」はPUREVOLUMEなどでも試聴できるようになっていますが、周りからどのような反響がありましたか?

ライブではOh, For Eyes of Glass等、別の曲の方が人気あるんだけど、ネット上で僕らの曲を聴くファンの間では凄く好評なんだ。この曲は様々なエフェクト処理をかけてあるから、今まではライブで再現することが不可能だったんだけど、最近、新しい機材を導入したから、そろそろライブでも演奏することが出来るようになると思うよ。

-女性ヴォーカリストが参加している曲がありますが、あの女性は誰ですか?

実は、あの曲では当初違う女性ヴォーカリストが歌ってくれる事が決まってたんだけど、レコーディング直前に、その人が病気にかかってレコーディングに参加できなくなってしまった。急な話だったから、代わりの人が見つからなくてね・・・途方に暮れてたらプロデューサーが、彼の元彼女にはシンガーとしての実績があると言って薦めてくれたんで、急遽彼女に頼む事にしたんだ。夜中の1時にスタジオに来てもらって、朝の3時過ぎまでレコーディングに参加してもらった。彼女はその日、朝8時から仕事の予定が入ってたのに、わざわざ僕らのために歌いに来てくれたんだから凄く感謝してるよ。

-EP"We Have No White Flags"では、ベースのJONがアートワークを手掛けているとのことですが、アルバム"What I Have To Give, Let It Be Enough"もJONが手掛けているのですか?

アルバムのアートワークは違うんだ。Jonは素晴らしいアーティストだけど、彼はイラストよりも彫刻のほうが得意だって言うから、アルバムのアートワークはGrant Hannaっていうアーティストに頼んで書いてもらった。彼は僕らの近所に住んでいるんだけど、子供の頃タイで育ったせいか、アートワークに若干アジアンテイストが感じられると思うんだよね。今回のアートワークはメンバー全員凄く気に入ってるよ。

-アルバム最後に収録された"A Waning"の最後のフレーズは、EPに収録された"A Wedding"から引用されているそうですが、この曲ににはどんなメッセージが込められているのでしょうか?

A Weddingは『ハートブレイク』についての曲なんだ。失恋についてって意味も含まれるけど、もっと大きい枠の意味で。この曲は神と僕らの信仰についての曲でね。僕らは神を信じているけど、時には信じる気持ちが揺らぐこともある。例えば僕らが我が侭だったり、怠けていたり、そんな時の気持ちを曲にした感じかな。この曲をEPにレコーディングする時に歌詞を用意してあったんだけど、曲をレコーディングしてみたら、ピアノの生々しい響きが凄く良く聴こえたから、敢えて歌詞をのせなかった。でもA Wedding用の歌詞の内容は凄く気に入ってたから、そのままボツにしちゃうのも勿体無いんで、他の曲に流用しようと思って作ったのがA Waningなんだ。この曲を作ったのは、アルバムのレコーディングがほぼ終了してからで、アルバムを締めくくる曲として僕とTomがピアノの曲に仕上げた。この曲にも生々しさを持たせたかったから、レコーディングは一発録りで、音そのものをまったくいじっていないんだ。

-国内盤ボーナストラックとして収録予定の「A Drowning Hymn」「Judah(Reprise)」を聴かせていただきました。この2曲は「Curare On Your Lips」よりも更にダンサブルなダンス・ロック・サウンドとなりましたね。この曲は実験的に作られた曲なのですか?それとも、今後のATSはこのようなサウンドに転向していくのでしょうか?

ボーナストラック一曲目のA Drowning Hymnは、Jasonの後任のNickが加入した後、始めて作った曲で、僕らにとってはまったく新しいスタイルの曲なんだよね。この曲が、今後のAFTER THE SIRENSのサウンドを示唆する曲かどうかは、今の時点ではまだなんとも言えない。あまり深く考えずに楽しんで作った曲だからね。ライブで演奏するとキッズの反応も凄く良い曲なんだよ。Judah (Reprise)は、アルバムの8曲目に収録したJudahっていう曲がライブで物凄く好評で、多くのファンが気に入ったって言ってくれるんだけど、もう少し長い曲だったら、もっと良かったのにっていう意見を耳にして、その意見に対するレスポンスで作った曲なんだよ。この曲にはテクノやエレクトロニカ等の要素を取り入れたから、僕らにとっては物凄くエクスペリメンタルな曲だね。でも、今後こういうスタイルの曲は多く作らないと思うよ。僕らはロックバンドだからね。当初はボーナストラック用に、初期のSCREAMOテイストを取り入れた、激しめな新曲を作ろうって話しもあったぐらいだし。さっきも言ったけど、僕らはロックバンドだからさ。

-次回作はどのような作品になるのでしょうか?

