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INTERVIEW

LINKIN PARK

2017.05.16UPDATE

2017年05月号掲載

LINKIN PARK

Member:Brad Delson(Gt) Joe Hahn(DJ)

Interviewer:宮原 亜矢

-一般的にパーソナルなアルバムって、ファンにとってはアーティストの脳内や心中を垣間見るような思いで楽しめると思うのですが、今作を聴いて率直に"あなた方が我々に心を開いてくれた"と感じたんです。あなた方の感情を私たちファンや、音楽ファン、そして長年の友人たちとシェアしてくれたと感じ、"LINKIN PARKが私たちに歩み寄ってくれた"と思ったんです。とてもパーソナルなアルバムであると同時に、私たちひとりひとりに直接届けるようなアルバムだと。個人的な印象ですが、例えば前作『The Hunting Party』(2014年リリースの6thアルバム)はあなた方がマスに届ける必要性を感じながら作ったアルバムだったと思うんです。アリーナやスタジアムの大観衆を意識しているかのような。それが必要なのはわかります、なぜならあなた方は大きなバンドですし、大観衆をエキサイトさせることはある意味マストなわけですから。それでもあなた方は毎作違ったタイプの作品で私たちを驚かせてくれます。でも今作のパーソナルなアルバムはなんというか、"LINKIN PARKのメンバーひとりひとりがついに私たちに心を開いてくれた。これってすごい!"と思いが溢れ、感動し、作品をひたすら聴き続けてしまいました。

Joe:今までで最高のインタビューになるかもね。

Brad:僕らが受けたなかでもお気に入りのインタビューだよ! この前まで受けてきたインタビューがこんな感じなら僕は満足していただろうなぁ。とてもハッピーだよ。

-ありがとうございます!!

Brad:面白いことなんだけど、たとえ大きなリスクを犯したとしても挑戦すること以外に選択肢がないって僕らは毎回感じているんだよね。僕らがRick Rubin(※2007年リリースの3rdアルバム『Minutes To Midnight』~2012年リリースの5thアルバム『Living Things』でプロデュースを担当)と一緒に作業を始めたころ、彼が教えてくれたことのひとつが"挑戦する"ということだった。そしてその瞬間思ったことは、僕らが作るべきだと感じたことに対して誠実であること、誰かの期待に応えるための音楽を作ることや同じことを繰り返さないことだった。それ以来僕らは、ずっとリスクを犯しながら毎回他のアルバムとはだいぶ異なるアルバムを作っているんだ。このアルバムも例外じゃないよ。『The Hunting Party』はとてもヘヴィな、メタル・インフルエンスなアルバムだったけど、今作は君の言ったとおりとてもユニークでパーソナル、ストーリー性があって親密さがある。率直に言って、世間のリアクションを君も想像できないだろ? 僕らは誰かのリアクションを追い求めているわけではないんだ。僕らが音楽を作るときは、常に必然性を持っているんだ。真実を伝えているし、その瞬間僕らができる最高の音楽を作っている。もしそんな僕らの音楽が誰かと繋がることができたとき、それは僕らのコントロールを超えたマジックのようなものだよね。スタジオの外へ飛び出して僕らの手から離れてしまった音楽を僕らはコントロールできないのだから。

-そのとおりですね。ところで、本音を言いますと、私はLINKIN PARKのファンを約17年続けているのですが、あなた方おふたりは最もミステリアスな存在です。

Brad:それと最も面白くもある!

-(笑)そのとおり! なぜかと言いますと、あなた方はステージの上でクレイジーになることはありません。Chester Bennington(Vo)やMike Shinoda(Vo)とは違います。彼らのことはステージ上などでの感情表現からある程度わかるのですが、あなた方はクール。私にとってBradさんは天才であり、LINKIN PARKにおける中核を担うメイン・マシンだと思っていて、JoeさんはLINKIN PARKにおけるアートのような存在で......。

Brad:(Joeの方を振り向いて)素晴らしいインタビューだな!

Joe:あぁ!

Brad:ワォ! ほんとに残りのインタビューも君にやってもらえないかな?

-(笑)喜んで!......という印象をおふたりに抱いているので、正直なところおふたりにインタビューするのはかなりのプレッシャーでした。下手なことを言ったり、バカなことを言ったりしたくなかったので。質問をたっぷり用意してここにいますが、まったく見ていません。なぜならあなた方の回答を受けて、純粋にただただ正直でありたいと思っていますし、私のインタビューで日本人ジャーナリストの評判が落ちようと関係ない。私はただ、あなた方の純粋なファンで心のままにあなた方へ質問を続けたいと思っています。

Brad:君は素晴らしいよ。

-ありがとうございます。そして私は今作のような素晴らしく美しくてチャレンジングなアルバムに関してあなた方にお話をうかがえるなんて、本当にラッキーだと思っています。このアルバムで私たちファンはあなた方に関する書物の100ページほどを読み進められたように思っているんです。おそらくあなた方のファンも同じように感じるのではないでしょうか? 近頃はSNSが普及していて、あなた方のようなスターでも、私たちはあなた方の普段の様子を垣間見ることができますし、制作過程も見られる。つまり以前よりもあなた方を身近に感じられる環境になったと思います。だからこそ、今回のようなパーソナルなアルバムをあなた方が送り出したのは必然のように思うのです。これまでのようにミステリアスでクールなアルバムを作ることだってできたはずですが、パーソナルなアルバムを今放ったのは素晴らしい選択だと思いました。政情の不安定や人種差別など、様々なクレイジーなことが世界中で起こっている今、手を差し伸べてくれる、人生に光を与えてくれる存在が必要とされています。大きなことを歌うビッグ・スターよりも、ひとりひとりの目線に立ち、手を差し伸べてくれるような作品が必要とされているのではないかと。パーソナルなアルバムを作ったのが、なぜ今だったのかはわかりませんが、そのような背景を受けてのことだったのではないかと想像しました。いかがでしょうか?

Brad:僕らを突き動かしたものの背景には、何かの出来事があったわけではないんだ。何か本能的なものだったり、こうしなければならないといったことについての潜在意識だと思う。戦術的なものでもなければ名声を求めたものでもなく、僕らが創造できる限りの進化を詰め込んだんだ。言うなれば、"行動による創造"なんだ。いろんなことが本能的に行われたから、そうだね、君の言うとおりだね。世界を取り巻いている状況や、バンドの置かれている環境、それから僕らの人生が、僕らをこの瞬間、パーソナルなアルバムを作らなければと思わせたのかもしれないね。