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INTERVIEW

MUCC

2017.03.16UPDATE

2017年03月号掲載

MUCC

メンバー:ミヤ(Gt)

インタビュアー:杉江 由紀

-逹瑯さん(Vo)の歌に宿る説得力が強いだけあって、MUCCの楽曲はオリジナルなかたちだと"ながら聴き"が難しいものであることが多いのですが、こうしたリミックスが施されることによってBGMとしても聴くことができるようになる、というのもなかなか乙ですね。ドライヴのおともであったり、バス・タイムのおともであったりと、いろいろなかたちでも使えそうです。

音楽って、そのときの気分とかシチュエーションによって入り込んで聴きたいときと、聴き流したいときがあるじゃないですか。今このタイミングでMUCCの音を聴くのはちょっと重いなと感じるときでも(笑)、リミックスの方なら大丈夫っていう場面はきっとあると思いますよ。あと、リミックスの場合はそのときの旬な音かどうかっていうのもわりと大事なんですよね。今回、「フリージア -Electro Mix 2017-」(Track.2)についてはこのサブ・タイトルにあるとおり音を少し直しました。当時のままのリミックスだと、少しドラムのキックの音が古臭く感じてしまったので、そこの部分を差し替えてます。

-つくづく、ミヤさんは音に対する感度が高い人ですよね。その時代によって、どんな音が最先端なのかを常に把握している姿勢は、間違いなく尊敬に値します。

とにかく、ダンス・ミュージック界隈って音の流行り廃りのサイクルがメチャクチャ早いですからね。だから、キックの音ひとつをとっても2000年代初頭の音を今になって聴くと、"恥ずっ......!"ってなっちゃう(笑)。リバイバルのタームなんかもほんと早いから、90年代のドラムンベースがダブステップと融合して一時はまた流行っていたりしたし、そういう世界的な音楽の流れみたいなものも、俺としてはMUCCのお客さんたちにもある程度は知ってほしいなと思うんですよ。こういうところからの刺激を受けて、作っている曲もあるんですよということをわかってほしいというかね。

-ミヤさんの場合、音楽的な情報収集については"好きが高じて気づいたら得ている"タイプですか? それとも、"クリエイターとしてのプライドを持って、積極的に得ていかなければならないと思っている"タイプ? どちらなのでしょうね。

ほぼ好きでやっているタイプですよ。でも、知らないでいるのは恥ずいっていう意識も一方ではあります。まぁ、UKやアメリカのチャートをだいたいでも習慣的に把握していたら、そんなのは必然的にわかってくるものですしね。もちろん、そこで留まってしまうとただのミーハーで終わっちゃうので、そこから少しまた掘っていくことも意識してやるようにはしてます。特に、MUCCの場合はインディペンデントな姿勢とかアンダーグラウンドな要素というのがバンドとして大事な部分も多いので、あんまりオーバーグラウンドすぎる音楽よりは、そこから少し奥にあるものの方が圧倒的に取り入れやすいんですよ。


続いていることのすごさ、というものを今になったからこそ自分でも感じるんです


-元来、MUCCには日本的でフォーキーな音楽を好む一面もありますし、いろいろな意味でドメスティックな要素の強いバンドであると考えていたのですが、今やサウンドメイクの部分においてはグローバルな視点も欠かせなくなってきているのですね。

音楽を生業にしてそれで一生やっていくのであれば、狭い視野のままではいつか限界がきちゃいますからね。マニアックなことも大好きだけど、時には明るい音楽もやりたいし、いろんなジャンルにも手を伸ばしてみたいし、もっといろんなことにも挑戦してみたいんです。人生を懸けて音楽をやっていくと決めた以上、自己完結だけで満足しちゃっていたら、若いうちはそれで良くてもその先で行き詰まって、面白いことができなくなっちゃうのが俺はイヤ。

-クリエイターとしては一手、二手と先を読むことはとても大事だと思います。

だからね、俺は前からよく言ってますけど"ひらけているMUCCがキライ"だっていう人は、そういうMUCCは聴かなきゃいいと思うんです。自分の殻に閉じこもっていたい人は、好きなだけ閉じこもっていればいい。時には、現在進行形で今のMUCCとして閉じこもった雰囲気の曲をやることがあるとしても、それは別に保守的な姿勢から生まれたものではないですしね。ロック・バンドをやっている以上は常に前衛的でいたいし、立場的にはアンダーグラウンドなものをオーバーグラウンドに押し上げることができるような存在でもいたいんです。

-それだけの気概を持ち続けているからこそ、MUCCはこの20年の間で他の追随を許さぬ唯一無二の大きな存在となってきているのでしょうね。

日本には他の国にはない独自の文化もありますし、そのひとつとしてヴィジュアル系っていうのもあると思うんですけど、どうしても鎖国的すぎてバンドもお客さんもがんじがらめになってしまっているところがあるじゃないですか。俺は、それってもったいないと思うんですよね。昔のMUCCが良かった、だけじゃ何も始まらないし(笑)。

-だとすると、考え方によっては、この『BEST OF MUCC Ⅱ』&『カップリング・ベスト Ⅱ』はMUCCの過去と現在を繋ぐ良いアイテムにもなりえそうですね。

ベストが出たから久しぶりに聴いてみた、っていうケースは出てくるでしょうね。今やっている昔の曲をやるツアー("MUCC 20TH ANNIVERSARY 97-17 羽化 -是朽鵬6極志球業シ終T脈殺-")でも、"子育てや仕事でしばらくライヴには来ていなかったけど、今回からまた足を運ぶようになったら、昔はそんなに好きじゃなかった曲がすごく良く聴こえる"っていう話なんかをよく聞いたりするんですけど、そういうのってバンド側からしたらすごく嬉しいんですよ。要は、人間としていろいろな経験を経たあとに聴くと、また曲や詞が違ったものとして聴こえるっていうことでしょ?

-それだけ、MUCCの楽曲は懐が深いということの証しですね。

この間、逹瑯がライヴのMCで"MUCCには、この20年間一度も立ち止まらずに聴き手の人たちと共に成長してきたという強みがある"みたいなことを言ってたんですよね。俺自身も、昔の曲を演奏していると"当時はもっと狭い視点でしか考えていなかったけど、今だともっと広い視野でこの曲を捉えることができるな"と思うことがあったりしますからね。このベストに入っている10年分だけでも、ちゃんと辿っていくと結構な時の流れと重みを感じますよ。これだけ長くやっていると親子でMUCCが好きだっていう人たちなんかもいたりするし(笑)、世代を超えて愛されるような音楽をやれているバンドになってきたんだなと思うと、自分たち自身でも改めて"ここまで続けてきてよかったな"と感慨深くなったりしますね。続いていることのすごさ、というものを今になったからこそ自分でも感じるんです。

-そんな"続いていることのすごさ"は、来たる6月の20日と21日にわたって行われる、武道館での2デイズ公演でも発揮されることになるに違いありません。

今回は2日間あるので、1日目で最初の10年、2日目にここまでの10年というふうに過去の曲たちを分けてやりながら、最新アルバム『脈拍』(2017年1月リリースの13thアルバム)の楽曲たちも含めたかたちで、今やっているツアーの集大成的なものを見せていくつもりです。特に、過去の曲たちについては当時表現しきれなかったところまで伝えていけるようなかたちになると思いますよ。とにかく、武道館は毎年必ずやれるというわけでもないし、武道館にしか来られないという人たちもいるだろうから、いろいろな意味で大きな節目のライヴにしたいですね。