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FEATURE

CATTLE DECAPITATION

2012.06.06UPDATE

2012年06月号掲載

遂に7作目となるニュー・アルバムをリリース! 超絶テクと強烈デス・ヴォイスを武器に、 CATTLE DECAPITATIONが人間の業に切り込む!!

Writer 米沢 彰

1996年、メキシコとの国境にほど近いサンディエゴにて結成とそのキャリアは長く、今作が7枚目のニュー・アルバム・リリースとなるCATTLE DECAPITATION。長いキャリアの中でメンバー・チェンジを繰り返した結果、既に当初のオリジナル・メンバーは1人も残っていないものの、“動物虐待や環境破壊への反対”というバンドのコンセプトは強固に貫かれ、メンバー全員が菜食主義者という徹底っぷりだ。メンバー全員というのはこれまでに脱退したメンバーも全て含まれるというから彼らの徹底振りがどれほどのものか、伺い知れるだろう。(注:実際には過去のメンバーの中にはエセ菜食主義者もいたという噂もあるがその真偽は定かではない)

今作も、そのタイトル“Monolith Of Inhumanity(残酷さの塊)”とジャケットのアート・ワークが意味する通りに、動物虐待や環境破壊への反対というコンセプトを作品の中心に置きながら、デス・メタル/グラインド・コアの流儀でそのコンセプトをエクストリームに表現しきった作品となっている。時に動物と人間の立場を入れ替え、“人間への復讐”を描くことで自らのテーマを表現してきた彼ららしいアプローチだ。このアプローチは、知的でなければ陳腐なものとなり、また、その表現力が貧相であれば何ら説得力を持たないものになりかねない危うい手法だが、抜群の安定感とテクニックで非常にインテリジェンスを感じさせる演奏、そして表現力の豊かなTravisのヴォーカル・ワークが完璧なまでにかみ合い、非常にハイ・レベルな音源として1枚の作品に落とし込まれている。

ドラム・レスでSE的なTrack.10「The Monolith」を除き、Track.1「The Carbon Stampede」から日本盤ボーナス・トラックのTrack.12「Trackn Exposition Of Insides」に至るまで、全編ブラスト・ビート満載で刻みまくり、変態的な展開しまくりの超エクストリームなトラックばかりが並ぶ。時に変拍子も織り交ぜる、彼らのテクニックの高さと音楽性の広さからは確かにインテリジェンスが感じられ、何度繰り返して聴いても新鮮であり続ける。勢いばかりのブラスト・ビートを多用する、なんちゃってデスやなんちゃってグラインドは1周目で飽きたりすることも正直多いが、やはり本物は違う。フュージョンをも連想させるハイ・レベルでインテリジェントな演奏はぜひともエクストリーム・ミュージック・フリークたちに一聴頂きたい。また、Track.6「Projectile Ovulation」のゲスト・ヴォーカルにMike Majewski(DEVOURMENT)が、Track.3「A Living, Breathing Piece of Defecating Meat」のバッキング・ヴォーカルにLenard Leal(CEPHALIC CARNAGE)が、参加するなどテキサス、コロラドを中心としたアメリカ南西部のシーンがこの作品に大きく関わっている点も忘れてはならない。

これまで、THE BLACK DAHLIA MURDER、JOB FOR A COWBOY、SUFFOCATION、CRYPTOPSYらとツアーして回るなど、リリースと共にパフォーマンスの面でもキャリアをも積み重ねてきた彼らの集大成とも言えるニュー・アルバム。聴く際には、リスナー各個人が自らの胸に手を当て、自身の現代的な生活の裏にある動物虐待や環境破壊に思いを馳せながら堪能して欲しい。それぐらいサウンドもテーマも重い1枚だ。

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