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INTERVIEW

GALNERYUS

2015.12.10UPDATE

2015年12月号掲載

GALNERYUS

Member:Syu(Gt) Masatoshi“SHO”Ono(Vo) YUHKI(Key)

Interviewer:村岡 俊介(DJ ムラオカ)

-前回の取材での宣言通り、記念すべき10枚目の作品である『UNDER THE FORCE OF COURAGE』はコンセプト・アルバムとなりましたね。コンセプト・アルバムを制作するという構想はいつごろからあったのでしょうか?

Syu:1年半くらい前から、まずYUHKIさんとふたりで曲を作り始めて、曲が出そろった段階でストーリーを書いていく手法にしました。まずはストーリーから書いていこうと考えていたんですけど、いかんせん曲ができないとイメージも湧いてこないですし、歌詞は曲のイメージに沿ったものにしたかったので、そういう流れになりました。

-世に出ている多くのコンセプト・アルバムの制作の流れとは真逆ですね。

Syu:そうですね。初めての経験でもあったので、演奏や曲の切なさといった要素を先に作った方がテーマを設定しやすかったというのがあります。

YUHKI:僕が作る段階では、ある程度場面や雰囲気のイメージがあったので、Syuが"曲調はダークで、泣きがありつつ、おどろおどろしい"という、まさに僕が得意な(笑)、そういったリクエストを持ってきてくれたのでそのイメージで書きましたね。

-では、YUHKIさんに振られた段階では、ある程度構成や曲順は決まっていたのですか?

Syu:はい、そうですね。大枠のストーリーはあったんですが、いざ作ってみたら曲がストーリーとかけ離れてしまっていてはダメだと思ったので、YUHKIさんが作ってくる曲に関しては先にイメージを伝えて、実際その通り作っていただいたんですけど、詳しいストーリー自体どうやって詰めていくかというのはそれからでした。

-分かりました。そもそもこのタイミングでコンセプト・アルバムを作ろうと考えたのはなぜでしょうか?

Syu:うちのバンド自体がすごく複雑といいますか、もともと構築美を貫いた楽曲が多いんです。なので、ひとつのコンセプトを持った物語のようなアルバムは、以前からプロデューサー含めやりたいと思っていたんです。ホントに必然の流れでしたね。

-なるほど。以前からそういう構想があったんですね。

YUHKI:たぶん3枚目(2006年リリースの『BEYOND THE END OF DESPAIR...』)あたりからありましたね(笑)。個人的にはプログレとか好きで、コンセプト・アルバムを作りたいってことは、以前からSyuとは話してたんですよ。

Syu:3枚目までが、どちらというとコンセプト寄りのアルバムではあったんです。「○○ FLAG」みたいな"FLAG曲"っていうのがいくつかあって、3枚目までは3部作的なニュアンスでっとう考えもあったので。ただ、本格的なストーリーを作ったり、歌詞カードにストーリーを書いたりというのはまさに夢に描いてたことでしたね。

YUHKI:10作目にして念願叶ったかなと。

Syu:いろんな環境面での事情もありますからね。全員が全員を誇れるメンバーで、妥協なく、自信を持ってリリースできる音源であるということ。そういうことも考えると、ここまでかかったのは仕方のないこと、とも思います。

-小野さん自身、ソロなど含めて過去にコンセプト・アルバムを作られたことは?

小野:ありませんね。初めてなので、最初そういう話を聞いたときに、"どんな感じになるのかな"という漠然とした感覚でしたけれども。

-今のラインナップで安定して活動をしてきたことが、メンバーの心の余裕にも繋がりコンセプト・アルバムの制作に結びついたということは?

YUHKI:それは間違いなくありますね。

-例えば、メンバー・チェンジしていきなりコンセプト・アルバムって難しいですもんね。

YUHKI:今のメンバーになって5作目になるのかな。

Syu:『RESURRECTION』(2010年リリースの6thアルバム)、『PHOENIX RISING』(2011年リリースの7thアルバム)、『ANGEL OF SALVATION』(2012年リリースの8thアルバム)、『VETELGYUS』(2014年リリースの9thアルバム)......ではもう前任ヴォーカルのときと同じくらいになるわけですね。録音した曲数は、今のラインナップの方が多いですね。

-まさに満を持して、ということになりますね。今作は"人間の存在意義を問い、自己確立(悟り)に至るプロセスを描く"というテーマの作品だとうかがいましたが、どういったストーリーであるのか教えていただけますか?

Syu:人の感情の部分ですね。ひとりの人間がいて、イライラしたり悲しんだり、喜怒哀楽の感情や悩みがあったり葛藤したり。人を傷つけて自分の欲を満たして生きていくヤツがいれば、その人に尽くしていってどんどん自分の中に溜めこんだものを消化する場所がない人がいたり。自分自身も含めて"どういう気持ちで生きていくのがベストなんだろう"ってことを日々考えているんですけど、いろんな人の"感情"って難しいなと思ったんです。ストーリーには、ふたりの男が登場するんですけど、そのふたりを中心に描いていて。ふたりは最初は仲がいいんですが、途中で片一方が裏切り戦い、殺し合いになって......。ただ片一方が悪いわけではなく裏切らざるをえない理由があったりするので、どっちの味方につくかは聴く人の自由っていう。ジャケットの絵の、剣を掲げてるのが主人公なんですけど、寝そべってるオジサン(笑)がサブの主人公なんです。

-そういう一貫したコンセプトがありつつも、歌詞は楽曲によって書いてるメンバーが異なりますね。

Syu:僕がプロデューサーの方と一緒に組んだストーリーが最初にあって、それをこと細かにメンバーに伝えて進めていったんです。YUHKIさんにTrack.5の「RAIN OF TEARS」を作ってもらってそれに合う歌詞もお願いしたんですけど、書いてもらったストーリーが先に進みすぎちゃって(笑)、あとからその中で良かった歌詞をそのまま次の曲に使ったりしましたね。

YUHKI:そういうことも含めてクレジットに入れてもらってます。

Syu:ですので、みんなで助け合って歌詞を書いてる感じでした。特に英語の歌詞は、TAKA(Ba)さんが帰国子女でネイティヴ・レベルで英語が話せるので、文法とか発音まで指導していただいて、小野さんも自分の言葉を入れてもらいつつ大きなコンセプトに則って書いているので、チームワーク的な作業になりましたね。