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INTERVIEW

DRAGONFORCE

2017.05.16UPDATE

2017年05月号掲載

DRAGONFORCE

Member:Herman Li(Gt) Frédéric Leclercq(Ba)

Interviewer:米沢 彰

-偶然がきっかけだったんですね。

Frederic:本当にハッピーな偶然だよね。実は今回、歌を入れるにあたって雰囲気を大事にしたいというMarcの意見があったんだ。後ろからいろいろ言われるんじゃなくて、って。だからだいたいこんな感じでっていう話だけして、ひとりでやってもらったんだ。それで上がってきたのがこれだったから、こんなこともできるんだ! って驚いたけど、もしかしたらひとりでやってるから本人じゃないかもね。お隣さんとか、飼ってる犬とかかもしれないね(笑)。

-ほかの各トラックでももともと持っていた壮大な歌い方に、より広がりが出たように感じました。このあたりはコンポーザーとして、具体的にリクエストを出したりしたのでしょうか?

Herman:かなり任せたんだ。もちろん、1回録ってきたものを録り直してもらったりしたものもあったし、「The Edge Of The World」なんかはミックスの直前まで録り直したりもして、かなり大変だったよ。"ここを直して"って依頼したら"だったら全部録り直すよ"って話になったりもして、かなり時間はかかったんだ。

Frederic:こだわったのは、本気で歌詞を感じながら歌ってほしいっていうことだったんだ。聴いた側が声からその意味が伝わってくるようなものにしたかった。「Ashes Of The Dawn」はクリーン・ヴォーカルで神様に"この祈りに応えてください"って歌うパートがあるんだけど、ただ単にあっさり歌われたらつまらないから、その人物になりきって、本当に祈るような気持ちで歌うように頼んだんだ。だから本当にフィーリングがこもった重い歌になって返ってきて。「Curse Of Darkness」(Track.5)にも"お前の苦痛を俺の喜びとする"っていう歌詞があって、そこも思いっきり気持ちを込めてやってもらったんだ。今まではたぶん、思い切って気持ちを込めて歌うみたいなことができていなかったと思うから、そこに説得力が出たのは今作における彼の成長だと思うね。

-今作に関して、Fredericの"俺たちは速く弾くことがバンドの優れているところだと証明できたと思っていて、だから今回は音楽にもっと広がりを出したかったんだ"というコメントを事前に聞いていて、速さの追求はいったんお休みなのかな? と思っていたのですが、全然そんなことなかったですね。

Frederic:スピードってDRAGONFORCEを聴いてくれる人みんなが予想するというか、期待する部分だと思うし、バンドを始めたときからバンドのコンセプトのひとつでもあったからね。それを今まで追求してきたから、今となっては幅を広げていく方がチャレンジだっていう段階にきているってことなんだよね。

Herman:スピードに関しては、俺たちがバンド内で言っているわけじゃなくて、ファンやプレスが期待することとして語られがちなことだと思うんだよね。速ければいいと思ってやっていたわけじゃなくて、スピードを追求していた理由のひとつは曲の激しさとかパワーを増すための手段だったんだ。このアルバムのひとつひとつの曲は、テンポを数字で表したら実は今までの曲ほど速くはないんだ。だけど、エキサイティングな部分だったり、激しさという点では全然ひけを取ってない。俺たちが培ってきた経験から、単純な速さだけじゃなくて、速さを感じさせる術を身につけてきたんだと思うんだ。だから実際には今までと比べたらスローな曲も多いんだけど、聴いた人が感じるスピード感は落ちてないと思うんだ。

-ギター・ソロも含めてスピード感が減ったようには全然感じないですね。ユニゾンやギター・ソロがより映えるような感覚もありました。

Herman:それは曲作りの経験値が上がったことと、バンドが一緒に成長してきた結果だと思うね。曲によってすごく雰囲気が違って、次の曲に移ったときに"また新鮮な曲が出てきたな"って思ってもらえるようなアルバムになっていると思う。曲を生かす演奏をできるようになってきたからということじゃないかな。

-疾走感やスピードを活かした展開はこれまで以上にうまく使われていて、自在にアクセルを踏み分けて走るレーサーみたいなイメージすら湧きました。

Frederic:俺は免許を持ってないからわかんないけどね(笑)。

一同:(笑)

Frederic:ビデオ・ゲームの感覚しか知らないけど、なんとなく言いたいことはわかるよ。車のことだったらHermanに聞くべきだね。

Herman:"うお! スピード出しすぎた!"とかなったり(笑)。車の運転っていう感覚はすごくわかるな。バンドの場合は行くとこまで行っちゃうと、戻ってこれなくなることもあるんだけど、DRAGONFORCEはそこから戻すんだ。ハンドルさばきが違うんだよね(笑)。

Frederic:俺も自転車のことならわかるんだけどな(笑)。

一同:(笑)

Frederic:自転車でも同じかなぁ。

-(笑)そういう、自由自在に使い分けられる今の境地を考えると、タイトルの"Reaching Into Infinity"という言葉もすごくしっくりくると思いましたが、実際にはどういったイメージでタイトルをつけたのでしょうか?

Herman:最初のころの俺たちには作れないアルバムだと思っているんだ。1stアルバム(2003年リリースの『Valley Of The Damned』)を聴くとつらくなるぐらい。"今ならもっとうまくやれるのにな"って思ってしまう。でも、そこからいろいろ学んで、あらゆる意味でここまで進化してきたんだよね。

Frederic:このアートワークは自分たちの住む世界を表していて、自分たちを取り囲む状況は、悪いことばかり起きているからそこからエスケープしよう、ってことなんだ。音楽の力はInfinity(無限)だから、今いるこの状況から外に連れ出しくれるってことだね。無限の力がドラゴンに乗り移って、エスケープしていく。それは、今の状況が嫌だからっていうことだけじゃなくて、もっと前向きなエネルギーを孕みながらどこかへと旅立っていくような、そういうことを描いたアートワークでありタイトルなんだ。タイトルのイントロから始まって、そこからいよいよ出て行くぞっていう感じを出していってるからその高揚感も味わってほしいね。