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INTERVIEW

THE STARBEMS

2014.11.10UPDATE

2014年11月号掲載

THE STARBEMS

Member:日高 央 (Vo)

Interviewer:荒金 良介

-今作はめちゃくちゃいいアルバムですね。2枚目で言うのは気が早いかもしれませんが、ほんとに最高傑作だと思います。

あざす! たしかに今やれる全部はやったかも。1stアルバムのころはとにかく怒ってましたからね。BEAT CRUSADERS(以下ビークル)を続けられなかった自分への怒り、そして震災があり、行政への怒り、世の中のガタガタさへの怒り、そんな怒りだけを詰め込みましたからね。

-今回で怒りが消えたわけではないですが。

もちろん。ただ、その怒りかたを変えようと。で、たまたまYouTubeで竹中直人さんの笑いながら怒る人の映像を見て、これだなと。

-えっ、そこからヒントを?

怒るだけだと、世の中とぶつかり合って疎遠になるけど、笑いながら怒ったら、相手の心にどんどん近づける。じゃあ、俺にとって笑うとは何だろうと考えたときに、ポップな部分だなと。1stアルバムではなるべくビークルとは違うことをやろうって意識したけど、書いてる人も歌ってる人も同じなら、それをビークルっぽいと言わることに対して、恐れる必要はないなと。だから、明るい曲もガンガン入れようと。明るい音をいかに今の自分たちの音に馴染ませるか。明るいんだけど怒ってる。怒りの中にも明るい部分があるみたいな。それは各曲で模索しながらやりました。

-なるほど。

ツアーでいろんな人たちと対バンして、1番でかいのはkamomekamomeと前作『ULTRA RENEGADES E.P.』のレコ発ファイナルで対バンしたときに"ウチもTHE STARBEMSも昔のバンドと比べられて、ガタガタ言われるけど、今はそれを感謝できるようになった"みたいなMCを向君がしてくれて。

-そのMCは僕もよく覚えてます。

ね? ガタガタ言われることに怒るんじゃなく、感謝したら、その先に行けちゃう。あれは向君ならではだなと。だから、kamomekamomeには感謝してるし、ライヴもすげえ良かったから。

-ここ数年のkamomekamomeはすごいですよね。

怒りの激情の中にユーモアもあるし、向君のパーソナリティも出てるし、元Switch Styleの賢三君がいることも俺的には熱くて。過去のわだかまりもない中で"好きな音楽をやれて幸せです"とメンバーみんなが言ってる。その自然なスタイルがかっこ良くて。それで俺なりの自然がこのアルバムなのかなって。世間の46歳とは違うかもしれないけど、それもまた楽しくて。あと、ベースが脱退した話とも関係はあるんだけど......。

-今年の夏フェスがラスト・ステージでしたよね?

そうそう。寺尾はもともとはっぴいえんどとか横ノリの音楽が好きで、地元の先輩後輩の繋がりで手伝ってくれてたけど。俺は歳をとればとるほどBPMを上げたい、ニューロティカ越えしたい、あっちゃん(ATSUSHI)も齢50で速い曲やってるけど、もっと速い曲をやりたくなって。いわゆる縦ノリを突き詰めるときに、お互いの嗜好性やスキルの問題で、横ノリの人に無理やり縦ノリをやらせていた無理が生じてきて。先輩ベーシストの助言ももらったけど、最終的には気合いと基礎練習ってことで。基礎練習は半年、1年でできるものじゃないから。それなら1度距離を置いて、何年か経って、もう1度やりたいと思ったら、そのタイミングで"やりましょう"と。それで今回は潤(元ASPARAGUSの山下潤一郎)にベースを弾いてもらったんですよ。お互いにやりたいことをごまかしても良くないし、そういう意味でも悔いのない作品ですね。

-日高さんとしては全部やり切ろうと?

そうですね。手持ちのカードは全部出すぞと。今はほんとにスッカラカンだから。

-繰り返しになりますが、竹中直人の映像を見て、そう思った?

うん、あれをきっかけに怒りは明るく伝えた方がいいなと。TOSHI-LOWもそういうことでしょ? 今までストイックにやってきたBRAHMANが急に喋りだしたのは、TOSHI-LOWなりに怒りかたを変えてみたのかなと。突き放すのもBRAHMANの美学だけど、寄り添える部分をああいう形で出してきたのは我々界隈でも驚きだったし、俺たちが見ても単純に楽しいし。TOSHI-LOWはちゃんとリサーチして、どこで何を喋るかも決めてるしね。普通40代を越えると、どんどん準備しなくなるし、新しい引き出しに物を入れていく作業が疎かになるけど、俺は激ロックに載ってる新しいバンドもチェックしちゃうぐらい貪欲ですからね。ビークルのときもインプットとアウトプットの繰り返しだったし、そのときどきで面白いことを誠実にやるだけだから。ビークルっぽいと捉えられることにも全然抵抗はないけど、終わりかたが気に食わなかったから、自分の中にわだかまりがあって......別にお客さんに恨みはないし、ビークル好きでしたと言われても嫌じゃないんだけどね。