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FEATURE

MEGADETH

2012.11.03UPDATE

2012年11月号掲載

MEGADETH黄金期を代表するスラッシュ・メタルの金字塔『Countdown To Extinction』の20周年記念盤リリース!

Writer 米沢 彰

1983年、METALLICAを追い出されたDave Mustaineを中心にLAにて結成。そのMETALLICA、そしてSLAYER、ANTHRAXらと共に、今やBIG4(スラッシュ・メタル四天王)に数えられる世界屈指のメタル・バンド、MEGADETH。METALLICAを追い出されたことから“METALLICAを超えるバンド”を目指すという、なにやらDave Mustaineの私怨のような結成の発端であったが、これまでにグラミー賞ノミネート10回、4,800万枚に上るトータル・セールスを記録し、伝説的メタル・バンドの1つとして数えられるほどの実績を残すに至った。

その伝説のバンドMEGADETHによるバンド史上最も成功を収めたアルバム『Countdown To Extinction』が今年、リリース20周年の記念すべき節目を迎える。全米初登場2位、ダブル・プラチナム(200万枚)のセールスを記録したこのアルバムは、日本でもオリコン・チャート6位を記録するなどまさにバンドの黄金期を築き上げた、メタル・シーンの名盤として数えるべきアルバムである。その前作となる4thアルバム『Rust In Peace』より、タモリ倶楽部などへの出演で日本のお茶の間でもおなじみのMarty Friedman (Gt)がNick Menza (Dr)と共に加入し、立ち上げメンバーでもあるDavid Ellefson (Ba)を加えた4人というMEGADETH史上最強の布陣でLAにて1992年にレコーディングが行われた。時は1990年に勃発した湾岸戦争の直後、油にまみれた海鳥の映像がTVを埋め尽くし、LAではロス暴動が起こるまさに直前。そのような不穏な時代を背景に、今で言う“ブッシュ父”の悪名高いスピーチの一節“Read my lips(話をちゃんと聞け)”をサンプリングしたTrack.4「Architecture Of Aggression」、スポーツ・ハンティングを痛烈に批判したタイトル・トラックなど政治的、社会的なメッセージを持った楽曲が生まれた。後にシングル・カットされたタイトル・トラックは、アニマル・ライツ(動物の権利)への注目を促した功績を評価され、アメリカ動物愛護協会から賞を与えられるに至った。メッセージを発し続けていたMEGADETHが如何に影響力を持っていたのかが分かるエピソードと言えるだろう。

そのスラッシュ・メタル・シーンの金字塔『Countdown To Extinction』のリリース20周年を記念し、“リマスター&エクステンデッド・エディション”がリリースされる。その内容はというと、Dave Mustaine自ら監修した2枚組CDボックス・セットとなっており、リマスターを施したオリジナル・アルバムと1992年にサンフランシスコのカウ・パレスで行われたライヴを記録した音源、さらに、音楽ジャーナリストのKory Growの書き下ろしライナー・ノーツ、24"×36"サイズのポスター、そして貴重なポスト・カードに、ジャケット絵柄ステッカー(日本盤のみ)が収められている。リリースと同時期のカウ・パレスのライヴは全編披露されたことがこれまで1度もなく、ファンにとって貴重な音源となることは間違いない。

更に、MEGADETH20周年を記念した“Countdown To Extinction 20th Anniversary Tour”も企画されており、11月よりアメリカ全土を回る18公演のこのツアーでは、『Countdown To Extinction』を完全再現するというから、このアルバムへのバンドの思い入れがよく分かる。ここ日本からもツアーに参戦する猛者がきっと出てくることだろう。傑作と呼べるこのアルバムを生で体験できるというのはまさにメタル・ファンにとって一大事である。

奇しくも、バンドの創設メンバーであり『Countdown To Extinction』でもベースをプレイしているDave Ellefsonが2010年にバンドに復帰。まさにこのツアーはこの2人のDaveのためのものと言えるシチュエーションが揃った。個人的にはMarty Friedmanも一緒にプレイしてくれたら最高なのだが、創設メンバーの2人が揃えばそれ以上求めるのは野暮というものだろう。MEGADETHを知らない若いメタル・ファン、そして当時の音源を聴き込んだMEGADETHファン、どちらもこの“リマスター&エクステンデッド・エディション”を擦り切れるまで聴いて、更にもし時間とお金が許すならば、ぜひともこの一大イベント、“Countdown To Extinction 20th Anniversary Tour”にも参戦していただきたい。

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