－それは素晴らしいですね。当時と比べて、リズムの取り方の感覚が変わったなと感じるところはありますか？

戒：そうですね。さっき言ってた、前のめりだったのが後ノリになってるっていうのは、意識的にすごくわかるんですよ。でもそれって、クリックをよく聴くようになったのと、クリックに聴き慣れていなかった当時との違いだと思います。例えば、昔はフィル（イン）にいくときも、クリックを意識してないから、着地点だけ合えばいいんじゃね？ っていうか、走り気味になっていたりしてたんですよね。でもそれってやっぱり、クリックが鳴っているのを気にするようになっちゃったから、良くも悪くも後ノリになったなとは感じはします。感覚的にすごく感じますよ。

－悪くもというのは、どういうところなのでしょうか？

戒：バラードだったらいいんですけど、激しい曲で後ノリの感じって、あんまり良くない気がして。もっと"グッ！"て勢いでいっちゃっていいんじゃん？ って思ったりもするし。曲によって要所要所で使い分けた方がいいのかなと。あんまり意識せずにやることもあっていいのかなとは思いますね。

－RUKIさんが意識したのはどういうところでしょうか？

RUKI：昔の曲をレコーディングしてた当時は、かしこまってしまうというか、あんまりわびさびがなかったり、強弱がなかったりしていたので、そこは自然に歌おうと思いました。まぁライヴでやってる曲だから、歌いまわしもライヴに近い感じで。あとはレコーディングで歌ってるときに、終わり方はこうした方がいいとか、伸び具合はこうした方がいいとか、その場で変えちゃったりしましたね。

－スキルが上がったからこそできることですよね。昔より歌のスキルが上がったなと実感する部分はありますか？

RUKI：うーん、時期にもよるんですけど、昔の音源を聴いてると、初期は歌い方が歌詞に比べて強かったり、もうちょっと弱いイメージなんだけど、強く歌ってしまっていたり、語尾のピッチがふんわりしてたなぁとは思いますね。

－「体温」では、英語詞だった部分が日本語詞になっていますね。

RUKI：言ってることは同じなんですけど、直訳してしまうと厳しい言葉が多いので、字面的には合わせてます。"伸びる影は幾つ？"とか"伸びる手は幾つ？"とか、そういうところをフック的に入れました。アレンジもほとんど変わってますし。

－『TRACES VOL.2』がリリースされて、3月10日に15周年記念ライヴ"大日本異端芸者「暴動区 愚鈍の桜」"と題された公演が国立代々木競技場第一体育館で行われます。このライヴはファンからセットリストのリクエストを募集していましたが、反応はいかがでしたか？ 例えば意外な曲のリクエストが多かったとか。

RUKI：俺はあんまり意外だとは思わなかったですね。

葵：バラード・ベストを作ってたから、やりたかった曲はあったんですけど、それが全然下の方だったっていうのはありました。「絲」とか。

麗＆REITA＆戒：あ！ 俺も「絲」！！

－そうなんですか！？ ですが、再録された「絲」もとてもかっこいいですし、リリースされたらリクエストは変わるんじゃないでしょうか？

RUKI：俺も変わる気がする。

葵：でもそのころだともう遅いっていう（笑）。

REITA：ちなみに俺は「絲」に投票したからね。

麗：投票すんなよ（笑）。

－15周年を迎えるにあたって、今どういう気持ちですか？ 実感はありますか？

麗：気づいたら、という感じですね。

葵：いろんな場面で問題もあったし、それなりに危機もあったけど、今思えば早かったかな。

－成長を実感する部分はありますか？

葵：バンドとして、いろんなことができるようになりましたね。もちろん音楽であったり、映像であったり。だから、これからが面倒くさいなっていう。

－面倒くさいというのは？

葵：やっぱりひとつひとつの作業に時間がかかるんですよ。でも、そのぶん楽しみもあるんです。今回のレコーディングも長かったけど、そんなに苦でもないし、思ってたよりは楽しかったですしね。

－マインドにおいて変化を感じることはありますか？

葵：あんまり変わってないですね。変わりようがないというか。っていうのも、メンバーがこの5人以外とあんまり会ってないと思うんですよ。この5人と数人としか会ってないから、変わりようがないんです。いや、もしかしたら俺の知らないところで会ってるのかもしれないけど（笑）。

RUKI＆麗＆REITA＆戒：（笑）