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INTERVIEW

DROPKICK MURPHYS

2017.01.05UPDATE

2017年01月号掲載

DROPKICK MURPHYS

メンバー:Al Barr(Vo) Tim Brennan(Gt)

インタビュアー:大野 俊也

2017年でデビュー20周年を迎えたDROPKICK MURPHYSが、スタジオ・レコーディング・アルバムとしては4年ぶりの新作となる『11 Short Stories Of Pain & Glory』を完成させた。これまでとレコーディング環境を変えたことで、一番リラックスして制作に打ち込め、それによってクリエイティヴィティがより解放されたという今作。Al Barr(Vo)とTim Brennan(Gt)のふたりに最新作に込めた"ストーリー"を語ってもらった。

-今回ニュー・アルバムを作るに当たって、どのようなアイディア、方向性を考えていましたか?

Tim:いつもだいたいアルバム制作に集中し始める前に2、3曲作るんだ。その最初の2曲を2ヶ月くらい継続して作り続けて、ある日それをぱたりとやめて、その後はその曲に手を加えることも、聴き返すこともない。ウォーム・アップ用の曲みたいな感じさ。

Al:ビーチで砂の城を作るみたいな感じだよ。まず土台を作るけど、必ずしもそれがそのまま形になるとは限らない。とりあえずのスタート地点なんだ。

Tim:そうだね、だいたい3曲目がアルバムの1曲目になる。(最初の2曲は)前菜みたいなものさ。たまに家のどこかでハードディスクを見つけて、なんだこれ? と思ってパソコンに繋いでみると、昔作ったすごく変な曲が出てきたりする。ちょうど今回も旅行に出る前にそういう曲が見つかったよ。そういう感じで最初の2曲ができてくると、そこで初めてアルバムのサウンドがどういうものになるかが見えてくるんだ。そして歌詞ができ始めると、そこにひとつのテーマがあるのか、それとも1曲ごとに違ったものになるのかというのが決まってくる。感覚的に決めているんだ。

-今作は"11 Short Stories Of Pain & Glory"というタイトルですが、1曲1曲にストーリーが込められているのでしょうか?

Al:何かにすごく深く没頭して掘り下げているときって、客観的な視点を持つことが難しい。もちろん制作中も曲ごとのメッセージとかストーリーは意識しているんだけど、俺たちの場合は制作がいったん終わってから初めて、アルバムというひとつの音楽作品としての共通のタイトルやテーマが浮かび上がってくるんだ。

Tim:先の質問も含めて、アルバムについて語るっていうことは、現代の音楽の消費のされ方というものについて語ることでもある。もちろん今もアルバムを買う人たちはいるけれど、アルバムという形式が昔ほど重要ではなくなっていて、曲順であったりパッケージであったりというものは以前に比べて小さなものになっていて。Spotifyなどによって、アルバムというモノを買うという習慣は薄れているんだ。ちなみに俺自身もSpotifyは頻繁に使っているけれど、パッケージも今でも買っているよ。だから、このアルバムの曲を書き始めたときに話し合って、普段はもっとアルバム全体としての流れや強弱、曲順に集中するところを、今回は初めての試みとして、人々が1曲ずつ選んで聴くということを意識して、どの曲も思いっきり爆発力のあるものにすることにしたんだ。だからアルバムとしての一貫性はもちろんあるけれど、同時にそれぞれの曲を独立したものとしても聴くことができるようになっている。"11 Short Stories Of Pain & Glory"ってタイトルにしたのも、そういうことさ。それぞれの曲が起承転結のある物語になっているというのがアルバム全体を繋げる共通項で、だからこそ同時にひとつひとつの曲も独立しているんだ。

-そのストーリーとはこれまでと同様、DROPKICK MURPHYSが常に歌にしてきた、普通に暮らしている庶民の人生のストーリーでしょうか?

Al:うん。俺たちはいつも自分自身の体験や身の回りの人々の出来事など、自分たちに何らかの形で訴えかけた、悲しかったり楽しかったりするあらゆる個人的な物事についての曲を書いているからさ。

Tim:それは必ずしも特定の出来事についてだけじゃなくて、それらをより一般化したうえで曲にしたりもする。例えばボストン・マラソンの爆破事件についての曲は、その特定の事件について扱っている一方で、「Rebels With A Cause」(Track.2)はより大きな一般的なテーマを扱っていたりさ。誰にとっても人生はクレイジーでハードで難しくて、誰もがそれぞれ自分なりに人生を生き抜かなきゃならないわけで、そういうふうに人生を必死に生きている人々について語っているんだ。

-家族や子供のことで忙しくなって、地元では楽曲制作に集中できないとの理由で今回、レコーディングをテキサス州のエル・パソで行なっていますが......。

Al:うん、俺たちは今までボストンを出てレコーディングしたことは一度もなかったんだ。他のインタビューでTimも言っていたけれど、(ボストンにいるときは)絶えずドアに足が掛かっているというか、どんなときにも1日が終わってからのことが脳裏にあって、いつそれが来るか考えてしまうんだ。

Tim:うん、意識はその場にはあるんだけど、6時半にはみんな時計を見始めて、"夕飯作るから家に帰らないと"とか考え始めるのさ。エル・パソにいたときは......そもそもそこはエル・パソですらなかったんだ。そこからさらに外れた、あたり30マイルが砂漠と牛の骨に囲まれたトルニーヨってとこなんだけど......。

Al:聞いたこともないような場所だろ(笑)。

Tim:ベッドがここにあってすぐそこがスタジオで、起きたらすぐにスタジオに行って、またベッドに戻るまでスタジオで作業する、っていう生活だった。

Al:クリエイティヴな流れを妨害するものは何もなくて、ずっとその流れに乗ったままだったよ。数学で代数計算をしているような――ちなみに俺は代数計算ってどうやるのか知らないし、やったこともないんだけど、なんとなくこの喩えを気に入ってるんだ(笑)。スタジオでうまく流れに乗って作業しているときにみんな帰らなきゃいけないというのは、黒板で代数計算式を解いていて、まだ計算が終わっていないところで帰ってしまうと用務員がその計算式を全部消してしまう、みたいな感じなんだ。もちろん僕らだって今回も寝なきゃいけなかったけど、渋滞待ちをしたり、娘と学校に何を着ていくのかについて"それはダメ!"とか喧嘩したり、そういう日常生活の流れが途切れることがなかった。クリエイティヴな空間から出る必要がなかったから、そのおかげで良いアルバムになったんだと思うよ。

-レコーディングのために、エル・パソというロケーションを選んだ理由は?

Tim:特にテキサスでやろうと決めていたわけでもなく、ボストン以外のどこかに行きたいと漠然と思っていたんだ。いくつか候補を検討していて、結果的に行くことになったソニック・ランチ・スタジオは、プロデューサーのTed(Hutt)が以前行ったことがあってすごく気に入ったからと勧めてくれた。彼は正しかったよ。