MENU

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

FEATURE

BOYS LIKE GIRLS

2009.08.13UPDATE

― あの衝撃をもう一度。あの輝きをもう一度 ―

Writer 大薮 未来子

初めて「The Great Escape」を耳にした時の突き抜ける爽快感を忘れたことがあっただろうか?あまりに純粋で真っ直ぐなその声にハートを射抜かれ、試聴機から動く事が出来なかったあの夏の日。そのメロディは今もなお、色褪せることなく鮮明なまま筆者の耳に残っている。エモーショナルで存在感たっぷりなヴォーカル、Martinのクリアな声に、直球で絡んでくる極上のエモメロ。ピュア度100%+甘酸っぱさ全開なスウィート・ロック。アップテンポでキャッチーな「Heels Over Head」から、ゆったりとしたバラード「Holiday」まで彩り豊かな楽曲たちは、本当にファースト・アルバムなの?と耳を疑いたくなるほどの出来栄え。そんな自身の名を付けたデビュー・アルバム『Boys Like Girls』から3年。ついに、ついに、ついに彼らが待望のセカンド・アルバム『Love Drunk』を片手に帰って来た。

BOYS LIKE GIRLSは05年12月、かつてTHE DRIVE/FAKE IDというバンドに所属していたMartin Johnson(Vo&Gt)が、Bryan Donahue(Ba)とJohn Keefe(Dr)を誘い、最後にJohnが従兄弟であるPaul DiGiovanni(Gt)をバンドに誘い4ピースという形で結成された。結成直後にMySpaceにあげたデモが<PureVolumeニュー・アーティスト・チャート1位>を記録し、Matt Galle(MY CHEMICAL ROMANCE等のエージェント)と、Matt Squire(PANIC AT THE DISCO等を手がけたプロデューサー)の目にとまり06年コロンビア傘下のインディ・レーベルRED INKよりデビューし<SPIN.comアーティスト・オブ・ザ・イヤー>受賞など瞬く間にティーンへと受け入れられ、07年コロンビアより異例のメジャー再デビューという緊急事態に!!その後もハード・ツアーを重ね、08年にはカナダの歌姫Avril Lavigneとの全米ツアーに抜擢されるまでになった。全米ではゴールド・ディスクを獲得。シングル・カットされた3曲(「The Great Escape」「HeroHeroine」「Thunder」)はどれも50万ダウンロードを記録している(ファースト・シングル「The Great Escape」は100万ダウンロード)。日本へは07年に初来日を果たしているが、今秋リリースのセカンド・アルバム発売直前に、SUMMER SONIC09メインステージ幕開けを飾るバンドとして、日本のフェスに初登場することになっている!

9月2日先行発売であるセカンド・アルバムからのファースト・シングル「Love Drunk」は、米iTunesで早くもTOP10入り。すでに彼ら自身のMySpaceでこの新曲を耳にした人も多いのではなかろうか?ファースト・シングルのみならず、筆者は一足早く最新アルバムを試聴する事が出来た。全体を通して感じた事はただ1つ。3年の月日の貴さに伺える彼らの成長の兆しが、くっきりとそこに見えたという事。前作を遥かに凌ぐスケールやクオリティの高さ、1曲1曲に込められた深い想い。どれをとってもその完成度は高く、精密で研ぎ澄まされているのだ。キラー・チューン・ナンバー「Love Drunk」は言わずもがな、眩しい太陽の光が降り注ぐ透明度の高い海を彷彿させる清涼感たっぷりな1曲。これを聴かずしてこの夏を語れない!!とまで言ってしまいたくなるほどの感動的なナンバーだ。また、ガラッと雰囲気の変わる「Heart Heart Heartbreak」は今までのBLGに無い攻めの姿勢が見られるあたりが非常に面白く、サビで繰り出すパンチのあるメロディ・ラインにも驚きを隠せない。そして何よりも筆者のお気に入りは「Two Is Better Than One」。この曲は切なさ込み上げる、しっとりとした究極のバラード。タイトルからも歌詞の世界観が大いに想像できるが、是非とも歌詞カードを片手に貴方の大切で大切でたまらない人と一緒に聴いていただきたい。Martin(Vo)の伸びる声に優しく寄り添うソフトなメロディ。胸がキュッと締め付けられ、涙がこぼれてしまっても不思議ではない珠玉の1曲だ。他にも、力強さ+逞しさが伺える疾走ナンバー「Contagious」や夕暮れ時に聴きたいミドル・テンポが癖になる「The First One」など、どれをとっても飽きることなく聴けてしまうレベルの高い1枚である事は間違いないであろう。

人には毎日様々な事が起こる。声が枯れるまで泣き叫んだあの日。やるせない気持ちにひどく悩んだあの日。何かを手に入れたと思いきや、また何かを失い、喪失感に浸ったあの日。そんな時は是非、この『Love Drunk』を手にとって聴いてみて欲しい。とまらない想いを乗せて走り出す、驚くほど真っ直ぐなBOYS LIKE GIRLSからのメッセージ。ここにはどんな言葉にも勝てない溢れんばかりの輝きが詰まっているのだから。

  • 1