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INTERVIEW

摩天楼オペラ

2013.12.04UPDATE

2013年12月号掲載

摩天楼オペラ

Member:苑 (Vo) 彩雨 (Key)

Interviewer:荒金 良介

-多くの人と気持ちを分かち合いという部分を超えて、より深いところに届けたいという思いが強くなったのかなと。

苑:近しい人に伝える、距離感ゼロの愛情というイメージですね。

-なぜそういう心境に?

苑:何でだろう。さっきも言った通り、自分のことはよくわからないですね(笑)。

-ははははは。

苑:歌詞を書いてみて、人から言われて、なるほどなと思うことが多くて。作詞家として、1つ階段を上ったのかもしれない。

-彩雨さんはこの歌詞を読んでどう思いました?

彩雨:歌詞が最終的に決まったのがレコーディング直前で、すごい勢いで変わったから、メロディやアレンジは大丈夫かなと思って(笑)。でも最後はビシッと決めてくれたので、さすがだなと。曲のアレンジに関してはシンプルにしたいと思ったけど、シンプルすぎたら普通すぎるんじゃないかとか、いろいろ試しながら、ここに落ち着いた感じですね。ほかに隠し味程度にタンバリンを入れたり、ピアノだけのパートの裏にシーケンサーを入れたり、どちらかと言えば削ぎ落とすよりも、音数を増えました。

-そうなんですね。タンバリンの音には気付きませんでした。

彩雨:それも気付かないで正解というか。

苑:ほんとに隠し味です。サビで意識して聴くと、シャカシャカ言ってます。それがクリスマス感を醸し出してて良かったです。

彩雨:冬っぽいもんね。この曲もAメロ、Bメロも全部取っ替えたんですけど、ピアノのAメロにしたら、より冬っぽい曲になって。サビは同じなのにサビ自体も冬っぽく聴こえてくるんですよね。だから、Aメロ、Bメロって大事だなと改めて思いました。

-紙資料にも書いてますが、やはり季節感も意識したんですか?

苑:はい。「Orb」の"おやすみのキスをしたら、願い事をひとつ"という冒頭の歌詞もクリスマスのことを書いてて、明日起きたらプレゼントがあるよって。この歌詞の主人公も子供の頃に親からプレゼントをもらって、すごく幸せな気分になったから。次は自分の子供にも同じ体験させてあげたいなって。それでクリスマスの歌にしました。

-少し話は逸れますが、冬にはどんなイメージがあります?

彩雨:僕は冷たい中に暖かさがあるのが冬のイメージですね。そういう意味でまさに「Orb」は冷たいだけじゃなくて、暑苦しいわけでもなく、うまく混ざっているところが冬っぽいなと。冬だからこそ、逆に暖かいみたいな。

苑:僕は札幌生まれなので、冬と言ったら雪ですね。札幌はずっと冬の間、雪が降ってますからね。雪が降ってるときの空気感というか、粉雪のときは肌を刺すような冷たさだけど、牡丹雪のときって暖かいんですよ。そういう空気感を思い出しますね。

-曲の雰囲気とも重なりますね。そして、カップリング曲の「DRACULA」に関しては?

彩雨:結果的に「DRACULA」も10月のハロウィンから12月のクリスマスに向けてみたいな流れに乗ってるのかなと。狙ったわけじゃないんですけどね。

-「DRACULA」は歌と打ち込みだけで構成されたユニークな曲調ですね。

彩雨:ドラムのこともあったので、カップリングはドラムがない曲と初めから言われていたので。

苑:悠の休みの間にレコーディングしなければいけなかったですからね。

彩雨:この曲はダンサブルなもので、ちょっとメルヘンチックなセクションを入れたいと思って。あと、静と動の切り替えをはっきりさせたいなと。妖しく、ダークだけど、暗いというよりは異国のイメージがあって。最初どういう歌詞が付くか分からなかったけど、イメージ通りの歌詞でした。

苑:ふっとドラキュラが踊り出してるイメージが浮かんで(笑)。イントロのストリングスを聴いたときに、妖しさと踊ってる雰囲気が頭に浮かんで。その踊ってるところも王宮というより、闇にまみれて街中を自分の王国のように歩くような感じで。ドラキュラが生きてる人間を見下すようなイメージで。欲と罪にまみれた人間たちが日中は我が者顔で歩いてるわけじゃないですか。それを上から目線で"バカな人間どもよ"みたいな絵が浮かんできて。

-お互いイメージしたものがピッタリ合って?

苑:そうですね。歌詞を見て、これだよこれ!って言われたのは初めてかもしれない(笑)。

彩雨:ああ、確かに。

-「Orb」はメッセージ性が強いですが、「DRACULA」の歌詞は物語性がありますね。

苑:主人公の心情というより、そこの風景が浮かぶような歌詞ですね。

彩雨:曲調的にはダンス・ミュージックにしたくて。でも最近流行ってるEDMといいうより、若干古いタイプのものにしようと。音が少なすぎると、曲の世界観を出しにくいし、踊る要素と世界観をうまく掛け合わることができました。ダンス・ミュージックとクラシック的な世界観をうまいところに落とし込めたんじゃないかな。最近のダンスは裏打ちがないんですよね。この曲はそれをがっつり出して。