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COLUMN

THE STARBEMS 日高 央の激トーク!! 第四回

THE STARBEMS 日高 央の激トーク!! 第四回

-さっきのフェスの話じゃないですけど、最終的にこだわりが勝ってしまいそうですね。

猪狩:チケット代下げたりとか、DVDとかも(売値を)できるだけ安く!みたいな。

日高:関西のバンドってみんなそうだよね。SPREADとかもそうだし。それで最終的に森さん(HEY-SMITH所属のレーベル・オーナー)が泣くっていう(笑)。そこに付き合ってくれるスタッフがいるってラッキーなことだし。

猪狩:ほんまそうです。レーベル・メイトのSUNSET BUSはお店もやってますけど、ほんまそんなんでいいの?みたいな。

日高:そこがいいところでもあるんだろうけどね。あと関西で商魂たくましい奴はすぐ東京出てきちゃってるじゃん。ヘイスミは東京に出てくる気なさそうだけど、これからも大阪でやるの?

猪狩:やっぱ大阪から発信していきたいって気持ちは持ってたいんですよね。東京の方がもちろん発信してることは多いし、すごいし、まあ俺からしたらニューヨークみたいに見えてるんですよ。俺らはカリフォルニアの音楽が好きで、"こっちからでしょ!"みたいな精神があります。

日高:うんうん、西海岸的なね。ただ残念なのが、カリフォルニアは堺港か、っていう。

一同:(爆笑)

猪狩:やっぱ東京きたら大阪なんかクソ田舎やな、って思いますもん。東京は駅のひとつひとつが難波とか梅田みたいやし、大阪には2個しかないのに、東京には何十個もありますからね。

日高:情報量のすごさね。確かに、原宿に行くとアメ村のチャラさが引き立つよね。原宿って思ってるほどチャラくないからね。竹下通りだけチャラいけど、1本路地に入れば老舗とかもあるし。


猪狩:すごいハイ・ブランドのお店とかもありますね。すごいなこの街、って思って。

日高:俺も大阪への思い入れはあるんだけどね。おじさんが堺で古本屋やってるんだけど、たまに俺のCD送ると"央くんはうるさい音楽やってるな~"で終わっちゃう(笑)。でもそのノリも好きというか、フラットにものを見るよね、大阪の人って。関東の人ってやっぱりこう"テレビに出てるから"とか"原宿で売れてるらしい"とか、枕詞に弱いというか、情報が多い分先入観で考えてゴマすったり上からものを言ったりするけど、関西の人って最初っから上からなんだよ(笑)。そこがフラットでいいというか。

猪狩:そうっすね。それは俺も楽でええかな。

日高:ヘイスミもそういう良さもありつつ、でも商売下手なとこはちょっと先輩としても心配だな(笑)。

猪狩:そこはちょっとこれから日高さんに教えてもらいますわ(笑)。

日高:まずはローラだね。(プロジェクト)立ち上げようか。何十年かかるかわからないけど。ヘイスミの書くローラのナンバー聴いてみたい。

猪狩:やーもうぜひとも。ぜひともやりたいですね。

-では、最後はおのおのの影響を受けた、キッズに聴かせたい1枚をお願いします。

猪狩:考えてたんですけど、アルバム1枚で言うと、NO USE FOR A NAMEの『Hard Rock Bottom』ですね。俺、バンドとして好きなのはNOFXとRANCIDなんですけど、アルバム1枚で言うとこれがもう。1曲目から7、8曲目までずーっとシングルみたいな死ぬほどいい曲が揃ってて。音的にもバチバチですごいです。

日高:泣けるよね。でも意外だわ。もうちょっとメタルな感じか、ベタにNOFXとかでくると思ってたけど。ヘイスミって明るいバンドだけど、曲だけ抽出するとマイナー・コードで泣き泣きで進行してく曲とかもあるしね。

猪狩:好きなんですよね、ああいうの。(ヴォーカル・ギターの)Tony Slyがこないだ亡くなって、Tonyに向けて書いた曲とかもあるくらい好きです。日高さんは何なんですか?

日高:何にしようかな。メタルが結構続いたんで、メタルじゃないとこから選ぼうと思います。

猪狩:むちゃくちゃ広そうですけどね。いっぱい聴いてそう。

日高:いっぱい聴いてます。逆に聴かなくていんじゃないかってものまで聴いてる。

猪狩:3つくらい好きなバンド挙げてくれって言われたらどんなんなりますか?

日高:3つだったらTHE MONKEESとLAUGHIN' NOSEと、あとひとバンドは日替わりで。

猪狩:そこはツー・トップなんですね。

日高:俺ヘイスミにはIan Duryを聴いて欲しい。いわゆるパブ・ロックですね。70年代中盤~後半のパンクが出てくる直前て、アメリカ、イギリスとか海外ってみんなパブでライヴやってて。バーで演奏して日銭を稼ぐじゃないですか。なんでそれが儲かるかっていうと、要はパブやバーで演奏すると飲み代の3割とか4割がもらえるんだよね。いいとこだと5割くらいもらえるわけ。それは、お客さんがガンガン飲んでくれたのはバンドがいい演奏してその場を盛り上げてくれたからだ、って、半分くらい売り上げをくれたりするんだよ。だから別にライヴハウスのノルマとかじゃなくて、例え10人しかお客さんが入んなくても、その10人が10杯ずつとか飲めばそれなりにもらえる。それでバンドたちもどんどんお酒を進ませようと思って、お馴染みのナンバーを演奏したりノリのいい曲を作っていく。一見こうだらしないイメージがあるけど、実はすごくそういう競争原理にちゃんと則ってる。その中でもパブ・ロックっていうジャンルがパンクの直前にあって。

猪狩:Ian Duryはイギリスのかたですか?

日高:そう、イギリス。 THE BLOCKHEADSっていうバンドをやってて。Ian Duryはもともとファンクとかレゲエとか非ロック的なものが好きで、それをバンドで無理くりロックに仕立てあげてるんだけど、その丁々発止なバランスがすごい面白い。1stアルバムのタイトルが『New Boots And Panties!!』っていうんだけど、そのちょっとエッチな感じもいいし。ヘイスミって酒場が似合う音楽だと思うから、パブ・ロックの要素が入るとより緩急がつくというか。フォークとかアイリッシュにもあるけど、酒場での泣きっていうか。意外と四つ打ちの曲も多いし、スカっぽかったりレゲエっぽかったりするから。これを今20代とかが聴いてたらかっこいいとも思う。

猪狩:"Ian Dury知ってる?"って、さも我が物顔で(笑)。聴いてみますわ。

日高:同級生のチャラいやつに差をつけるにはこれしかない。ぜひBLOCKHEADSあたりから勉強して、ぐいぐいおじさんたちを唸らせてください。



【日高 央の1枚】

  Ian Dury
『New Boots And Panties!!』
 (1977)

【猪狩 秀平の1枚】

  NO USE FOR A NAME
『Hard Rock Bottom』
 (2002)