－今回は本当にバリエーション豊かな曲が揃ってます。

SAKI：いろんな曲調を歌えるのは、ヴォーカルとしてはすごく楽しいです。だから、デモを聴いたときからレコーディングが楽しみでした。今回は特に混沌とした1枚だから、どう歌おうかなって。"表題曲は絶対に私が歌うんだ！"という気持ちがあったし、単純にかっこいい曲だなと思います。

AYANO：今回は私の曲が多くなったけど、デモに4人で音を入れた段階で、個人の音からCYNTIAの音に変わったのかなと。

SAKI：4人でこねくり回す時間がたくさんあったからね。めちゃくちゃ時間をかけました。

－曲調自体はポップさ、キャッチーさはかなり意識しました？

AYANO：聴いた人が"歌いたいな"、"このフレーズを弾きたいな"と思う曲にしたいから、意識しましたね。自分が興味を持つのがそういう音楽なんですよ。CDだけがバンドの良さじゃないし、ライヴで一緒に楽しんで、みんなで作り上げたいんです。だから、音源も前のめりで聴いてほしくて。

－ライヴも想定して曲を作ったと？

AYANO：はい。なので、今回はコーラス・ワークもたくさん入れました。でもお客さんはプロじゃないから、一番強いメロディで"ウォーウォー！"を何度でも端的に繰り返してやろうと（笑）。

－Track.6「Un!verse」もコール＆レスポンスを意識したパートが際立ってますよね。

AYANO：そうですね。お客さんもそうだけど、メンバーとステージ上でも掛け合いがしたかったんですよ。私が憧れてきたバンドって、ステージ上でいい意味の男臭さがあって、お互いを思いやる熱量が伝わる人たちも多かったから。私たちもそういうことをやりたいなと。なので、今回のツアーはそのへんも重点的にやりたいですね。

－今までに印象に残ったライヴはありますか？

AYANO：MARILYN MANSONのTwiggy Ramirezがバンドを一度離れてから再び加入したんですけど、不仲説もあったのに、最後に抱きしめ合って"ありがとう！"と言ってステージを去ったんですよ。これはファンとしてはたまらんなと。私たちも結成6年目に入るので、そういうものも見せられたらいいなと思ってます。

－ラストを飾るTrack.9「Call Me.」も個人的に好きですが、しっとり聴かせる曲調ですよね。

AYANO：CYNTIAのバラードは継続したいなと思って作りました。この曲もライヴを想定したんですけど、ピンスポットが当たり、スタンドマイクで歌うSAKI、そこに見入るお客さん、みたいなイメージがあって。で、歌い終わったときに少し間を置いて、歓声が上がるという。

SAKI：こういう曲に私がヤバい歌詞を乗せてくるから、YUIちゃんもギター・ソロを頑張らなきゃと思ったみたいで、察し合う能力も高まってきました。私が好きなYUIちゃんのギター・フレーズはバラードで、ストーリーテラー的な立ち位置で弾くんですよ。

－Gary Mooreばりの泣きのギター・ソロがいいですね。

SAKI：彼女の色がすごく活きてますよね。

AYANO：だから、ギター・ソロも絶対に入れたくて。

－では、今回の歌詞を通して伝えたいことは？

SAKI：今回は自分が書きたいように書きました。表題曲はAYANOちゃんの曲で"生きていきたい"という気持ちを感じたから、楽譜に書いてある用語を歌詞に入れてます。「Call Me.」は――私は自己投影した歌詞が嫌で、ずっと劣等感の塊みたいなところがあったんですよ。私は歌わせてもらっているけど、別にみんなは私のことを知りたくはないだろうなと。でもバンドに自信もついてきたから、エゴイズム全開の歌詞を書いてもいいかなって。最終的に私の歌詞はみんなに揉んでもらったけど、「Call Me.」だけはそれがなかったんですよ。AYANOちゃんから、夜中にその歌詞を読んで泣いたというメールをもらって、私も泣いちゃいました。初めて100パーセント自分を投影させた歌詞を書いたから、この曲がお客さんにどう聴こえるのか、楽しみだったり、不安だったりですね。

AYANO：「Call Me.」は私が作った音をSAKIが代弁してくれている気がして、感動したんですよ。しかも、今までは自分のことを歌詞にしなかったと言ってましたけど......たしかに彼女がどんな気持ちで歌っているのかが、いまいち見えないところもあったんです。でもこの歌詞を見たときに、この人はステージで誰よりも前のポジションにいて、こんなことを思いながら歌っていたんだなと。なんてこった！ って。

SAKI：ハハハハハ。

AYANO：心細さと力強さが全部込められていて、SAKIという人間がこの歌詞に込められているなと思いました。なので、今回は歌詞と一緒に聴いてほしいですね。