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激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

ALL OFF

2014.11.10UPDATE

2014年11月号掲載

ALL OFF

Member:so-hey (Vo)

Interviewer:沖 さやこ

-so-heyさんが普段の生活でそういうことを感じてらっしゃるんですね。

影響されなくていいことに影響されすぎてるように思うんです。身の回りのすごく低レベルな人間にひどいことを言われて落ち込むのは、すごく損だと思うんですよね。そんなのに影響される必要はないと思うんです。日本ってわりと、お金がないと認められない、お金があるやつが強いというところがあると思うんです。でも僕は人間としての優しさとか、そういう部分が大事だと思うんで、もう1度"自分にとっての幸せを考えてみてよ"と言いたかったんですよね。

-ちなみにso-heyさんの毎日はどうですか?

僕はめっちゃ充実してますね。好きなことをやらしてもらってて、いろんな人に支えてもらって、優しくしてもらって。感謝しかないですね。

-だからこそ歌えることですよね。

そうだと思いますね。高校生くらいのイライラしてる時期なら絶対こんなことは歌わないでしょうし。ある程度いろんなことを経験させてもらったからこそ言えることだと思います。

-Track.5「Make a Smaile」はフロアがシンガロングする光景が目に浮かびますね。

これは最初から僕らのライヴに来てくれた人に向けた歌、彼らのことを歌ったものとして作っていて。勿論ライヴで楽しいことは大前提だったので、目の前のみんなのことを歌いつつ、みんなで歌えるハッピーな曲にしようと。だからあんまり深い意味はないというか(笑)。

-ラストに半音上がるところ、ポイントですよね。ちょっと懐かしい感じで。

まさにそうですね(笑)。実はこの曲、浅はかに見えて結構アレンジが凝ってるところもポイントなんです。間奏のベース・ラインもすごく変なところに行ってから戻ってくる。僕らが高校時代でも作れそうだけど、いろいろ経た中でできた曲だというのをちょっと出したくて......なのでアレンジは結構頭いいぶったことをしてます(笑)。

-ははは(笑)。Track.10「キセキノチカラ」、Track.11「風鈴」でアルバムを締めるのは、ラウドロック・リスナー以外にも刺さる楽曲をこれから作っていくという意思表示なのかなと思ったのですが。

その2曲で締めたのは、アルバムの流れを考えて曲順を考えたので、結果そうなったというだけなんですけど。この2曲に限らず、一辺倒ではないバンドというのが自分たちのプライドなので、今回はそれを幅広く。特にこの2曲は出せたんじゃないかと思います。「キセキノチカラ」のコンセプトとしては、僕らが1stミニ・アルバム(『From Midnight To Sunshine』)のころにやっていたような曲で全然違うことがやりたい、そういう曲を作りたいと思って。僕ら1stのころから比べると、他のバンドじゃ有り得ないくらいめちゃくちゃ音楽性が変化してると思うんですよね。こいつら何がしてえんだ?と言われてもおかしくないくらい変わってると思うんですけど、今でも歌詞のメッセージ性やメロディのこだわりという芯の部分は1stを出したときのあの感じだと思ってるんです。昔から僕らを応援してくれる人が楽しめる曲を今もう1回作ったらどうなるんだろう?と思って。今までそういうことをやってこなかったので、どんな曲ができるかな?と試してみたんですよね。そしたらいいものができたので、今回入れようという感じになって。

-そのサウンドを作ることも、お客さんへのメッセージになりますね。

僕がいちリスナーだったころによく思ってたのが――バンドはどんどん進化していくじゃないですか。それはすごくいいんですけど、これ変わりすぎだろ!と思うことがちょいちょいあったんですよね。だからいちリスナーとして、リスナーの言う"初期のころが良かった"という気持ちがすっごくわかるんです。"この進化、すごくいいと思うけど、ここにあと1、2曲今まで通りの曲があったら良かったのに"と思うことが僕ほとんどで。今まさに自分たちがその立場に置かれて、進化する大事さを昔以上に実感してて。でも初期からついてきてくれる人を置き去りにしないというか。自分たちの原点を忘れない、そこも大事にしたいんですよね。そういう気持ちがあって入れた曲なんです。媚びてるというわけではなく、自分のいちリスナーとして感じたことを教訓にした感じですね。

-ALL OFFの音楽性が変わるのは、やりたいことがたくさんあるからですか?

デビューした当初よりもいいと思うものが増えたんですよね。昔は"これしかやだ!"という感じだったんですけど、そういうものを一度作ると"次どうしよう?"という話になってしまって。いろんなものを聴きあさって、いろんなライヴや人生経験を経て"あ、これ今までそんなにいいと思わなかったけど、こういう良さがあるんだ"ということを見つけられたりして、どんどん視野が広がってきてるんですよね。なのでひとつの場所に留まるのではなく、最終的にいいメロディといい歌詞が乗っているいい曲ならなんでもいいと僕らは思ってるんです。今はそれをどんどん追及している感じですね。

-なるほど。「風鈴」はヒップホップ的な音の作りかたで新鮮でした。ちょっと物悲しいアコギも印象的です。

今まで一切やってこなかった手法なので、今回初めてやってみました。歌詞の内容が幸せな恋愛の歌ではないので、男女の枯れた感じを表現したいなと思ったんですよね。それをやるためにいいアコギじゃなくて、部屋に転がっているような1万円くらいのボロッボロの、弦がヨレヨレのアコギを敢えて使ったんです(笑)。サスティン(※音の伸び)がないような枯れた感じを出したいなと思って入れてみたらわりと曲にマッチしたので"これいいじゃん"って。

-細部まで詰めに詰めてますね! これからのALL OFFが楽しみになるアルバムでした。ここで1stフル・アルバムを完成させたということは、リリース後くらいには次の制作に向けて動き出すのでしょうか。

そうですねー......曲は常に書いてくださいと言われてますし(笑)、自分たちもその大切さは理解してますからね。やっぱり僕は、ある程度一定のサイクルでやり続けられてこそプロだと思っているので。そうじゃなきゃ趣味なんで。制作で行き詰ってるときライヴで発散できたり、ライヴでの勢いが声に乗って歌が良くなったりもするんですよね。だからツアー、制作、リリースをやらせてもらえるのはすごく光栄なことだと思っています。

-またここでリセットなんですね。

そうです。今、ストックはゼロなんで。今回のアルバムのために40曲くらい書いたんですけど、アルバムに入っているのはその中から選んだ曲なんですよね。ということは残りの40曲というのは、もうこの選んだ曲に負けてる作品なんですよね。常に前作を超えていくことがテーマでもあるので、全部捨てて、次には使わないですね。だからリリースごとにリセットして、またそのときにやりたいことをしっかりやる。体力と頭をだいぶ使うんですけど(笑)、それに慣れてくるとそういうやりかただと常に新鮮なものが出せるんです。今回のアルバムでやりたかったことやできなかったことももちろんあるので、そこを分析して次に生かしていきたいです。