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FEATURE

ENTER SHIKARI

2017.10.06UPDATE

2017年10月号掲載

これは華麗な進化か、壮大な寄り道か―― ENTER SHIKARIの創造性が爆発した最高にポップなニュー・アルバムが完成!

ライター:山本 真由

昨年、Crossfaithがオーガナイズするツアー"ACROSS THE FUTURE 2016"に出演し、その熱気に満ちたライヴも記憶に新しい、ENTER SHIKARI。今年に入ってからも、ロンドン出身の若手グライム・アーティスト Big Narstieとコラボレーションした楽曲を発表したり、盟友Crossfaithのニュー・アルバム収録曲にゲスト参加したりと、話題に事欠かない彼らが、約2年半ぶりとなるニュー・アルバムをリリースする。『The Spark』と題された今作は、これまで以上にチャレンジングで進化に貪欲な、まさに閃光の如く聴く者に驚きを与えるアルバムとなった。

今作のプロデューサーには、前作と前々作を手掛けた、プログレッシヴ・メタル・バンド SIKTHのメンバーでもあるDan Wellerに代わって、インディー・ロック・バンド EVERYTHING EVERYTHINGや、インディー・ポップ・アーティストのBAT FOR LASHESの作品を手掛けているDavid Kostenを新たに起用。このことからも、前作までのアグレッシヴで重厚感のある方向性とはちょっと違うのだということがわかるだろう。今作は、かつてないほどドリーミーでポップ、なおかつ冒険心に溢れたアルバムとなっているのだ。

まずは、浮遊感のあるコードにキラキラとしたサウンドが徐々に重なって、期待感を高めるインストゥルメンタルの表題曲から始まり、80'sシンセ・ポップ調のTrack.2「The Sights」に繋いで"こうきたか!"と驚かせる。Track.3「Live Outside」では、シャウトはあるものの、お腹に響くような重低音や歪んだギターはなく、一貫して軽やかでダンサブルな曲調が続く。そして、疾走感のあるTrack.4「Take My Country Back」でやっとハードコアの顔を覗かせるが、これまでのヘヴィなサウンドとはまた違った、オーガニックでシンプルなサウンドに仕上がっている。しかしここから徐々に、ヘヴィな方向にシフトしていくのかと思えば......そんなことはなく、囁くようなヴォーカルとピアノの旋律が奏でるTrack.5「Airfield」が続いたり。そして、その美旋律がだんだんノイジーに盛り上がっていったり。まったく先が読めないアルバムだ。さらに、ENTER SHIKARIらしい振れ幅の方向転換で、ブレイク・ビーツと攻撃的なラップが不穏な精神世界を表現したTrack.6「Rabble Rouser」へと続く。そこから一転してふわりと始まるのはTrack.7「Shinrin-yoku」、なぜか"森林浴"という日本語タイトル。その名のとおり、ラテン音楽のような柔らかなリズムとメロディを用い、壮大なシンフォニーになだれ込む、清々しい森の香りのする楽曲。それから、天から降り注ぐようなコーラスが印象的な、エレクトロ・ロック・ナンバーのTrack.8「Undercover Agents」、そして、ポストロック/ニュー・ウェイヴ的なTrack.9「The Revolt Of The Atoms」へ。ここまでで、目まぐるしく様々なエッセンスが絡み合い、そしてほどけ、幸福な気分にさせられたり不穏な気分にさせられたりとだいぶ揺さぶられたが、壮大なスケールで描かれたTrack.10「An Ode To Lost Jigsaw Pieces」でしっとりとまとめた感じだ。そして、ラストはTrack.1に呼応するようなインストゥルメンタルのエンディング・トラックとなって、きれいに締めくくられている。

今作は、人々を不安に陥れる社会情勢や、Rou Reynolds(Vo/Syn)の不安定な精神状態が、突き抜けて現実逃避に走ったような、軽やかだが様々な表情が複雑に絡み合ったサウンドに結びついたのではないか。これこそまさに、音楽表現と共に生きる彼ららしい、今の彼らにしか作ることのできないサウンドなのだろう。






▼リリース情報
ENTER SHIKARI
5thアルバム
『The Spark』
enter-shikari_jk.jpg
NOW ON SALE!!
HSE-4268/¥2,400(税別)
[Hostess]
amazon TOWER RECORDS HMV

1. The Spark
2. The Sights
3. Live Outside
4. Take My Country Back
5. Airfield
6. Rabble Rouser
7. Shinrin-yoku
8. Undercover Agents
9. The Revolt Of The Atoms
10. An Ode To Lost Jigsaw Pieces
11. The Embers
12. Redshift ※
13. Supercharge (ft. Big Narstie) ※
※日本盤ボーナス・トラック

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