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FEATURE

IRON MAIDEN

2012.04.12UPDATE

2012年04月号掲載

メタル・シーンの帝王IRON MAIDEN!!チリ・サンディアゴ国立スタジアムにて5万人の大観衆を迎えての熱狂ライヴを完全収録!!

ライター:沖 さやこ

【メタル・シーンの帝王、IRON MAIDENが大規模ワールド・ツアーを敢行】

世界最高のへヴィ・メタル・バンドの1つであるIRON MAIDEN。ベーシストのSteve Harrisがバンドを始動させたのが1970年代半ば。メタルというジャンルが創成した当時からそのスタイルを貫き通し、1980年に1stアルバム『Iron Maiden』をリリース。NWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル)の立役者としてシーンに君臨。デビューから30年以上経った今でも人気は衰えていない。2010年にリリースされた最新スタジオ・アルバム『Final Frontier』は世界28ヶ国でナンバー・ワンを獲得し、ワールド・ツアーは5万人規模のスタジアム・ライヴのチケットが即完という人気ぶりだ。そんな彼らの15作目のスタジオ・アルバム『Final Frontier』を引っ提げて敢行されたワールド・ツアーの模様が収録された作品『EN VIVO! ~The Final Frontier Live~』がリリースされた。


【オーディエンスとバンドが激突する熱狂ライヴ】

この作品は2枚組DVDのスペシャル・エディション、2枚組DVDスタンダード・エディション、2枚組CDの3形態でリリースされているが、今回はDVDの内容を紹介しよう。同DVDは2011年4月10日にチリ・サンディアゴにある国立スタジアムにて行われたライヴの模様と、ワールド・ツアーのドキュメンタリーをパッケージした2枚組になっている。2時間に及ぶライヴのオープニングは、まず開演前のオーディエンスたちの映像から幕を開ける。会場の外にはこの日を今か今かと待ち侘びる、感情を抑えきれない“若者たち”で溢れかえっている。

5万人の興奮は、ライヴが始まると更にヒート・アップ。W杯を観戦するサポーターの盛り上がり以上なのではないだろうか。物凄い歓声で演奏がかき消されそうだ。バンドの鳴らす音を貪欲に吸収しようと全力で蠢いている。曲が始まる度に大きな歓喜の叫びが起こり、満面の笑みを浮かべ、歌は勿論ギター・リフさえも大熱唱する。Steveは南米を訪れる度にファンのリアクションに圧倒されていたという。だから今回のツアーはどうしても南米で撮影したかったのだそうだ。確かに彼がそう思って当然の熱狂だ。それはラテン人ならではの情熱だろうか? いや、それだけではない。IRON MAIDENの熱いステージがそれに拍車を掛けるのだ。

壮大なショウは22台のHDカメラと空中カメラでデジタル撮影。セット・リストは『Final Frontier』からは勿論、豊富なカタログからの往年のヒット曲で構成されている。ヴォーカルのBruce Dickinsonは動いてなければ歌えないのか!?と思うほど縦横無尽にステージ上を駆け回り飛び回る。笑顔がキュートなドラムスNicko McBrainの高速キックは力強く性急なビートを生み、Dave Murrayはギターを弾きながら踊り狂うのは勿論、ギターを華麗に回転させたり高々と放り投げキャッチしたりとアクロバティックなパフォーマンスを披露する。Adrian SmithとJanick Gersは穏やかな笑顔を浮かべながらも的確且つ流麗なリフのアンサンブルを繰り広げ、クールなSteveはこの止まることなく動きまくるバンドを心臓に響く巧みな低音でもって統率する。ステージの演出もド派手で、バンドのキャラクターであるエディも頻繁に登場。エディ着ぐるみがエア・ギターやギター・プレイを披露するというお茶目なシーンでは観客からエディ・コールが鳴りやまない。ステージの大半を占める巨大エディの登場やスケールのでかい照明や映像など見どころも満載だ。エディがどんどん可愛く見えて来るところもエンターテイメントだろう。テンションを落とすことなく2時間突っ切る圧巻のステージだ。


【震災により日本公演が中止……ツアーの全てを網羅した壮絶のドキュメンタリー】

DISC2にはこのワールド・ツアーのドキュメンタリーが収録されている。ツアーで回った各国をフィーチャー。ドキュメントと言えば“バンドを密着”というイメージが強いかもしれないが、これはスタッフを通して繰り広げられてゆく。ツアー開始前は勿論音響、照明は勿論、スタイリストや現地スタッフ、ローディ、デザイナー……それは物凄い数のスタッフだ。1日の弁当の数は何と1500個。それを用意するだけでも相当な労力だ。スタッフ1人1人が責任を持ち、真剣に取り組む。全員が大事な戦力。これだけ大規模なツアーを作るのは、本当に様々な人物の力と熱い思いがあってこそなのだ。“俺たちは家族だ。血縁はないけど、代わりにロックンロールがある”というメンバーのコメントが胸に刺さった。

勿論、スタッフだけでなくバンドのリハーサルの様子や、移動の様子なども見ることが出来る。バンド仕様にペインされたツアー飛行機“エド・フォース・ワン”で全世界を回った彼らだが、なんとパイロットはBruce! 操縦中に着ているパイロット服も様になっている。そんなエド・フォース・ワンが韓国から日本に移動している最中、東日本大震災が発生。関東の飛行場は全て閉鎖され、中部国際空港に飛行機は着陸。ギリギリまで検討を続けたが、3月12日、13日に行われる予定だったさいたまスーパーアリーナ公演は中止に。だがバンドは日本公演で販売予定だったTシャツをネット販売し、その収益金を赤十字へ寄付。DISC1のライヴのMCでは日本へのメッセージも語られている。

ツアー開始前から、回った国ごとに時系列で進んでいく濃厚なドキュメンタリー。これを見た後にライヴ本編を見るとまたライヴの印象が変わるだろう。バンド、オーディエンス、スタッフの“本気”が激突することによって築き上げられる信頼の形――。それがIRON MAIDENのライヴであり、彼らの生き様なのだ。

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