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FEATURE

MOTIONLESS IN WHITE

2012.11.09UPDATE

2012年11月号掲載

衝撃的な進化を遂げたゴシック・メタル・バンド、MOTIONLESS IN WHITE待望のニュー・アルバム!!

Writer MAY-E

今年9月、Hook The Trigger Vol.2にて初来日を果たしたMOTIONLESS IN WHITE(以下MIW)。トレードマークとなっている過激なメイクを施してステージに立ち、ここ日本でパワフルなライヴを披露してくれたことは記憶に新しい。

MIWは、ペンシルバニア出身の6人組だ。09年にEP『When Love Met Destruction』でTragic Heroよりデビュー。翌年、1stアルバム『Creatures』を名門Fearless Recordsからリリースしている。“ゴシック・メタルコア”や“ホラー・メタル”と呼ばれる音楽性と過激なメイクが話題を呼び、瞬く間に人気バンドの仲間入りを果たした。スクリーモのファンが中心だが、実はメタル・ファンからも熱い支持を受けているバンドである。

そんな彼らが、“メタル”と“インダストリアル”の二面性を持った2ndアルバム『Infamous』をリリースする。TRIVIUMやDEVILDRIVER、CHIMAIRAを手掛けた Jason Suecofと、KMFDMやMARILYN MANSONのバック・バンドで活動していたTim Sköldの2人をプロデューサーに迎えた今作は、その二面性が、どちらも完璧なまでに研ぎ澄まされている。

厳粛なピアノのイントロから一転して強靭なメタルコア・サウンドへとたたみ掛ける「Black Damask (The Fog)」、シンセが突き抜ける「Devil's Night」と、スリリングなオープニングの2曲。アルバム冒頭ながら、まるでホラー映画のクライマックス・シーンを見ているようだ。

「Puppets 2 (The Rain)」にはSOILWORKのBjorn Speed Strid(Vo)が、「If It's Dead, We'll Kill It」にはBLEEDING THROUGHのBrandan Schieppati(Vo)がゲスト参加している。この意外な接点に驚くが、更に驚くはMIWのサウンドとゲスト・ヴォーカル陣のフィット感である。「Puppets 2 (The Rain)」では本家SOILWORKにも負けず劣らずのメタル・サウンドを展開し、Bjornを見事に迎え入れているし、「If It's Dead, We'll Kill It」はサビのメロディも美しく、ラストのBrandanとChrisの凄まじいスクリーム合戦は鳥肌ものだ。

今作の中で最も興味深いのは、「Infamous」「The Divine Infection」をはじめとしたインダストリアル・ナンバーである。「Hatefuck」なんていう、90年代のMARILYN MANSONを現代に蘇らせたような曲や、RAMMSTEINを髣髴とさせる「A-M-E-R-I-C-A」なんて曲もある。ノイジーで、破壊的。ヒリヒリとしたグルーヴに、身体が侵食されてしまいそうだ。
「A-M-E-R-I-C-A」にはVAMPIRES EVERYWHERE!のMichael Vampireがゲスト参加しているが、そう言えば彼らの最新作『Hellbound and Heartless』もインダストリアル・ロックに舵を取ったアルバムだったっけ。

今作『Infamous』で、彼らは1度ルーツに立ち戻ったということなんだろう。日本盤ボーナス・トラックに収録されているMETALLICA「My Friend Of Misery」をカヴァーからも、そんな思いが伺える。メタルもインダストリアルも歴史ある音楽だが、ここでは古臭さなど感じさせず、現代の音楽として、そしてMIWのサウンドとして昇華している点を高く評価したい。“ゴス”という要素を仲介して2つのジャンルが繋がっている点も、実にMIWらしい。

『Infamous』、あらゆるヘヴィ・ロック・ファンに聴いて頂きたい傑作だ。

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