―フリーペーパー、ロック系ポータルサイトを運営しています激ロックと申します。よろしくお願いします。
M:覚えてるよ!LOUDPARKでバッジをくれたよね!
―一昨日の川崎公演・昨日の東京公演とお疲れ様でした。
LOUD PARK07での来日からわずか半年での再来日ですね。
M:LOUDPARKはすごく楽しかったよ。あのときは4ヶ月の世界ツアーの最中で、北米・ヨーロッパ・日本・オーストラリア、それから中国にも回ったんだ。その中でも、LOUDPARKは一番規模も大きくて、そこでヘッドライナーとしてやれたことはすごくうれしかったね。しかもちょうどARCH ENEMYが初めて日本に来てから10年目の記念すべき年だったから、LOUDPARK07への出演は記念すべきことだったんだよ。
―LOUDPARKのインタビューの時に中国に行くと言ってましたよね?
M:行ったよ。そして、生きて戻ってきたよ(笑)
一同(笑)
M:わずか数時間の距離なのに日本とあんなに文化が違うなんて、興味深いね。本当に文化が違ってすごく面白かったし、大変だったんだ。二人ともベジタリアンだからね。ひたすらコーヒーを飲んでたよ。今回のツアーは日本の後に韓国と台湾に行くから、それも楽しみなんだ。新しい経験だね。
A:個人的には日本の方が好きよ。本当よ。
―(LOUDPARKと比べて)今回は時間的に自由にセットを組めたと思いますが、今回のセットリストはどのように決めたのですか?
M:かなりケンカして決めたんだ(笑)
一同(笑)
M:嘘じゃないけどちょっとオーバーだね。これまで多くのアルバムを出してきて、、、えっと、何枚だっけ?
A:7枚よ。
M:(照れながら)そう、7枚も出したし、ARCH ENEMYはこれまで長く活動をしてきて日本には何度も来ているから、必ずやらなきゃいけない「ファンお気に入りの曲」も決まってるし、今回の新譜からもやらなきゃいけない。新譜への日本の反応はすごくいいから、新譜をより掘り下げてプレイしたかったしね。結局、新譜からは4曲やったんだけど、新曲をライブでやることが重要だと改めて思ったね。それから、日本以外では一度もやったことがない曲もセットに入れたんだ。「Silverwing」「Dark Insanity」とか、あと「Wages of Sin」の中からは、、、
A:「Shadows and Dust」よ。
M:「Snowbound」もそうだ。日本以外ではやってない曲が結構あるんだよ。日本では人気がある曲を中心に選んでるからね。それと、今作ってるDVDに昨日のStudio Coastのライブを収録することになっていたから、バランス良く選ぶことを心がけたんだ。「Live Apocalypse」っていう素晴らしいDVDが既にあるけど、それと曲が被ってもいいのかかなり悩んだよ。今回はいろんなことを考えてセットリストを作ったんだ。
―川崎公演を拝見しましたが、アンジェラ(Vo.)が4回も衣装を変えていましたね。
A:昨日は(Studio Coast公演)やってないのよ。大変だから。
一同(笑)
―歌が入るギリギリに出てきてましたね。
A:すごくタイトだったからね。
M:演奏を始めて「まだかな~」「来ないなぁ」「あ!居た!」ってな感じだったんだよ(笑)
一同(爆笑)
A:3分で着替えて戻ってこなきゃいけなかったんだけど、汗を拭いてステージから走って控え室に入って、着替えようとしたら、服が汗を吸ってうまく脱げなかったの!!それで焦ってしまって、マイクはどこ?ってパニックになっちゃったのよ。
一同(爆笑)
A:だから、昨日はDVDの収録のためにやらなかったのよ。いいパフォーマンスをしなきゃいけないからね。
―衣装はアンジェラが決めたのですか?
A:そう、ライブ用に自分で選んだのよ。自分の個性が出るように意識して選んだわ。他のメンバーがほとんど真っ黒だから、一人だけ目立つ方がいいと思ったの。アイアン・メイデンだって、ジューダスプリーストだって、シンガーが特製の目立つ衣装を着るのは昔からよくあることだわ。
―特に3番目の赤い衣装が女性的で非常に印象に残ってます。
A:そう、確かに3番目のは女性的だったわ。日本だから安心してあんな格好もできるの。女性的な格好もたまにはいいと思ってるんだけど、アメリカなんかでは、同じ格好をするとすぐ「女だ」「女だ」と言われたりするから「タフ」な格好しかできないのよ。スカートなんて履いたらもう、こっちが引いちゃう位の反応なのよ。
M:僕はスカートを履くとすごく気持ちいいよ(笑)
A:あなたはそうよね(笑)
一同(爆笑)
M:ああ!これは違う話だよ!カメラの前では話せない内容だった(笑)
一同(爆笑)
―アンジェラのライブでのパフォーマンスは非常にアグレッシブでオーディエンスを引き込んでいくパワーを持っていますが、その細い体のどこにそのパワーが隠れているのか不思議です!!
