－いい意味でライヴハウスという枠組みにとらわれず、自分たちのやりたいことを今作で追求できたと？

Kento：そうですね。それは今回のアレンジャーを担当してくれた大西俊也さん（IVORY7 CHORD／ex-WRONG SCALE）にもだいぶ助けられました。僕らは4人が曲を作って、そこから選曲していくんですけど、メンバーそれぞれ音楽的に偏りがあるんですよ。Kazuyaだったらメタル、僕は昭和っぽい歌謡曲になったり（笑）、Akkieはアイドルが歌いそうな曲を作るし......そういう個々の偏りを大西さんがBut by Fallの音楽にしてくれました。

Kazuya：いいところを引き出してもらえましたね。

Tatsuya：例えば"この曲はこういうふうに表現したい"と大西さんに相談すると、かゆいところに手を届かせてくれた感じですね。特に「Into the Sky」のアレンジを聴いたときに、"俺がやりたかったことはこれです！"と言いましたからね。

－というのは？

Tatsuya：底抜けに爽やかで、単純にいい曲を作りたくて。30 SECONDS TO MARSの「Closer To The Edge」（2009年リリースの3rdアルバム『This Is War』収録曲）を聴いたときに、MVも観たんですけど、すごく一体感を感じたんですよ。可能性や希望というか、青空がブワーッと広がるような感覚を覚えて。それを自分の曲でやりたかったんです。あんな思いをみんなにもさせたい、というのが最初のきっかけですね。

Kento：バラードじゃないのに、涙が出るような曲のイメージで歌いました。明るい曲なのに、涙が出ちゃうというか。

－ざっくり言うと、音楽で感動できるような曲を？

Kento：そうですね。

Kazuya：あと、EDMに関する知識にも限界があったので、大西さんの知識を借りることで、今回は作品に高級感を出せたと思います。

Tatsuya：「Into the Sky」の仕上がりを初めて聴いたときに泣きましたからね。同時進行で歌詞も書いたから、サウンドともバッチリ合ってるなと。

Kento：この曲はライヴでやっても楽しいんですよね。まだ音源にしてないのに盛り上がるんですよ。

Tatsuya：（お客さんと）一体感が出せてるからね。ライヴでもすでに2回、泣いてます（笑）。

Kento：うん、リリースしたあとならもっとみんな楽しんでくれるだろうなって。

－今作は全曲に同期が入ってますよね？

Kazuya：同期は前作から取り入れ始めたけど、今回も特に積極的にやろうという話ではなかったんですよ。僕は普段9割ぐらいハード・ロックやメタルを聴くんですけど、1割ぐらいEDMも聴いてて。ジャンルは違うけど、メロディが良かったり、気持ちいいと思うリズムもあるから、自然とそれを取り入れたいなと。それも大西さんに手伝ってもらって、高いレベルで表現できました。

－EDM系だと、どのへんのアーティストを聴くんですか？

Kazuya：KREWELLAは一番聴いてますね。ほかにAFROJACKとか流行ってるものが多いですね。

－もともと持っているキラキラしたメタル調のギター・フレーズと、同期がうまく融合しているなと。

Tatsuya：「Stay Awake」（Track.1）はまさにそうですね。ダブステップから、凄まじいギター・ソロが最後に入りますからね。

－Track.2「"Eoh-Eoh" (Go for Victory)」はダンス・ロック的な曲調で、これもライヴの画が容易に浮かんできますね。

Kazuya："Eoh eoh"という声リフとリズムからできたんですよ。プライベートでフットサルもやっているから、この曲はリズム的にサッカーっぽいというか、南米っぽいノリにしようと。歌詞は意味があるものを書きたくて、スポーツをしている人にとって応援歌になればいいなと。僕らと同じ歳で本田圭佑さんや長友佑都さんがいて、海外で活躍している日本人は苦しい思いをしているだろうから。そういう似たような状況にいる人に向けた内容ですね。

－TBS系TV"SUPER SOCCER"8月、9月度のエンディング曲であり、今作のリード曲「Welcome to My Broken Heart」はどこか切ない曲調に仕上がってますよね。

Kento：歌詞を読んだときに、メンバーや俺のことを歌ってるのかなと思いました（笑）。特にCメロの"憶えてるかい？／あの頃僕たちは／朝までだってギターで遊んで～"の歌詞は完全に僕が大学生のときに住んでいた家なんですよ！ あの家だよね？

Kazuya：そのイメージだね（笑）。

Kento：だから、歌ってるときも曲に入り込めました。

Kazuya：今回は人の不安や痛み、明るくない部分も出してみたら？ というアドバイスをもらったので、それを出そうと。