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INTERVIEW

メトロノーム

2017.03.15UPDATE

2017年03月号掲載

メトロノーム

Member:シャラク(Vo) フクスケ(Gt) リウ(Ba)

Interviewer:杉江 由紀

-浮き立つほどの個性は、何よりの武器ですよ。たしかに、ただのテクノ・バンドやニュー・ウェーヴのアーティストからは「空想ヒーロー」のように大胆な斬り込み方の楽曲は出てこないでしょうし。

フクスケ:メトロノームならではのごちゃ混ぜ感は、この曲にもよく出ていると思います。本来ならまとまりそうもないものを、どうにかまとめました(笑)。

-かと思うと、「惨敗生活」も実にシュールで面白い楽曲です。曲調と歌詞の発するトーンが、どうにも素晴らしくチグハグすぎます。

フクスケ:アレンジ的に、これは聴く人間をやたらと不安にさせる音になっているんですよ。しかも、それをずっと鳴りっぱなしにしてある。わざと不安なまま始まって、わざと不安なまま終わっていく曲にしました。気持ちよく聴けない曲、というところがここでの大きなポイントです(笑)。

-それから、楽器奏者としての観点から今回のレコーディングで特にこだわったことがあればそれも教えてください。

リウ:何よりも、個々の曲に合わせたプレイを意識したのは間違いないです。というのも、この7年間で僕はサポート・ベーシストとして相当いろいろな現場で弾いてきているんですよ。ジャンル的にすでに何周もしてしまった感があって、どんな曲にでも対応できる下地ができているせいか、どの曲に対しても自然と"こうするのが一番いいだろう"というヴィジョンはすぐに持てたんですよ。だから、レコーディング中に悩んだり迷ったりということはまったくありませんでした。

フクスケ:僕が特にこだわったのは、プレイそのものよりも音作りだったと思います。歪みはよりラウドっぽく、という点を意識していたんですよ。もっとも、だからといってロー・チューニングにして弾くのはあまり好きではないので(笑)、今回は弾き方のニュアンスや押さえ方でラウドっぽさを出していくようにしました。6弦のノーマル・チューニングのまま、できる限りのことをやってみましたね。

-対して、ヴォーカリストであるシャラクさんがレコーディング中に特に心掛けていたことは何でしたか。曲調の面で様々なものがあったぶん、歌い分けという点ではかなり難しい場面もあったのではありませんか?

シャラク:当たり前のことなんでしょうけど、まずはその曲に合わせた歌い方を大事にしていくようにしましたね。デモに入っている作曲者の歌マネなんかも、曲によってはしてみたり。そして、自分で作った曲に関しては"ちゃんと歌わなくてもいいや"ともちょっと思ってました(笑)。要は、僕の作る曲ってそんなにメロディ重視じゃないものが多いからなんですよ。だから、メロどうこうよりも自分の声の持ち味がどれだけ活かせるか、というところを重視しているんです。こういう変わった声質の人って、他にはあまりいないみたいなので(笑)。

-異論はございません(笑)。曲によっては、その声質を利用して意図的に無感情に歌っていらっしゃるものがあったりして、そこも興味深いなと感じました。

シャラク:そのぶん、他のメンバーが作ったサビのメロディがハッキリしている曲についてはそこが最大限活きるように感情的に歌っているものもあるし、何しろ"ちゃんと"歌っているんですよ。昔、雑誌か何かでAxl Roseに対して"七色の声を持つヴォーカル"と書いてある記事を見たことがあって、そのときに"これだ! 自分もそのコンセプトでいこう"と思ったことがあるので、自分もそういう肩書きが欲しいんです(笑)。

-むしろ、シャラクさんの場合は七色では収まらないかもしれませんよ。いずれにしても、そんなシャラクさんの大活躍もあって『CONTINUE』が充実の大作に仕上がったことは間違いないでしょう。『CONTINUE』は、きっと再起動したメトロノームの"今"をそのまま映し出したアルバムになっているのでしょうね。

フクスケ:なんか、辞書とかで詳しく調べると"CONTINUE"って堅苦しい意味もいろいろ書いてあったりするんですよ。"継続していたものを復活させる"とかね。だけど、僕らの感覚としてはゲームをやっているときの"もう1回やりますか?"、"よし、じゃあCONTINUEを選ぼう"っていうあの感覚とほぼ同じなんです。意外と簡単に、ポチッと再起動ってできちゃうものなんだなみたいな。そういう意味合いで、このアルバムのタイトルは"CONTINUE"にしました。

シャラク:再起動をして、ゲームを再開しますという姿勢がすごく前面に出ているアルバム・タイトルなので、周りからしてもこれはわかりやすいとは思いますね。

フクスケ:音楽性やバンドの存在感の面でわかりづらいところがあるぶん、せめてこういうところくらいはわかりやすくしないと(笑)。

リウ:いかにもメトロノームっぽい、絶妙なタイトルでいいと思います(笑)。

-3月25日から始まるワンマン・ツアー"現代MONO/POLY"でも、ぜひその希有なメトロノームっぽさを全開にしていっていただきたいものです。

シャラク:待っててくれていた人たちには"ただいま"と伝えたいし、新しく知ってくれた人たちに対しては"はじめまして"っていう気持ちでライヴをしていきたいですね。人間としての自分にはあんまり自信がないですけど(苦笑)、メトロノームとしてのライヴについてはそれこそゲームみたいにみんなに必ず楽しんでいってもらえる自信があるので、ぜひピコピコした面白おじさんたちと一緒に遊びましょう(笑)!