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INTERVIEW

WING WORKS

2015.08.07UPDATE

2015年08月号掲載

WING WORKS

Member:RYO:SUKE

Interviewer:荒金 良介

-3枚の音源はほぼ同時期に作ったものですか?

今年に入ってからすべて作ったものですね。1作目の「RAVVE OF MY TRINITY」はこれがWING WORKSです、という名刺代わりの曲にしたくて。疾走感があり、メロディアスで、途中でブレイクダウンがあり、メタルコアに対しても新しいサウンド感を見せたくて。曲を書くときに何かひとつ発明したいと思っていたんです。「RAVVE OF MY TRINITY」はメタルコアのフォーマットに何か新しいことができないかなと思って、女性コーラスを入れて、宗教的な要素を加えました。話が飛んでしまうんですけど、楽曲を作るときに"神を感じる瞬間"を作りたくて。

-神を感じる瞬間?

音楽って宗教儀式のメタファーだと思ってるんですよ。なぜお日様が昇るのかとか、そういうものを説明するために神を作ったわけで。そしてそれを演出するために音楽が生まれたと思うんですよ。人は自分が生きるうえで、上位にある存在を求めるものだと思うんですよ。それを満たしてくれるものが音楽だなと。以前、親と一緒に皇居の一般参賀に行ったことがあるんです。エヴァンゲリオンも好きだったから、宗教的なものにも興味があったし。で、実際に皇族の方々をを見たときに神を感じたんですよ。不思議なことにその感覚がMARILYN MANSONのコンサートを観たときとすごく似ていて、天皇陛下はロックスターみたいだなと。そのときにロック/ショー・ビジネスは、人に神様を与えてあげるものなんだって気づいた気がして。そこは的確な言葉が難しいけど......それを伝えられる音楽を僕は作りたいなと。

-なるほど。

例えばTrack.2「Time:Machine」は、イントロのブレイクの裏のシンセ・リフはぐちゃぐちゃしてて......それは言霊がぐるぐる回ってるというか、輪廻転生を表現してて、タイムマシーンだなって。それは自分だけの感覚なんですけどね(笑)。Track.3「クライオニクス」(通常盤のみ収録)は冷凍保存という意味で、海外では人体を冷凍保存するサービスがあるんですよ。現状、解凍する技術は発明されてないけど、どうせ死ぬならクライオニクスしましょうと。神頼み的なサービスだけど、そこに神秘性を感じて、テーマに置いた曲ですね。

-「Time:Machine」はLIMP BIZKITっぽいテイストもありますね。

今は表拍のビートが主流だけど、90年代のヘヴィ・ロックやミクスチャーは裏拍の文化で、その気持ち良さを知らないリスナーが多いと思うから。今の時代では逆に新しいと思い、それを伝えられたらなと。

-配信限定の「Burn your soul」はヘヴィでメロディアスな曲調ですね。

それは僕の大前提にある3つの要素をダイレクトに入れて、"命を燃やせ、つまり本気で生きろ"というテーマをこれ以上ないくらい言ってます。

-その2作品を経て、今回の「IKAROS」はだいぶ作風が違いますね。

僕が始めた物語がどういうものなのか、このタイミングでお客さんに伝えたいと思ったんですよ。曲より先に小説ができて、アンドロイドは何者なのか、それをお話にしなきゃいけないなと。じゃあ、誰がアンドロイドを作ったのか。それは未来にひとりの科学者がいて、世の中から拍手喝采されるような論文を発表した若い天才なんですよ。その科学者がこのおかしい世の中を変えるためには、アンドロイドを作って、過去にタイムスリップさせるしかないと言い出して。そしたら人々が何をバカなことを言ってるんだと一気に手のひらを返して。科学者はひとりぼっちになるんですよ。結局、それは自分なんですけどね。

-RYO:SUKEさん自身だと。

ヴィジュアル系というマーケットでちょっとだけもてはやされ、時代も自分の実力以上に味方をしてくれた。その時代が流れる中でいつしかお客さんも離れて、世間の目が冷たくなったりする。で、僕の中でその科学者は死んでしまうんですよ。世の中の崩壊が迫っている中、科学者は自分の信念を優先して、アンドロイドを作るんです。自分を犠牲にしても何かを掴もうとする信念と、ギリシャ神話のイカロスが太陽を目指して飛ぶ話とリンクしたんです。

-それで曲調も映画のサウンドトラックのような雰囲気があるんですね。

そうです、映画のエンドロールで流れる曲みたいな。

-曲の中にロマンともの悲しさが詰まってますね。

でもその中には確固たる信念がありますからね。それを踏まえて僕はこれからも歌っていくし、曲を聴いてくれた人もそれを踏まえて生きていく......その気持ちを共有できたらいいですね。