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FEATURE

RANCID

2017.06.09UPDATE

2017年06月号掲載

信念は曲げず、音楽スタイルで遊ぶ "RANCIDパンク"の基本はここから学べ!

ライター:山本 真由

ここ数年、"若者の洋楽離れ"なんていうフレーズを耳にするようになった。もちろん激ロックの読者には、コアでマニアックなロック・リスナーも多いので、実際世間にそんな風潮があるのか、あまり実感のない方も多いかもしれない。しかしながら、海外のバンドに影響を受けた実力派の国内バンドが、数多く活躍する昨今のロック・シーンにおいては、"日本のバンドだけでお腹いっぱい"という状況もなんとなく理解できる。それでも、もしパンク・ロックを聴くなら、このRANCIDだけは聴いておいてほしいと思う。それくらい、彼らは多くのフォロワーを生み、現在のシーンに大きな影響を与えた重要なバンドなのだ。

では、RANCIDとはどんなバンドなのか。まずは、メンバーのTim Armstrong(Vo/Gt)とMatt Freeman(Ba/Vo)のふたりが所属していた、RANCIDの前身バンドとも言えるスカ・パンク・バンド OPERATION IVYから彼らの歴史は始まる。OPERATION IVYは、1987年~89年というわずかな活動期間の間にカルト的な人気を博し、結局それが解散にも繋がってしまったようだが、とにかくスカ・パンクのオリジネーターであり、伝説的パンク・バンドでもあるのだ。そして、そのスカ・パンクのエッセンスを引き継ぎつつ、さらにもっと"パンク"という部分に軸足を置いたバンド、それがRANCIDだ。
RANCIDの音楽性は、今日の"パンク"というものの概念のお手本のようなストレートで硬派なものだが、その中身をひもとくと、様々なルーツに敬意を表したパンクの歴史そのものであるということにも気づく。70'sオリジナル・パンクの影響下にありながら、ハードコアの流れを汲みつつ、さらに90年代以降のメロディック・パンクの枠組みにも片足を突っ込み、そこに独自のスカやレゲエの要素を取り入れている。こんなふうに言ってしまうと、複雑な音楽性に感じられてしまうだろうが、実際聴いてみると頭で判断するよりも、聴く者のテンションを脊髄反射的に上げてしまう、そんなサウンドなのだ。例えば、一昨年20周年を迎えた3rdアルバム『...And Out Come The Wolves』は、多くのアーティストがフェイバリット・パンク・アルバムに挙げる名盤だが、誰もが知る名曲「Time Bomb」「Ruby Soho」など1曲1曲のクオリティの高さに加えて、アルバム1枚の"ノリ"とも言えるような、空気感を作品丸ごとで楽しむことができる。ものすごくクレバーなことを、ノリと勘でやってしまうようなイメージと言えばいいだろうか。

そんな彼らの約3年ぶりの最新作『Trouble Maker』。まず目を引くのは、アルバムのアートワークでは1stアルバム以来の使用となる、オリジナル・ロゴの復活だ。そこからもわかるように、このアルバムはまさに原点回帰の作品なのだ。
1曲目から、めちゃくちゃシンプルでファスト&ショートな「Track Fast」、続く「Ghost Of A Chance」も疾走感抜群のパンク・ナンバーという、まさに"これこれ!"という流れで幕開け。その勢いのまま続くかと思えば「Telegraph Avenue」は、少しテンポを落としてハンドクラップで盛り上がる、ポップでハッピーな楽曲。その後も、激しい楽曲とユルめのスカ・ナンバー、渋めのロック・ナンバーなど、縦横無尽に遊び倒し、飽きさせない内容。そして、そうした様々なスタイルで表現されるのは、やはり"RANCIDパンク"というものなのだ。彼らにとっての原点回帰は、OPERATION IVYのころから続く、自分たちの信念に沿ったグッド・ミュージックをパンクで書き換える、というオリジナリティを再確認するということなのではないだろうか。改めて、RANCIDというバンドの唯一無二の存在価値を実感させられる作品だ。

ということで、"RANCIDを聴いてみたいけど、どの作品から聴けばいいかわからない"という方には、まずこの最新作から入ってみることをお勧めする。






▼リリース情報
RANCID
9thアルバム
『Trouble Maker』

NOW ON SALE!!
WPCR-17728/¥2,457(税別)
[WARNER MUSIC JAPAN]
amazon TOWER RECORDS HMV

1. Track Fast
2. Ghost of a Chance
3. Telegraph Avenue
4. An Intimate Close Up Of A Street Punk Trouble Maker
5. Where I'm Going
6. Buddy
7. Farewell Lola Blue
8. All American Neighborhood
9. Bovver Rock and Roll
10. Make it Out Alive
11. Molly Make Up Your Mind
12. I Got Them Blues Again
13. Beauty of the Pool Hall
14. Say Goodbye to Our Heroes
15. I Kept a Promise
16. Cold Cold Blood
17. This is Not the End
18. We Arrived Right On Time ※ボーナス・トラック
19. Go On Rise Up ※ボーナス・トラック
20. Never Forget Us ※日本盤エクスクルーシヴ・ボーナス・トラック

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