M:悪魔の魂が宿ってるんだ!
A:小さな悪魔が私の中で動き回ってるのよ(笑)
一同(笑)
A:精神的なものに突き動かされてという意味ではスポーツにも似てるかも知れないわね。
私には痛いぐらいがちょうどいいの。あ、これもカメラの前では話せないわね(笑)
―マイケル・アンジェラ共にテクニック的にもスピリチュアルな面でも誰にも真似できない強烈な個性を持ったアーティストだと感じていますが、ARCH ENEMYのメンバーとして、ARCH ENEMYというバンドを通して何を表現しようとしているのか教えて下さい。
M:見てる人たちをexitingにさせたいんだ。基本的にはエクストリームメタルなんだけど、ドラマティックな展開とメロディーで、憂鬱や悲しさ、それから高揚感を表現していて、明暗をはっきりとつけて一辺倒にならないことを意識しているんだ。ARCH ENEMYにはバラードはあり得ないから、テンポを落としてギターのソロを入れたりシンプルなフレーズにしたりして、メリハリを付けてるんだ。色んなスタイルでプレイできるけど、だからといって分裂病みたいにはならないようにはしてるよ。日本はインストも好きなファンが多いから意識的に入れてるんだ。アンジェラがその間休めるしね。しかも、その間に衣装も変えられる(笑)
A:(苦笑)
M:要は、パワフルでダイナミックなステージを目指してるんだ。ステージの演出も同じで、それらを強調する見た目にしてるんだ。シンプルなステージ、小さいアンプでやる伝統的なパンクやハードコアの雰囲気とは違って、ARCH ENEMYは大きなセットを組んだり、大きな照明を入れたりして大胆で華やかなステージを意識してるよ。
それに、ARCH ENEMYはアンジェラ自身が演出にもなっているんだ。ヨーロッパでよくあるOZZFESTみたいな昼間にやる野外フェスでは照明もほとんど使えないからステージが退屈なものになりがちなんだけど、彼女のパワフルなパフォーマンスとカリスマ性が会場をexcitingにさせるんだ。彼女のようなカリスマがフロントにいるとバンド全体がものすごく浮き立って目立つんだ。彼女は僕らの秘密兵器なんだ、、、秘密ではもはやないけどね。
―アンジェラのステージパフォーマンスは非常にパワフルで、圧倒されるのですが、どのようにして今のスタイルに行き着いたのですか?
M:それは僕に語らせてくれ。アンジェラが入って最初のライブは確か日本だったと思う。あれは赤坂BLITZでチケットも完売してたんだ。「新しいボーカルはどうなんだ?」ってオーディエンスが思ってるのがこっちに伝わってくるぐらいの雰囲気だったんだけど、3、4曲ぐらいやって一息入れてる時にアンジェラを見たら全然平気な顔をしてて、いつも通りのような雰囲気だったんだ。それを見て俺はああ、何も心配要らないんだ、と思ったんだ。きっと彼女の頭の中では何度もショーをやってて、パフォーマンスも自然に自分のものになっていたんだと思ったよ。アンジェラはいわゆる「生まれながらもった」タイプだね。目立ちたがりだしね。
A:オーディエンスがいっぱいいても平気なのよね。よく大勢の前で固まっちゃう人もいるけど、私はそうじゃないわ。
M:気持ちの問題だよね。パイロットとか、医者とか、大勢の命を預かってる人でも大勢の人の前では喋れなかったりするからね。
A:ステージの上が居心地悪いっていうアーティストもいるわよね。スポットライトがダメとか、演奏は好きだけどパフォーマンスは苦手だったりとかね。
M:僕らはパフォーマンスが大好きなんだよ。
A:そう、私もよ。
―THE DAY YOU DIED の前のMCで「日本の映画に影響を受けた」と言っていましたね?「火垂るの墓」に影響を受けたと別のインタビューで読みましたが、「火垂るの墓」とはどこで出会ったのですか?そしてどういった所に影響を受けたのですか?
