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INTERVIEW

SEASON OF GHOSTS

2015.07.08UPDATE

2015年07月号掲載

SEASON OF GHOSTS

Member:Sophia Aslanidou

Interviewer:米沢 彰

-今作はBLOOD STAIN CHILDにあなたが加入してからリリースされた『epsilon』や『Princess Ghibli』でのヴォーカル・ワークのイメージから、さらにゴシック・メタルの要素が強まり、あなたのキャラクターを100%引き出した作品という印象を受けました。作品の方向性やサウンドについて、当初から意識していたことや意図していたことを教えていただけますか?

実は、最初に考えていたことと結果がまったく違うの(笑)。さっきも言ったように、SEASON OF GHOSTSはサイド・プロジェクトとして始めたから、自分が好きなものをプレイしたかった。私はインダストリアルやEBM(Electronic Body Music)の大ファンだから、本当は激しいギターをミックスしたエレクトロをもっと取り入れようと思っていたの。でもSEASON OF GHOSTSがメイン・プロジェクトになったとき、もっと完成度の高いものにしないといけないと思ったわ。復活するチャンスだったから"1番いい方法でやらないといけない""私というものを表さないといけない"と思ったの。『The Human Paradox』は私のことをいっぱい語っているけど、ランダムに作曲したわけじゃない。どのパートも細部まで意味があるの。トレンドとかプロデューサーに売れる音だからと言ってサウンドを決めたんじゃないわ。自分の感情を表すサウンドを選んだ。高校のときからハイブリッドな音楽ジャンルが大好きだったからこうなったのかも! このアルバムにはメタル、ゴシック、インダストリアル、サウンドトラック、ヴィジュアル系やポップまで詰まっているわ!

-全体的にはトランス・メタルという従来の印象の延長でしたが、タイトル・トラックのTrack.5「The Human Paradox」は語りのようなパートまであるピアノ曲で、情緒ある雰囲気がすごく印象的でした。この曲はどのような経緯でできた曲なのでしょうか?

たしかにね。ハイブリッドの音楽ジャンルが大好きだけど――BSCに加入したのもこれが理由だったんだけど、彼らのスタイルのコピーはしたくなかった。BSCはBSCでSophiaはSophia。コピーをすることほど好きじゃないことはないの。オリジナリティと自分の世界観を伝えることを強く信じているわ。自分のアイディアがありすぎるから、他の人のアイディアは必要じゃないの。誰かを真似るってことは自分に才能もパワーもないってことを認めているようなものだと思う。もちろん、影響を受けて前のバンドから残っているものはあるけれど、BSCがやっていることとは大きな違いがあるわ。表現方法、オーケストレーション、楽器、雰囲気などは『epsilon』とはまったく違う。私が取り入れているエレクトロの要素はエレクトロ・ゴシックでトランスの影響はないわ。例えばタイトル・トラックはすごく芸術的な表現があるの。標準の曲構成を使ってないことに気づくと思う。この曲の構成が変わっているのは、通り過ぎていく霊を表したかったから。霊が自分に話していたり、歩いていたり、どこかに行くけれど、どこに行くのか誰もわからないから、わざと構成も複雑にしてあるの。タイトル・トラックはアルバムの本質を捉えていて、私の世界観や今までの人生経験を表している。ここにある曲には苦痛もあって理解できるけど、今までの教訓に感謝しているわ。

-この曲をタイトル・トラックとしたのはどういった理由だったのでしょうか?

タイトル・トラックはアルバムのストーリーをまとめたものなの。なぜ"The Human Paradox"かというと、"Paradox"はギリシャ語で、不気味な人間の性質を表すために使いたかったの。私たちの脳は宇宙で一番の神秘よ。ずっと心理学に興味があったけれど、両親が法律の勉強を勧めたから、独学でしか心理学を勉強したことがなかった。人間が痛いものを愛したり、傷つける人を愛してしまうことが不思議だと思う。人は手に入らないものを欲しがり、自分にあるものに感謝できなかったりする。失ったときにそのありがたみがわかるの。人間性には悲劇が多いし、自分の感情の犠牲になっていることに気づいたとき、この"The Human Paradox"(人間の矛盾)という言葉が思いついたの。ときどき私たちの理性って意味がないと思わない? 生き物としてとても不完全で嘆かわしい。平穏に働きかけると素晴らしい結果が出せる。だけど戦争で戦うと卑劣な獣より最低な態度をとる。これはTrack.7「Beautiful Eternal Things」の曲の意味でもあるの。人間を作った者にはかなりの皮肉とサディズムがあったと思うわ(笑)。