実は、既に新しい曲を何曲か作り始めていて、自分達でもかなり気に入ってる。さっきのボーナストラックについての解答でも少し触れたけど、初期の激しさを取り入れた新曲もあるんだ。多分、次の作品に収録される曲は、Curare On Your Lipsのようなダンサブルな要素と、初期の激しい要素をブレンドした曲が増えると思う。といっても新しいアルバムはまだまだ先の話だから、どういう内容になるかは僕らにもまだ分からないよ。今年はこれから6週間に及ぶ大規模なツアーが控えているから、そのツアー中に、対バンする他のバンドから影響を受けて、それを曲作りの新たなエッセンスとして取り入れることもあるかもしれない。バンの中で6週間もメンバー同士で顔をあわせるわけだから、ツアー中に良い曲をたくさん作れるように頑張るよ。

-あなたたちの作品には全てIan Van Opijnenという人物がプロデューサーとして関わっていますが、彼はどんな人物なのですか?

僕らは最初のデモ時代から彼と付き合いがあるんだけど、レコーディングをする度に彼のスキルがどんどん上がってきているのが分かる。彼はボストン近郊のバンドをたくさんプロデュースしていて、有名なところだとVANNA(EPITAPH RECORDS)とかを手がけているよ。それ以外にもローカルシーンで人気が高いTherefore I Am、The Breathing Process、Francineなどの作品も彼が手がけている。EPITAPHやDRIVE THRUといった大きなレコード会社も彼に仕事を依頼するようになってきているから、これからどんどん有名になりそうな若くて有能なプロデューサーだよ。彼は物凄く献身的な人間で、休憩無しで12時間ぶっ通しで僕らのレコーディングに付き合ってくれたりするし、無理なスケジュールで仕事を依頼しても、僕らの我儘をいつも受け入れてくれる。夜中の2時3時になっても文句一つ言わずに仕事をしてくれるんだから、本当に最高なプロデューサーだよ。

-ATSには様々な音楽の要素がつまっているけど、どのような音楽に影響を受けたといえますか?

ハードコアからインディーロック・・・とにかく、いろんなバンドに影響を受けてるから、全部のバンド名を出したらリストが終わらないよ。特に好きなバンドを挙げるとAS CITIES BURN、NORMA JEAN、DEATH CAB FOR CUTIE、MEWITHOUTYOU、SAOSIN、TAKING BACK SUNDAYとかかな。

-楽曲は主に誰が作っているのですか?

歌詞は僕が書いて、メンバー全員で曲を書いている。Tomがコンスタントに曲のアイデアを持ってくるから、彼が作ったパートに皆がそれぞれのパートを付け足していってる感じだね。

-この春、メンバー全員が大学を卒業したそうですね。バンドの活動もいよいよ本格的に始まる頃だと思いますが、今後の活動の予定を教えてください。

やっと学生生活が終了してホッとしているよ。僕らはまだバンド活動だけでは食べていけないし、僕を含めて家族を養わなきゃいけないメンバーもいるから、まだフルタイムバンドというわけにはいかないんだけど、学生時代よりバンドに裂ける時間が多くなってるから、これからどんどん活動の幅を広げていくよ。8月終わりからレーベルメイトのPalarisと一緒に45都市を回るヘッドライナーツアーに出る予定で、これまで行ったことの無い街でもライブが出来るから、今から凄く楽しみなんだ。

-8月には日本デビューも決まっていますね!最後に、日本のロック・リスナーに向けてメッセージをどうぞ。

日本でも僕らのCDがリリースされるなんて、物凄くハッピーだよ。レーベルには物凄く感謝している。日本にもツアーに行きたいし、行くつもりでいるよ。とりあえず僕らの音楽を聴いてみてね、気に入ってくれたら嬉しいな。

- インタビューありがとうございました。

いつか日本で会えることを楽しみにしているよ!


album AFTER THE SIRENS / What I Have To Give, Let It Be Enough
¥1,980(税込) GR-01 (2007.08.31 on sale)
artist official site
http://www.afterthesirens.com
http://www.myspace.com/afterthesirens

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