A:マイケルが持ってたのよ。
M:ああいうアニメのDVDを結構持ってるんだ。
A:千と千尋も持ってるよね。
M:宮崎ハヤオは気に入ってるよ。実は娘が「千と千尋の神隠し」が大好きだから一緒に何度も見たんだ。千と千尋は映画全体の雰囲気が好きで、それでジブリの他の映画や、似たような他のアニメの映画をチェックするようになって出会ったんだ。もの凄く悲しくて、リアルで、たまたまアンジェラとも一緒に見たんだけど二人とも泣いてしまったんだ。
A:苦笑
M:最高のアンチウォー(反戦)の映画だよね。すごく人間的で、エモーショナルで、見終わってすぐにメロディーを書いたんだ。もちろん、映画で使われてる音楽に影響を受けたわけじゃないよ。歌詞はその後にアンジェラと二人で書いたんだ。しばらくは「Grave of Fireflies(火垂るの墓)」と呼んでたんだけど、あまりにも映画とイメージが近づいてしまうと良くないので名前を変えたんだよ。
A:この映画が好きになったのは、何で戦争が間違っているのかという本質を突いていたからなの。政治とかビジネスとか、コラテラルダメージ(注:政治的にやむを得ない犠牲)とかの議論や、人々が家を失った話を聞いても、自分には関係の無い遠い国の話だとしか思えないよね。実際に無くなっていく人たちのリアルな運命は中々見えてこないし、戦争で犠牲になる子供たちについてはほとんど語られないし、カメラにも写ることはない。カメラが伝えるのは、大きな事象、大きな戦闘機、遠くの大きな爆発の映像ばかり。全く感覚的に伝わってこないわ。この映画は本当に本質を突いていて、戦争が必要悪だと言ってる馬鹿野郎共に見せてやりたいぐらい。人々にとって戦争は何の解決ももたらさないし、全てを失うだけ。普段、映画を見て泣く事はほとんどないんだけど、この映画には本当に感動して泣いてしまったの。人に伝わる作り方を理解している作品だと思ったわ。
―最新作「Rise of Tyrant」は、例えばマイケルのソロの後に、ツインリードがあって、その後にクリスのソロが入ってと、とても複雑な構成になっていますが、どのようにして作っていったのですか?
M:ギターパートを作るプロセスにはかなり時間をかけたんだ。何度も手を入れてどんどん内容が変わっていったんだ。特に今回はギターにかなりの力を入れていたからね。新鮮味と面白さがあるエキサイティングなパートを目指した結果、「Rise of the Tyrant」はエネルギーとパワー溢れる作品になったよ。アルバム全体については、曲の流れを意識して作りこんだんだ。ギターソロについては、歌詞の内容をイメージして作っていったんだ。今回はメンバー全員で曲作りに挑んで、シンプルなデモを作ってはアンジェラに渡して歌詞を書いてもらったんだ。同時進行で全てを進めてる感じだったんだけど、実際はアンジェラが書いてきた歌詞を見て「こんな歌詞になるんだったらもう少し変えよう」っていうようなやり取りをしながら曲を作っていったんだ。そんなやり方だったから、まるで生き物みたいに曲がどんどん変わっていって、最終的にミックスをする段階で初めて曲ができあがったような感覚だった。ギターパートには変更を何度も加えたよ。クリスが戻ってきた雰囲気の良さとかエネルギーとかもアルバムには反映されてると思うよ。一緒にやった時のスペシャルな感覚があるんだ。言葉ではうまく言い表せないけどね。
A:全然説明できてないわよ(笑)
一同(笑)
M:曲作りは自然なプロセスで進めたよ。リフは大体僕が作ってるんだ。クリスが戻ってきた時には曲がある程度できてたんだけど、クリスらしさをアルバムに反映させたかったから、クリスにもアイディアを出してもらって、それをスパイスのように散りばめたんだよ。それによってアルバム全体にダイナミックさが出たと思うんだ。
―レコーディングの際に感情を高めたり、テンションを挙げるために何か特別なことはやっているのですか?
M:ギターソロに関しては、最後の最後に入れるようにしてるんだ。ギターソロは全ての音に感情を込めたいからね。気持ちを高めてその気にならないとできないよね。朝の8時から録ると言われても無理なんだ。リズムギターの部分は、機械的にリズムを取って淡々と仕事のようにやることもできるけど、ギターソロはある種絵を描くアーティストにも似てて、インスピレーションが湧いてくるのを待ってからレコーディングしてるんだ。ギターのサウンドをすごくエモーショナルでエキサイティングなものにしたいから、ひらめきが必要なんだ。歌もそうだよね?
A:歌はまだ歌詞があるから楽なのよね。気持ちを入れやすいのよ。悲しい曲とか、怒ってる曲とか、歌詞に引っ張られていく部分が大きいのよ。指だけでやるから、ギターの方が難しいんじゃないかな?自分でこう弾こうと決めてやらないといけないから。
M:だから僕は先に歌詞が欲しいんだよ。どういう内容の曲なのかが分かれば、アグレッシブに弾こうとか、邪悪な音だったりとか、メロディックなフレーズとか、決められるからね。全てが揃った時に初めて決められるんだよ。ARCH ENEMYは非常にクリエイティブだから、僕が一応メインのソングライターだけど、実際にはほとんどコラボレーションで曲は作られてるんだ。ダニエルがギターで曲を書いたりもしてるし、今はほとんどの歌詞をアンジェラが書いてる。みんながARCH ENEMYを支えてるんだ。今のバンドのメンバーに恵まれてすごくラッキーだったと思う。不動のメンバーだよ!最高のチームだ!それぞれが違うものを持ってて、それぞれの良さを持ち寄ってARCH ENEMYは成り立ってるんだ!
―非常に長時間ありがとうございました。
最後に日本のファンにメッセージをお願いします。
ライズ・オブ・ザ・タイラント
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