-"The Human Paradox"というタイトルからは映画やアニメのような世界観も感じられますが、タイトルに込められた意味を教えてください。

"The Human Paradox"はコンセプト・アルバムでタイム・トラベラーの目から見た命の輪のストーリーを伝えているの。ここでのタイム・トラベラーはエイリアンとか亡霊なんだけど、もし生まれ変わりを信じるなら、私たちの魂が何度も別の時代、別の歴史に生き返っていることに気づくの。ある意味、みんなタイム・トラベラーなの。このアルバムはそのタイム・トラベラーの視線から描かれている。エイリアン? 亡霊? それともエイリアンのような気持ちになっているSophiaかな(笑)? 子供のころからアニメを観て育ったから、アニメの世界に大きな影響を受けたのはたしかよ。アニメの美学とか雰囲気は私の血の中に流れている。それにとてもスピリチュアルな人間だから、スピリチュアルなことやパラノーマル(※科学的に説明できない出来事)のことを勉強したり読んだりしてるわ。あとは、人と話をして、理解して助けるのがすごく好き。音楽をやり始めたとき、アートを通して人の人生をより良くするきっかけになれると思った。アーティストはある意味癒やしでもあると思う。音楽に力があるから人の人生を変えることができる。曲を作って、どれだけの人がそれを聴いて、どれだけの人が影響を受けるかわからない。私の音楽で困難を乗り越えられたとメッセージを送ってくる人が多いの。私の歌詞で勇気を出して問題を解決できたって。私はまだ知られてないアーティストだけど、私の音楽が誰かの1日をもっといいものにできるなら、私は世界一ハッピーだわ!

-バンド・サウンドそのものが相当にかっこよくて、展開もかなり練りこまれているように感じました。楽曲の制作に関してはどのように進められたのでしょうか?

『The Human Paradox』ではストーリーのようなアルバムを作りたかったの。導かれた瞑想のような。導かれた瞑想ではスピリチュアルな存在がいて、瞑想中に語りかけて、瞑想を完成させるために指示してくれるの。アルバムはイントロからアウトロまで、秘密の世界へと導く。その世界で様々な感情や自分へ、自分の人生へ、宇宙へ、そして他のことへの考えを経験できる。アルバムを聴き終えるころには清められ、完全になり、ホッとする。古代ギリシャの演劇ではこれを"カタルシス"と呼んでいたの。冒険、戦い、奮闘を抜けて、最後は自由と心の安らぎを得て、軽い気持ちで家に帰れる。私のCDを聴いて、"気分が楽になった、もっと意味のある生き方がしたい"と人に言ってもらいたい。バンド・サウンドを作りたいと思っていたのはその通りよ。最初にそれができるかどうかためらっていた自分に腹を立てて、"本当に努力して、結果を見てみる"と思ったの。1ヶ月部屋に閉じこもって私にとって大切なことについて考えていた。人生、信念、過去の冒険などのことを考えて、すべてを躊躇いなくさらけ出す決心をした。私は心をむき出しにして、人に本心を見せることを恐れないわ。隠すこともないし、率直に言える。心の中にしまっておくことは負担になるからはっきり伝える方が好き。とても正直なアルバムを作って、ストーリーにも真実を取り入れようと思った。人は現実逃避して、正直でいることをあまり好まないから私の歌詞が重すぎるんじゃないかと心配だった。でも最終的にはそのリスクを背負って自分が感じるままに書いたの。私の曲作りは本能的で、インスピレーションにもなっている。事前にアルバムの内容は決めてなかったけれど、曲を作っているうちに自然にコンセプトが浮かんできた。ピアノとギターを使って、アナログな作曲方法をしているの。曲を作り出して、メロディがしっかりしてくるとZombieの手助けで構成に入ったわ。彼は経験があるミュージシャンだから、私のアイディアを一番効率よく使う方法をわかっているの。構成のあとにヴォーカル・ラインを作って、歌詞が一番最後にくる。歌詞を書く段階では頭の中で映画のようになっているから、言葉がスムーズに出てくるの。ソフトウェアのことを少しだけわかっていて簡単なことはできるけど、このアルバムは基準が高かったから、私の知識だけじゃ十分じゃなくて、プロデューサー・チームを雇用して手伝ってもらったわ。