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INTERVIEW

人間椅子

2014.06.16UPDATE

2014年06月号掲載

人間椅子

Member:和嶋 慎治 (Gt/Vo)

Interviewer:荒金 良介

-よりライヴ映えしそうな即効性の高い楽曲が多いですね。

ライヴでやれないとダメだな、と思って作ってますからね。前はどう考えても出ないキーで曲を作ることもあったから。で、今回は前作から1年経たずに出せたから頑張ったなと(笑)。自分たちの調子がいいんだなって。

-最初に具体的なアルバム像はありました?

さきほども少し言いましたが、前作の延長線上にしたいと思ってました。リフ中心、マイナー・キーがほとんどという流れでもう1枚作ろうと。あと、歌詞の面でキツイことも言いたいなと。ぼちぼち言ってもいいかなと。

-というのは?

聴いてくれる人がどんどん増えてるから、もっと挑戦したいと思ったんですよ。よりストレートな言葉を使ってみたくて。最後の曲(「隷従の叫び」)で、人間は奴隷ではなく自由な存在だ、ということをはっきり言いたかったんだよね。

-それはなぜですか?

今の世の中を見ても、どんどん管理的になってる気がして。"1984年"(George Orwell)という小説があるじゃないですか?知らず知らずのうちにみんながそうなってる気がするんですよ。街でタバコさえ吸えないしね。誰かが突出した行動を取ると、陰口を言ったりして、みんなビクビクしてる気がして。そういうことじゃないんじゃないかと。本来、付和雷同する必要もないと思うんですよね。あくまでこれは例ですけど、ワールド・カップがあったら、なぜみんな同じ格好するのかなって。

-言われてみれば、確かに。

その人なりの対応があっていいのに......もしかしたら、みんな子供の頃からそういう風に教育されてるのかなと。もっと自由でいいのにって。それは昔から言いたかったことで、(今回は)それをわりとストレートな言葉で言ってみようと。だから、歌詞が簡単になったと思う人もいるかもしれないけど、それはそれでいいんです。今回はそういうことをやってみたかったから。曲をかけて耳で聴いてもわかるようにしたくて。耳で聴き取れない歌詞も僕らは多くて......それは難しい言葉を使うという1つのスタイルを作ったので、これからもやっていくんですけど。聴いてわかることも大事だなと。簡単なことで意味のある言葉ってすげえ難しいなって、改めて思いました。

-歌詞のテーマというと?

今回の帯にも書いてあるんですが"人は無限の可能性を秘めた一個の自由な存在だ"と。その拠り所は体じゃなくて、心なんですよね。体を求めると物質的なものに行くし、具体的に言うと、お金の方に行くんですよ。それが争いを生むと思うんですよね。でも人間はそうじゃないだろ、と思うんです。心に戻ることができれば他人も認められるし、物質じゃないんだと気付くと思うんですよ。そうすると、何も束縛するものはないことがわかって、自由だということに気付くんじゃないかと。それをしつこく歌詞で言いたくて。

-「悉有仏性」の"心の中に故郷がある"という歌詞も印象的でした。

それをいろんな角度から、平易な言葉で書こうと思ったんですよ。だから、歌詞は似たものが多いかもしれないけど、今回はそれでいこうと。

-それこそ、仏教の教えでもある"足りていることを知る"ことの大切さを説いてますよね。

そうそう、もともと足りてるんですよ。逆を言えば何も持ってないとも言えるし、欲しがる必要はないんじゃないかと。まあ、なかなか難しいんですけどね。それが伝わるだけでいいと思います。

-このアルバム名もこれまで言っていることに通じますか?

そうですね。無頼というのはフリーという意味合いで付けました。"自由の豊かさ"となると、道徳の教科書みたいになっちゃうから(笑)。僕たちなりにヒネらないといけないなって。ロックは自由を代弁する音楽だと思うし、それを和風に日本風にかっこ良く言えないかなと。自由であることは豊かさを呼ぶと思うので、それで豊饒と付けました。いたずらに自由と言っても難しいけど、その自由は各自が見つけないといけないんですよね。

-聴き手がそれぞれの自由や心の豊かさを求めて?

それは誰かに教えられることじゃないんですよね。誰かに教えられた時点でそれは自由じゃないから。本人が見つけられるはずなんですよ。なんか、学校の先生みたいな難しいこと言っちゃって、すいません(笑)。

-いえいえ、全然問題ないです。では、8月から始まる"二十五周年記念ツアー〜無頼豊饒〜"への意気込みを聞かせてください。

いや、ほんとバンド生活25年ですよ。20年以上やるとベテランと言われて、ある意味落ち着いてくるわけで、ライヴもやや同窓会的にお客さんと歳を重ねていくものですけど。僕らは数年前に若いお客さんも来るようになって、"Ozzfest Japan 2013"にも出れたことで再デビューしたような気持ちがあるんですよ。25周年は第2の新しい幕開けのような気持ちなんです。だから、今後のバンド活動も楽しくやっていけると思ってます。おやじ再デビューですよ!

-はははは、ありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございます。