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INTERVIEW

ONE OK ROCK

2017.01.11UPDATE

2017年01月号掲載

ONE OK ROCK

Member:Taka(Vo)

Interviewer:西廣 智一

-だからなのか、このアルバムで表現されていることって今の日本のシーンを席巻するエモやラウドロック系のバンドとも違うんですよね。

そうですね、全然違うと思います。

-そこがすごく独創的だし、これが"ONE OK ROCKの最新バージョン"なんだなってことを、アルバムを通して強く感じました。ちなみに、今回はどういったプロデューサーを迎えて制作したんですか?

実は今回、ほとんど自分がプロデューサー的立場で、客観的に見て作ったんです。前作でも関わった、John Feldmannの下で働いていたColin Brittainと一緒に、自分たちがやりたいものを作っていく、そういう方向でアルバム制作を進めて。それプラス、海外のレコード会社からラジオでかかりやすいような曲も欲しいって言われて、向こうが提示してきたプロデューサーと一緒に曲を作ったりしてます。

-そうだったんですね。自分たちの作品を客観的に見なければならないという点では、難しさもあったのかなと思いますが。

そうですね、難しかったです。でも最終的には、やっぱり好きだからできるなっていう、その単純な理由に辿り着きました。全然好きじゃないアーティストはプロデュースできないと思うんですけど、好きだとやっぱりできるんだなって。

-好きだし、自分たちがやりたいことだから余計にやれると。制作自体はいつごろからスタートしたんですか?

2016年の1月9日からで、実は今日(※取材日は11月25日)の朝、制作が終わったんです(笑)。8曲目(「Lost in Tonight」)のマスタリングだけ作業が残っていて、それが今朝ようやく終わりました。長い期間かかったのは、ある程度完成してから"これいらない"とか、"やっぱりこれはいる"とか、そういうことの繰り返しがあったからです。

-サウンド的に新しいことに挑戦するという意味では、腰を据えて時間をじっくりかける今回の手法は合ってたのかもしれませんね。そして歌詞も今回はどの曲もほぼ英語詞で、一部分のみが日本語詞。歌詞カードを読んだときも英語詞の中に1ブロック、ポツンと日本語詞があるという程度です。なので、英語詞で進行する楽曲の中に突然日本語が出てきてドキッとさせられました。

ですよね。狙いどおりです(笑)。

-さっきおっしゃったように、ONE OK ROCKはこれまで歌詞の面でもファンから強く支持されてきたと思います。今作のように英語詞がメインになってくると、中にはライヴで一緒に歌いにくいという声も上がってくるかもしれません。その点においては、どのように考えていますか?

これはいろんな理由があるんですけど、以前Instagramでちっちゃい子がONE OK ROCKの曲を歌っている姿を見たんです。特に英語を習っているわけではないと思うんですけど、僕の発音と同じように歌っているんですね。それはたぶん、僕と同世代の人たちやちょっと下の世代の子たちにはできないことなんじゃないかと思うんです。実際自分もそうだったけど、日本人って他の国に比べて英語を喋らなさすぎると思っていて。それって開けていくことではなくて、閉めていくことかなと。もちろん日本語で書くことの素晴らしさも理解しているし、僕らは日本語を使って歌うことで一般の人にも認知されるようになった。でも、実は英語で歌っているカッコいいバンドって日本にもたくさんいるわけじゃないですか。そこで僕らが次のレベルにステップアップするには、英語の中にちょっと日本語を入れて、それが曲のテーマとして人に伝わったり、その部分ですごくハッとさせられたり、日本語の部分が日本語っぽく聞こえずにサラッと終わってしまったり、そういう表現方法が重要になってくるんじゃないかと思って、今回は計算して作っているんです。

-なるほど。

そういう手法をやった人って、日本では宇多田ヒカルさんが有名ですよね。僕も宇多田ヒカルさんの曲を初めて聴いたときは衝撃でしたし、そのヴァイブスは確実に僕の中にも流れている。僕は今後の日本の音楽の可能性を広げるという意味でも、どんどんやるべきことだと思うんですよ。でも不思議と、最近の宇多田ヒカルさんは日本語メインの曲ばかりなんですよね。たぶん年齢を重ねて、逆に日本語の素晴らしさに気づいたのかもしれない。でも僕はその手法で今までたくさんやってきたので、今はいいかなと思っているんです。

-宇多田さんとは逆パターンだけど、そういう進化の仕方もあると。海外でも戦う日本人アーティストとして、こうやって少しだけ日本語を残す手法はすごく面白いと思います。日本人としてのアイデンティティも感じますし。

僕もそう思います。だから、次のツアーは海外でも日本語を入れて歌おうかなと思ってるぐらいなんです。今までは全部英語に変えて歌ってましたけど、もうそこで得るものも得たし、次はあえて挑戦してみようかなとちょっと思っているところです。

-向こうのリスナーからしたら"えっ?"という驚きもあるでしょうし。それと今作はAvril Lavigneに5 SECONDS OF SUMMER(以下:5SOS)と、ゲスト・アーティストもかなりバラエティに富んでますよね。この2組との共演はどういう経緯で決まったんですか?

Avrilは番組の企画で昔1回インタビューをしたことがあって。ちょうど5SOSとのカナダ公演のときにAvrilが遊びに来てたんです。そこで久々に会って、日本がすごく好きだという話をしていて。それで"今アルバムを作ってるんだよ"って話したら、"そのアルバム、ちょっと聴いてみたい"と言ってくれたので、何曲かピックアップして彼女に送ったら、1曲気に入ってくれて"歌いたい"と言ってくれたんです。じゃあ一緒に歌ってくださいってことで、お願いしました。

-歌詞はすべてTakaさんが書いたものを歌っていると?

そうです。海外盤は僕だけが歌っているバージョンですけど、日本盤では僕のパートも彼女が数ヶ所歌っているという。5SOSは僕らをツアーに呼んでくれたのがきっかけですね。彼らに対しては相当な恩があって、僕らみたいな日本のバンドを、プロデューサーが一緒だからという理由であんなデカいツアーに2番手として誘ってくれるなんて、普通じゃありえないことですから。だから単純に、リスペクトの意味も込めて今回のアルバムにはぜひ参加してほしいとお願いしたんです。

-そうだったんですね。改めて今作はそういった豪華なゲスト参加や、新たな音楽的挑戦などいろんな要素が詰まっていて、1回聴いただけでは理解しきれない人もいるかもしれません。でも2回、3回と聴き返していくと、改めて個々の楽曲のキャッチーさや完成度の高さに気づかされて、どんどんハマッていくんです。

これはそういうスルメ系アルバムだと思います(笑)。これだけヴォーカルにフォーカスを当てて作った作品は今までのONE OK ROCKにはなかったので、"そういうもの"として聴いてもらった方が、ひょっとしていいかもしれないですね。