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FEATURE

FUNERAL FOR A FRIEND

2009.11.08UPDATE

2009年11月号掲載

俺達は自分たちがどこからきて、どんな道を通って、今どこにいるのかっていう事をみんなに示したかったのさ

Writer MAY-E

エッジーでメタリックなギターリフ、エモーショナルなメロディ、衝動的で荒々しくもありながら繊細な雰囲気を併せ持つ「10.45 Amsterdam Conversations」を初めて耳にした時の衝撃は今でも忘れられない。

2000年代の初頭。当時アメリカでは、THURSDAYやTHRICEらアンダーグラウン・ドシーンのバンドが猛威を奮い始めていた。間もなくTHE USEDがデビュー・アルバムを、SAOSINが伝説の白盤EP『Translating the Name』をリリースし、いよいよ本格的にスクリーモのムーヴメントがやってくるわけだけれど、時を同じくしてイギリスから現れたFUNERAL FOR A FRIEND(以下:FFAF) も、前者ら並べるスクリーモの先駆者としてシーンを台頭。
ハードコアから派生したバンド、エモから派生したバンド、メタルから派生したバンド。生まれた場所やバック・グラウンドは様々だが、彼らに共通していたエモーショナルなメロディーと‘感傷的なスクリーミング・ヴォーカル’は今なお世界中のキッズを虜にしている。

デビューEP『Between Order & Model』をリリースしてから間もなく8年。FFAFは、FFAF常に新しいサウンドを提示して我々に刺激を与えてくれるバンドだ。
アメリカのTHRICEはFFAFに近いバンドだと思うが(THRICEの場合、FFAFよりもっと極端だが)メタルの影響が色濃かった初期のTHRICEやFFAFのように、メタリックなサウンドとエモーショナルなメロディをつサウンド形態は、以降のバンド達に引き継がれている。当時の彼らのスタイルがスクリーモのひとつの雛型となったわけだが、当事者はそこに甘んじることなく可能性を追い求め続けてきたのだ。
スタイルが変わっても英国雑誌のKERRRANG!で常に高い評価を受け、ライヴ会場に足を運ぶファンの数を今なお増やし続けているのは、彼らのスピリットを誰もが感じ取っているからなんだと思う。アルバムの素晴らしさは勿論だが、こういう姿勢を持ったバンドを私は支持したい。

そのFUNERAL FOR A FRIENDの軌跡を追ったベスト・アルバム『Your History Is Mine』がリリースされる。

「これはバンドの成長の記録なんだ。この作品では全て時間的な順を追っていて、俺達について何も知らない人でも俺達の歴史についての知識が得られるし、俺達がはじめから貫いているものっていうものも知る事ができる。俺達は自分たちがどこからきて、どんな道を通って、今どこにいるのかっていう事をみんなに示したかったのさ」- Matt Davies(Vo)

EP『Between Order & Model』(2002年)、シングル『Escape Artists Never Die』(2004年)、大名曲「Juneau」が収録され彼らの出世作となったデビュー・アルバム『Casually Dressed and Deep In Conversation』(2004年)、セカンド・アルバム『Hours』(2005年)、コンセプチュアルなサード・アルバム『Tales Don't Tell Themselves』(2007年)、そして最新作『Casually Dressed and Deep In Conversation』(2008年)の代表曲が順を追って収録。
アルバムを再生させ、トラックが進む度に当時の衝撃と共にその時の自分の感情までフィードバックしてくる。愛すべき楽曲の数々。どれも、それだけ常に私の近くにあった音楽なのだ。
更に、新曲4曲「No Honour Among Thieves」「Built To Last」「Wrench」「Captains Of Industry」が収録されているのだが、これらが「10.45 Amsterdam Conversations」や「This Year's Most Open Heartbreak」のような初期のエナジーを取り戻したような、ハードな楽曲に仕上がっている。これがMattの言う通りに「今どこにいるのか」を示しているんだとしたら、次回作は間違いなく原点回帰と言える作品になるだろう。
FFAFの真髄と、新たな始まりを予感。まだまだFFAFから目が離せない。

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