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FEATURE

AKIHIRO NAMBA × TAKESHI UEDA

2013.12.17UPDATE

2013年12月号掲載

最強の2人がタッグを組んだ濃密すぎるコラボレーション!

Writer 荒金 良介

両者が真正面からぶつかり、お互いを高め合った好コラボレーションだ。難波章浩、上田剛士(AA=)とパンク/ロック・シーンを長年牽引してきた2人のつばぜり合いに興奮が収まらない。ニュー・シングル『FIGHT IT OUT feat. K(Pay money To my Pain)/F.A.T.E.』はコラボならではの熱量と密度がサウンドに投影されている。

まず2人のプロフィールから簡単におさらいしたい。難波章浩と言えば、自身が率いるNAMBA69で3ピース・バンドとして活躍する一方、2年前に震災の復興支援のため、2000年に休止していたHi-STANDARDを11年ぶりに復活させ、その後もマイペースながら活動している。今年11月には、東北で開催された"AIR JAM 2012"の意志を継承すべく"東北ジャムin 石巻"と題してKen Yokoyamaと共にNAMBA69で出演を果たした。
そして、上田剛士は前身バンドBERRIEを経て、1990年にTHE MAD CAPSULE MARKETSを始動。雑食性に優れたミクスチャー・サウンドを打ち立て、次第にデジタル色が濃厚になり、現在のソロ・ユニットAA=の音楽性にも通じるデジタル・ハードコアで革新的な音を鳴らし続けている。今年の11月、12月には『#』、『4』と2作品連続リリースと銘打ったオリジナル・スプリットアルバムを発表し、その制作意欲は衰えを知らない。

ほぼ同時代を生き、常に最前線に身を置いて、シーンに刺激を与え続けてきた2人の化学反応はとても興味深い。もちろん今作はその期待を裏切らない仕上がりだ。内容に目を移すと、コラボ第1弾ソング「FIGHT IT OUT feat K(Pay money To my Pain)」はゲーム『機動戦士ガンダム EXTREME VS. FULL BOOST』のオープニング・テーマになったもので、12年3月に配信リリースされたものである。
それからコラボ第2弾ソング「F.A.T.E.」だが、こちらもゲーム『GOD EATER 2』のオープニング・テーマに抜擢され、今年11月にiTunes Storeにて独占配信されたものになる。2曲とも人気ゲーム・ソフトの強力なタイアップを受けた形だが、それに見合ったストロングかつカラフルな音像を突き付けている。
近未来的なマシーン音から始まる「FIGHT IT OUT feat. K(Pay money To my Pain)」は、難波章浩のヴォーカルが入った瞬間、目の前がパーッと明るく晴れ渡るような爽快感を運んでくる。生の歌声と人工的なビートが融合し、アグレッシヴな音像になっている。特にエッジ際立つタテノリの極太ビートに乗る難波の声が新鮮な響きをもたらす。また、忘れてはいけないのが、曲の重要なエレメントとしてKが凄まじいスクリームを挿入していること。胸にグッと迫るものがあるが、心して聴いてほしい。
パワフルな攻めに圧倒された「FIGHT IT OUT」に対して、「F.A.T.E.」はポップかつドラマティックな曲調で、歌モノ色を強めた難波の歌声と複雑なビートが違和感なく溶け合い、雄大な世界観を構築している。高音のコーラス・ワークもポイントで、キャッチーな魅力を引き出している。どちらも両者の個性と持ち味が激しく衝突して練り上げられた楽曲だ。
さらにこの2曲にはリミックス・バージョンが付き、こちらも豪華なメンツが腕を競い合っている。「FIGHT IT OUT」はTerufumi Tamano(Crossfaith)とヒゲドライバー、「F.A.T.E.」はco3(FACTの別名義によるプロジェクト)とBABYMETALなどに楽曲提供しているゆよゆっぺの計4名が参加している。

CDというパッケージならではの盛り沢山の容量で、実に濃厚な聴き応えがある。難波章浩と上田剛士というネーム・バリューをきっかけに手を取るも良し、ゲームをきっかけに聴いてみるも良し、今作をとにかく聴いてみてほしい。

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